『ルイ14世の死』 (原題: La mort de Louis XIV)
舞台のほとんどはルイ14世の病床だ。
ろうそくが映し出す、ルーベンスの絵画のような色彩。その高貴さとは対称的な、遠回しで空虚な会話。こんなに淡々とした展開でありながら、俳優たちの重厚な演技が、観客を飽きさせずに導いていく。
「映像において、ものを考えている人の顔ほど美しいものはない。しかも俳優の頭の中にあることが単に脚本から得ただけのありふれた考えでないときは本当に美しい映像になる」。アルベルト・セラ監督のこんな美意識によって、映画は完成した。主人公のルイ14世を演じるのは、ジャン=ピエール・レオ。トリュフォー監督の映画でアントワーヌ少年を演じ続け、ヌーヴェルヴァーグの申し子と言われた伝説の俳優だ。愛犬をいつくしむまなざし、女性の話題でわずかに明るくなる表情…… 彼の茶目っ気のある演技は、まるで魔法のように、いかめしいカツラとやたらに豪華なベッドを喜劇の小道具に変えていく。セラ監督がジャン=ピエール・レオに託したのは、太陽王の崇高な死ではなく、死の淵までをも干渉され続けなければならなかった1人の男の悲哀だったのではないだろうか。
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©CAPRICCI FILMS,ROSA FILMES,ANDERCRAUN FILMS,BOBI LUX 2016
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5月26日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
2016年 / フランス、ポルトガル、スペイン/115分/フランス語
配給:ムヴィオラ
<本ブログ内リンク>
ジャン=ピエール・レオのもうひとつの主演映画
『ライオンは今夜死ぬ』
<公式サイト>
『ルイ14世の死』
<関連サイト>
『ルイ14世の死』公開記念特集上映〈21世紀の前衛〉アルベルト•セラ
お前は誰だ!?
※ この映画が公開される5月26日に先立ち、5月19日〜5月25日、シアター・イメージフォーラムでは、特別上映『<21世紀の前衛>アルベルト・セラ お前は誰だ!?』が開催されます。セラ監督の過去の作品、セラ監督自身のお気に入りの映画が上映されるほか、セラ監督の舞台挨拶も。
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