コロナ禍のさなか、大雨による災害が発生しています。
どうかこれ以上、大切な命が理不尽に奪われていくことがありませんように。
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『わたしはダフネ』(原題:Dafne 2019年イタリア)
(監督・脚本:フェデリコ・ボンディ)
(c) 2019, Vivo film - tutti i diritti riservati
「お世辞じゃないよ、父さんは世界一!」
そう、彼女はお世辞を言わない。明朗で快活、ユーモアたっぷり。表裏がないから辛辣な言葉もためらわず口にする。大切な人を失ったとき、無防備に泣きじゃくる。
30代の女性、ダフネを演じるのは、カロリーナ・ラスパンティ。ダウン症の主人公を演じるカロリーナ、彼女自身もダウン症だ。両親のマリアとルイジは、ダフネを大きな愛で包んだ。そんな愛情の中で育ったダフネは、自分を愛することができて、他人を愛することができる女性に育った。ダンスが大好き、SNSを使いこなし、スーパーの店員という”神聖な仕事”を誇りに思っている。職場の同僚たちを慕い、同僚たちもダフネを愛している。
なんてことのない日常の積み重ねに、なぜこんなに涙ぐんでしまうのだろう。どこまでも健気なダフネの心には、世間の余分な埃がないからだろうか。「お母さんに会いに行こう」と父親を元気づけ、2人は長い道のりを歩いてトスカーナを旅する。ダウン症であること、それはダフネにとってパーソナリティを形成する一部であって、すべてではない。彼女の魅力を前に、ダウン症に対する無知も偏見はどこかへ飛んでいってしまう。今のこの世の中も、この映画のようであってほしい。この映画が、ファンタジーでなく、理想の世界への道しるべであってほしいと願っている。
ダフネがルイジに風船を渡すラストシーン、彼女のひとことを心の宝石箱にしまっておきたい。
<本ブログ内リンク>
この映画でも、ダウン症のこどもたちが大切な役を演じます。
『カフェ・ド・フロール』( Cafe de Flore)その 3
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2015/07/cafe-de-flore-3.html
<公式サイト>
『わたしはダフネ』
7月3日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー
配給:ザジフィルムズ
監督・脚本:フェデリコ・ボンディ 原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジ
エグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキー
プロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ 撮影:ピエロ・バッソ 編集:ステファノ・クラヴェロ 音楽:サヴェリオ・ランツァ 衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ
出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ
2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ
原題:DAFNE 字幕翻訳:関口英子