『ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより』
アンナ・リー・メリット
《締め出された愛》
1890年
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なんて悲しい絵なんだろう……
初めて見たときの胸の痛みをまだ覚えている。
温かい家から締め出されてしまった子供。ドアを開けてくれるのを裸のまま待ち続ける子供……当時の私には、虐待に耐える子供の絵のように感じられた。
横浜美術館で、2018年3月24日より始まった『ヌード
NUDE ―英国テート・コレクションより』に展示された1枚の絵、『締め出された愛』(Love
Locked Out)。
作者は女性の画家、アンナ・リー・メリット(Anna Lee Marit) 。制作は1889年。
結婚してすぐに他界した夫への思いを「妻を失ったキューピッドの物語」になぞらえて描いたという。妻に会いたくて会いたくて、扉をこじ開けようとするキューピッド。私の想像と作者の意図は違っていたけれど、「愛を渇望する」思いが、時空を超えて私の心に飛び込んできたのは、間違いなかった。
女性が画家として活動するのが難しかった時代、『締め出された愛』は、ロイヤルアカデミー展に女性画家の作品として初めて出展された記念すべき1枚となる。それが「裸体画」であったことも、大きな挑戦だったに違いない。
彼女が抱いた勇気を考えると、今の自分をもっと叱咤激励したくなってくる。
あなたはどうですか?
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この絵が描かれた1889年は、ちょうど横浜が開港して30年ほどが過ぎた頃です。多くの人でにぎわい、時代をリードした横浜の街を思いながら鑑賞すると、この絵の違った一面が見えてきます。
オーギュスト・ロダン
《接吻》
1901-4年
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<本ブログ内リンク>
本展で展示されるロダンの『接吻』を鑑賞した後にこの映画を見ると、ずしりとした何かが心に残ります。
『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』(Rodin)
20世紀の女性画家の物語
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』(MAUDIE)
<公式サイト>
横浜美術館
横浜美術館の入口はとても開放的
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