2026年10月6日火曜日

「リサ・ラーソン 追悼展」 アーティスト・デザイナー・インスピレーションの源


 


「リサ・ラーソン 追悼展」

アーティスト・デザイナー・インスピレーションの源






丸みがあって可愛い、でもどこか切ない。見ていると心があたたかくなる。

日本のお母さんやお姉さんが赤ちゃんをおんぶする作品が印象に残る。


20世紀スウェーデンを代表する陶芸家・デザイナー、リサ・ラーソン。彼女はまた、3人の子供を持つ母親でもあった。

9月25日から始まった銀座松屋での追悼展。開会式には彼女の子供達であるヨハンナ・ラーソンさん、マティアス・ラーソンさん、アンドレアス・リップングさんの3人が訪れた。

開会式にはスウェーデン出身の村雨辰剛さん(庭師)、三遊亭好青年さん(落語家)の姿も。

軽やかに人生を冒険するかのように、遠く離れた地から日本へやってきた2人の青年のお母さんはどんなお方だったのだろうか、と思いを馳せた……「自由」を愛する人たちのような気がする。自分の自由を大切にしながらも、きっと子どもたちの自由もとても大切にしてきた方たちのではないだろうかと。


会場に展示された3人の子どもたちによる「リサからの感謝のことば」には、リサ自身が残したこんな言葉が記されている。


「年をとっている暇なんてないわ。まだ作りたいものがたくさんあるのだから」


スウェーデンのお母さんたちの深く広い愛が伝わってくるよう。



            村雨辰剛さん(左)と三遊亭好青年さん(右) 2026年9月25日撮影


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<展覧会概要>


リサ・ラーソン 追悼展

アーティスト・デザイナー・インスピレーションの源


2026年9月25日(金)~10月12日(祝・月)

会場

松屋銀座8階イベントスクエア

時間

11:00~20:00


https://www.lisalarson-ex.com/

 


 


2026年9月27日日曜日

『バックルームズ』 (原題:Backrooms)

 


 

『バックルームズ』

(原題:Backrooms) 


観る前は、不安だった。

この映画で、どんな新しいことが起こっているんだろう?

もう、今までのホラー映画は 過去のものと化してしまうのだろうか?

でも、その観終わった後、少しほっとした。

恐怖という感覚、それを観たいと思う気持ちは遥か昔から私たち人類にあって、それが時間を経て変わっていくことはないのだと実感したからだ。変わりゆくものを受け入れなければいけないときもある。でも、変わってほしくなない、変わってはいけないものもある。

この映画が表現した恐怖は、決して行きすぎた斬新さで覆われたものではなかった。そのことに安堵と期待を感じた。

監督は、ケイン・パーソンズ。YouTube短編動画「The Backrooms (Found Footage)」を発表したのは16歳。この短編をもとに19歳で撮影を行なって完成したのが本作だ。公開初週末に北米興収8,100万ドル、世界興収1億1,800万ドルという記録を打ち出し、パーソンズ監督は全米・世界興収1位作品を生み出した史上最年少監督となった。


映画を観ながら、なつかしくなった。

遊園地の「ビックリハウス」や、ページをめくりながらわくわくした「不思議の国のアリス」を思い出した。

怖いことを怖いといえる、そんな平和な日々が続いてほしいと願う。



                                                                         © 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC.

                                                                          All Rights Reserved.


 ■配給名

配給︓ハピネットファントム・スタジオ

All Rights Reserved.


監督︓ケイン・パーソンズ

出演︓キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット他

2026|アメリカ|126分|英語|5.1ch|原題︓Backrooms|字幕翻訳︓佐藤恵⼦ | 映倫︓G |

2026年9月21日月曜日

『モネと時間旅行』(La Venue de l’avenir)

『モネと時間旅行』(原題:La Venue de l’avenir)


親族。

その、何ともつかみがたい関係。ひとつ屋根の下で暮らす家族とは違う。恋人でもなければ友達でもない。同級生や会社の同僚とも違うし、SNSで意気投合した関係でもない。

会ったことがなくても、お互いを知らなかったとしても、その関係をやめることはできない。

この映画の登場人物たちもまた、面倒だが避けることのできないこの関係に戸惑いながら、先祖の歴史を辿り始める……彼らの先祖の名は、アデル・ムニエル。彼女が遺したノルマンディーの屋敷を買い取るため、土地開発の事業者が現在の持ち主にあたる30人近い人物を調査し、30人近い親族が初めて顔を合わせる。

多くの実力派俳優が存分に個性を発揮するさまが、何とも贅沢。現在とベルエポックの時代を自由に行き来する展開もわくわくする。

セドリック・クラピッシュ監督は密かに、戦争へのアンチテーゼをこの映画に盛り込んだ。「私自身、家族の歴史をたどろうとするとどうしても戦争という出来事に突き当たります。戦争は、ときに名もない人々の、ごく小さな人生を、大文字の〈歴史〉へと結びつけてしまう。そのことを、この映画の背景として静かに描いておきたかったのです」。「戦争には美化すべきものなど何一つない」と語る監督の言葉を胸に刻みたい。(※1)


(※1 クラピッシュ監督のコメントは、プレス資料より抜粋)


                                                                       © STUDIOCANAL - COLOURS OF TIME - CE QUI ME MEUT - 
                                                                        Emmanuelle Jacobson-Roques




監督・脚本:セドリック・クラピッシュ 

出演:スザンヌ・ランドン、アブラム・ヴァプレ、ヴァンサン・マケーニュ、ジュリア・ピアトン、ジヌディーヌ・スアレム、ポール・キルシェ、サラ・ジロドー、セシル・ドゥ・フランス、オリヴィエ・グルメ、ヴァシリ・シュナイダー、ヴァランタン・カンパーニュ


原題:La Venue de l’avenir

2025 年/126 分/フランス/

⽇本語字幕:古⽥由紀⼦

配給:セテラ・インターナショナル



<公式サイト>

『モネと時間旅行』

https://monetojikan.com/



9 ⽉ 18 ⽇(⾦)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、

Bunkamura ル・シネマ 渋⾕宮下ほか全国公開






2026年9月13日日曜日

ヒーローは要らない

 ヒーローは要らない



ニュース番組で、ニューヨークの追悼式典の映像が流れた。

あれから25年。

2001年9月11日、ハイジャックされた4機の飛行機が世界貿易センタービルと国防総省に突っ込んだ。このテロ行為が海外の新聞で »kamikaze »と書かれていたのを読んだとき、複雑な思いがした。犠牲者は日本人24人を含む、2977人。世界貿易センタービルで犠牲になった2753人のうち、約40%の1099人の身元がまだ特定できていないという。


当時のことをはっきりと覚えている。9月11日の数ヶ月前、ニューヨークの友人を訪れたばかりだったからだ。歩き慣れないマンハッタンを右往左往する私に声をかけてくれたのは、朝の勤務に入る直前の現地の消防隊員だった。観光に来たのならこの通りがおすすめだよと親切に教えてくれた。ニュースを見たとき、まっさきにその人のことが頭に浮かんだ。ニューヨークを愛し、ニューヨークを守る使命感に溢れたあの人は大丈夫だろうかと。少しでも多くの人を救おうと、多くの消防隊員が殉職した。彼らをメディアは英雄(ヒーロー)と呼んだ。

ちょうど今、カナダ大使館の高円宮記念ギャラリーで開催されている写真展のタイトルを思い出した。「ヒーローは要らない」だ。モントリオールを拠点に活動するビジュアル・アーティスト、キム・ワルドロンによる写真展。日本、オーストラリア、カナダのケベックでの森林保全の活動を写真におさめている。「ひとりの英雄(ヒーロー)に頼らずに活動しよう」という思いがタイトルに込められている。

今、このタイトルは私の中で別の方向に歩きを始めた。

「誰かをヒーローと呼ぶことになるような事態を、何がなんでも避けなければならない」という言葉に。

 私たちひとりひとりにできることはそれほど多くはないのかもしれない。

 それでも、できることは確かにある。

 小さなことでもいい。消防隊の人たちが出動しなくてもすむ状態をつくることは、きっとほんの少しの努力でできるはずだ。火の元を注意する。スマホやモバイルバッテリーが熱を持っていると思ったら充電を中断する。そんな小さなことでもいい。

こんなことでもいい。憎しみを人にぶつけない。考えが違うと思ったら、尊重しながら距離を置く。話し合う必要が生じたら相手が言葉をどう受け取るか考えながら話す。仲良くする必要はないけれど、敬意を忘れないこと。こんなことの積み重ねを私たちひとりひとりがすることができたら、きっと飛行機が高層ビルを狙う事態もおきなくなるだろうし、それによって命を落とす人もいなくなる。消防隊員の人たちがヒーローと呼ばれなくてよくなるんじゃないか……そんなことを考えながら、今年の9.11を過ごした。



                                 




☆『キム・ワルドロン 「ヒーローは要らない」 』の展示期間が下記の通り延長されました。

2026年9月23日(水)まで → 10月16日(金)まで


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<展覧会概要>

 

『キム・ワルドロン 「ヒーローは要らない」 』

 

2025年10月16日(金) まで

10:00~17:30(最終入場 17:00)
休館日:土曜日、日曜日 

場所:カナダ大使館高円宮記念ギャラリー 

(東京都港区赤坂7-3-38 地下鉄「青山一丁目」駅より徒歩5分)
入場: 無料 

 

政府発行の写真付身分証明書(運転免許証、パスポート等)を持参のこと。

 

 

カナダ大使館高円宮記念ギャラリーの公式サイト

https://www.international.gc.ca/country-pays/japan-japon/galerie-prince_takamado-gallery.aspx?lang=jpn