11月20日から上映が始まった『ばるぼら』。
昨年(2019年)の東京国際映画祭で上映されたときには、まさか1年後がこんなことになっているとは誰が想像したでしょうか?
映画祭で「こういう時代だからこそ、肉体の触れ合いを見せる映画を撮りたかった」と語った手塚眞監督の言葉が、今となってずしりと重く心に響きます。
コロナ禍もソーシャルディスタンスも無縁なこの映画で、しばしの間、自由な心で羽ばたいてみるのもよいかもしれません。
1年前の手塚眞監督の言葉を再掲載します。
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再)『ばるぼら』(英題:Tezuka’s Barbara)
原作:手塚治虫
監督:手塚眞
手塚眞監督が『ばるぼら』に出会ったのは10歳の頃。大人向けのコミック誌向けに連載されていたこのマンガは、小学生の眞少年にとって『鉄腕アトム』や『ブラックジャック』以上のインパクトを与えた。そして、映像の世界でキャリアを積み、選んだ題材がこの作品だった。自分の体の中に流れている手塚治虫のDNA……自分の体を流れる血潮、父から受け継いだ血の騒ぐまま、自然に撮り終えた本作には、手塚マンガ独特の空気がすみずみにまで漂う。昭和の芸術が、令和になって不死鳥のようによみがえったかのように。
デジタル化が進み、人との交流も機械をを介して行うことが当たり前の時代となった。「エロティックという言葉をネガティブに捉える人もいらっしゃいますが、僕にとっては、エロティックは人と人とが交流することなんです。こういう時代だからこそ、肉体の触れ合いを見せる映画を撮りたかった」。戦争という時代をくぐりぬけた後、手塚治虫はエロティシズムを"自由"の証のひとつとして描いた。そして手塚眞監督が描く21世紀のエロティシズムは、枯渇した私たちの心を潤してくれる"癒し"を意味するのかもしれない。
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第32回東京国際映画祭で観客の質問に答える手塚眞監督 (2019年11月3日撮影) |
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<本ブログ内リンク>
この映画のラストシーンに、手塚治虫少年が登場します。
第31回東京国際映画祭 速報その3 『漫画誕生』(The Manga Master)
<公式サイト>
『ばるぼら』
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