映画が教えてくれる、海からの贈り物
(Gift From the Sea through the films)
昨日から4Kデジタル修復版の上映が始まった『海の上のピアニスト』
(原題: La leggenda del pianista sull'oceano)で要となるエピソードの1つが「初めて海を見たときの感動」だ。船で育ち、一度も船から下りたことのない主人公1900(ナインティーン・ハンドレッド)が、突然「陸に上がってみたい」と宣言する。親友のマックスは驚く。海ならいつだって目の前にあるじゃないか、なぜ?と。1900は答える。陸から海を見たい。海の声を聞いてみたい。人生は壮大だと叫ぶ海の声を。地に足をつけないとその声は聞こえないから、と。
海とは何と力強く、美しい存在か。海を身近に知る人にも、海を一度も見たことがない人にも、その存在はかけがえのないものだ。
上映中の映画『ファヒム パリが見た奇跡』(原題:Fahim)でも、バングラデシュからフランスに逃れた少年ファヒムが海を初めて目にし、心が釘付けになるシーンがある。海とは、”自由”の象徴なのかもしれない。
ファヒムは本国のチェス大会でのチャンピオン。彼の並外れた才能を見抜き、フランスでの大会出場を後押しするシルヴァンを演じているのがジェラール・ドパルデューだ。彼を知らない映画ファンはほとんどいないと思うけれど、彼の出演作品のひとつ『さよなら、モンペール』(原題: Mon père, ce héros)を知っている人はどれぐらいいるだろう。(後にハリウッドリメイクされ、ドパルデューはそこでも同じ役を演じた)。この映画の舞台はモーリシャス。ストーリーの面白さはもちろんのこと、海の青さと美しさに心洗われ、映像ごしに癒されたひとときを今でも忘れない。
そのモーリシャスの海が、汚染にさらされている。
誰かが故意に行ったことではないだろう。しかし、海を汚す原因になった船のオーナーは、日本の会社だ。いや、国がどうだのと言う以前に、なぜこのような事故が起きたのか、知る責任と権利はあると思う。事故に至った原因のひとつが、私たちが貪欲に追求してきた物質的な豊かさなのだとしたら……直接モーリシャスに行かなくても、大金を寄附することができなくても、私たち1人ひとりにできることを見つけるのはそれほど大変ではないのではないだろうか。
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©️Mika Tanaka |
<本ブログ内リンク>
『海の上のピアニスト』4Kデジタル修復版&イタリア完全版
(原題: La leggenda del pianista sull'oceano)
<公式サイト>
『ファヒム パリが見た奇跡』(原題:Fahim)
原題:Fahim/2019年/107分
配給:東京テアトル/STAR CHANNEL MOVIES
8/14(金)ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国公開
『海の上のピアニスト』4Kデジタル修復版&イタリア完全版
(原題: La leggenda del pianista sull'oceano)
8月21日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、
角川シネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:シンカ