『母の聖戦』(原題:La Civil)
監督:テオドラ・アナ・ミハイ
原題は、”La Civil”。スペイン語で”市民”という意味だ。2021年の第34回東京国際映画祭で上映されたときは、日本語に直訳した『市民』というタイトルで上映された。
メキシコでは、ごく普通に生活するどれだけの市民が殺人や誘拐の危険にさらされているのだろうか?
主人公シエロを演じた、アルセリア・ラミレスさんはこう語る。「私自身には幸いそのような経験はないけれど、新聞・テレビ・ラジオで見たり聞いたり、事件は常に存在しているの。行方不明の家族たちはどこから始めたらいいのかすらわからないことも多い。最悪なのは、自分たちの子どもに何が起こったのかわからないとこと、それが地獄なの」。
監督は、テオドラ・アナ・ミハイ。チャウシェスク政権下のルーマニアに生まれ、米国で映画を学び、ベルギーを拠点に活動をしている。16歳のときに移住したサンフランシコで、メキシコ出身の友人たちと知り合い、その頃からメキシコとの関係が始まる。
どこにでもいるような素朴で優しいシングルマザーのシエロには、どこにでもいるような美しい娘ラウラがいる。しかし、娘はボーイフレンドと会うために外出したきり帰ってくることはなかった。別れたラウラの父とは違い、シエロは被害者として泣き寝入りすることはしない。娘を救いたいという一途な思いの行き着く先を、カメラは追う……被害者が加害者となり、加害者が被害者として暴力にさらされるという現実。勧善懲悪が成立しないのは、メキシコに限らない。だからこそ、この映画は多くの人々に共感されるのだろう。
シエロにはモデルが存在する。ミハイ監督がメキシコで知り合ったミリアム・ロドリゲスさんが銃撃され命を落としたのは、「母の日」のことだったという。
*************************************************
<本ブログ内リンク>
“母の愛”と聞いて私がまっさきに思い出すのがこの映画です。
『カフェ・ド・フロール』(Cafe de Flore)その1
https://www.hark3.com/haha/#modal
<公式サイト>
『母の聖戦』
https://www.hark3.com/haha/#modal
提供:ハーク
2023年1月20日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
『母の聖戦』の共同プロデューサー・ダルデンヌ兄弟の最新作が、2023年3月31日(金)より日本で公開されます。
『トリとロキタ』
https://bitters.co.jp/tori_lokita/
0 件のコメント:
コメントを投稿