ストラスブールのクリスマス市で銃撃事件が起きました。パリの黄色いベスト運動の報道が流れた矢先に。アメリカと中国の関係も危うく、世界中が不寛容な方向へ流れて行っているような気がします。
「それでも」と、私は思うのです。人が命を落とすことなく共存する道がどこかにあるのではと。
キューバから届けられたこの映画には、そのヒントがぎゅっと詰まっています。
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『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』(原題: Sergio and Sergei)
©2017 MEDIAPRO - RTV Commercial - ICAIC |
宇宙飛行士が地球から飛び立つ。憧れと誇りを携えて。
そしてあるとき、宇宙空間で突然告げられる。自分の祖国がなくなったことを……
なあんだ、映画の話か、と思うなかれ。こんなことがかつて本当に起こった。1991年12月のことだ。ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)は崩壊し、ひとつの時代が終わりを告げた。そして、ソ連の宇宙飛行士が宇宙ステーションに取り残された。彼の名はセルゲイ・クリカレフ。この映画は、この実在の人物をモデルにつくられた。監督はキューバのエルネスト・ダラナス・セラーノ。
ソ連に留学し、マルクス主義を学んだセルジオ。大学で教鞭を取っているが、ベルリンの壁崩壊をきっかけに、苦しい道のりが始まる。今の仕事で同居する母と娘を養うことができるのか……そんな彼の救いとなるのがアマチュア無線だ。ニューヨークの無線仲間と祖国では知り得ない情報を得ながら、生きる術を探している。
そんなセルジオに、あるとき宇宙から交信が……ロシア語で語り合いながら、宇宙飛行士のセルゲイと意気投合するセルジオ。この交信は、いつ途切れてしまうだろう。そんな不安の中で、彼らは一瞬一瞬を大切に語り続ける。
ソ連という祖国を失い、宇宙で迷子になったセルゲイ。彼を何とか地球に里帰りさせようと、セルジオは名案(奇策?)を思いつく。
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宇宙に取り残される恐怖、生活の糧がなくなる恐怖。セルジオもセルゲイも、どんなにつらく孤独だったろう。そんな題材を、セラーノ監督は軽くて後味のよいコメディへと変換させてしまった。深刻に考えず、笑って観られる映画だけれど、根底に流れるテーマの深さにはっとさせられる。
コカ・コーラをおいしそうに飲むセルゲイの姿に、私たちが平和に暮らせる術が隠されているような気がする。
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<本ブログ内リンク>
宇宙飛行士が出演する映画って、何て詩的で切ないんだろう、と思う。
この映画に出演するのは、アメリカの宇宙飛行士。
『アスファルト』その3(原題:Asphalte)
<公式サイト>
『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』
12月1日(土)より新宿武蔵野ほか全国順次公開