ロジャー・ミッシェル(Roger Michell)監督がこの世を去ったのが、2021年9月22日。もうすぐ1年が経ちます。コロナ禍によって「映画の撮影ができない」という危機を「アーカイブ・ドキュメンタリーの制作」というチャンスに変えて生まれたのが、彼の遺作となった、この映画です。そして、映画の主人公、エリザベス女王もまた、2022年9月8日、天に召されました。
日本各地の映画館で本作の追悼上映が始まっています。
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『エリザベス 女王陛下の微笑み』 <原題:Elizabeth: A Portrait in Part(s) >
監督:ロジャー・ミッシェル
「君臨すれども統治せず」という言葉で知られるエリザベス女王。
私にとっては「(この世界を)共に生きてくれた人」だった。
お茶目で、おしゃれで、可愛くて……ああ、こんなおばあちゃんになりたいなと思わせてくれる人。歳を重ねることの楽しみを教えてくれた人。それが、この人だった。「女王陛下」という称号すらかすんでしまうくらい、「人」としての魅力に溢れていた。
そして、生涯をかけて1人の男性(フィリップ殿下)との愛を貫かれ、添い遂げられた。王冠ではない、宮殿ではない、女王の人生がきらきら輝いてみえるのは、「愛」の大きさゆえではないだろうか、そう思った。
『ノッティング・ヒルの恋人』(1999年)を撮ったロジャー・ミッシェル監督が切り取ったのは、ポップでユーモアに溢れ、ほんのり淡いピンク色のエリザベス女王の軌跡。
「死を悼む」というのは、「生を振り返る」ことでもあるのだと気づいた。
(c)Elizabeth Productions Limited 2021
<公式サイト>
『エリザベス 女王陛下の微笑み』
https://www.star-ch.jp/starchannel-movies/
2021年/イギリス/カラー/90分/英語/5.1ch/ビスタ/日本語字幕:佐藤恵子/字幕監修:多賀幹子