本編のキーとなる、プロコルハルムの「青い影」。
この曲にのせて、自分自身の記憶を辿る人もきっと多いのではないでしょうか。
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「あの歌を憶えている」(原題:MEMORY )
監督・脚本:ミシェル・フランコ
「忘れる」ということ。
それは何を意味するのだろうか。
忘れるのはよいことか?悪いことか?
そのどちらでもないのであれば…… 認知症という病気に対する理解や周りの対策 は、少し違ってくるのかもしれない。
舞台はニューヨーク。シルヴィア(ジェシカ・チャステイン)。彼女は13歳の娘と暮らすシングルマザー。ソーシャルワーカーの仕事をしている。高校の同窓会で知り合ったシルヴィアになぜか親しみを覚えるソール(ピーター・サースガード)。彼は認知症を患い、多くの記憶を失っている。ケアされるべき存在のソールだが、いつしか彼は、過去を忘れることができず今でも苦しみ続けるシルヴィアを癒す存在となっていく。何が弱者で何が強者か?誰が健常者で誰が障害者か?そんな区別は意味をなさないのだろう。
ニューヨークは、ゆらゆらとバランスを取る天秤のような街だ。出身も個性もこだわらずに誰でも受け入れるが、街そのものは誰を守ることもしない。人を傷つけるのは人で、人を助けるのも人だ。
「何らかの理由で社会の隙間に落ちてしまう人々についての映画を作りたかった」と語るミシェル・フランコ監督。「彼らの気持ちは、多くの場合、彼らの記憶の中にしか存在しない出来事に根ざしています」。だから、その記憶の影から逃れられるかどうか、「過去」という影からの脱出できるかどうかが鍵となるのだと。
忘れてしまう辛さもあれば、忘れられない辛さもある。「記憶に関わる苦しみ」という、共通の痛みがシルヴィアとソールを引き寄せたのかもしれない。過去にも未来にも縛られない喜びを知ることができたら、どれだけ多くの人が救われるだろうかと思う。
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エンドロールにもご注目を。挿入曲の中には「これって日本語じゃない!?」というタイトルがみつかります。
原題:MEMORY/2023年/103 分/アメリカ・メキシコ/英語/シネマスコープ/5.1ch /日本語字幕:大西公子/配給・宣伝:セテラ・インターナショナル
2/21(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
<公式サイト>
あの歌を憶えている
https://www.memory-movie-jp.com