2017年12月21日木曜日

『ダンシング・ベートーヴェン』( Beethoven par Béjart) その1

『ダンシング・ベートーヴェン』( 原題:Beethoven par Béjart) その1
〜アランチャ・アギーレ監督と会う〜

 ドイツの巨匠、ベートーヴェンの「交響曲第9番 ニ短調作品125」。その第九が演奏される中、大勢のバレエダンサーが音を体で表現していく。オーケストラと合唱が響き渡るステージで、まるで五線譜の河を泳ぐ魚のように・・・・・・20世紀を代表するフランスの振付家、モーリス・ベジャールは、耳が聞こえない人に第九を目で聞かせるかのように、音に大胆で美しい動きを添えた。難聴に苦しんだベートーヴェンがベジャールの舞台を見たら、どれだけ歓んだことだろうか、と思う。ベジャールの死後(2007年以降)、上演は難しいとされていたこの「第九交響曲」の舞台が、後継者によって再び上演されることになった。その舞台裏をとらえたのが、この映画だ。

 監督は、スペイン出身のアランチャ・アギーレ。
  クラシック音楽が大好きで、バレエが大好きだった十代の少女アランチャ。
  祖母の家で過ごす夏は、彼女にとって、特別なひとときだった。そこでは、楽器の稽古に励む3人のおばたちのチェロやフルートの音色が、アランチャの日常を彩っていたからだ。現在、プロの音楽家として活躍する彼女たちの演奏を、ステージ越しではなく部屋の扉越し聞いた、夏の思い出・・・・・・彼女自身は、音楽にのせて美を体で表現するバレエの道に進む。ブリュッセルに渡りベジャール・バレエ団のスクールに所属するが、大学ではスペイン文学を学ぶ。こうして、さまざまな力を得た彼女が選んだのは、ゆかりあるベジャール・バレエ団のドキュメンタリーを撮影するという道だった。ベートーヴェンの人生、ベジャールの人生、そしてアランチャ監督の人生。このドキュメンタリーは、まるで「つづれ織り」のように繊細であたたかくて、美しい。
アランチャ・アギーレ監督(20171122日撮影)
© Mika Tanaka
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<公式サイト>
『ダンシング・ベートーヴェン』( Beethoven par Béjart)

振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品 125
出演:マリア・ロマン、モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団、モーリス・ベジャールバレエ団芸術監督 ジル・ロマン、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督 ズービン・メータ
2016年/スイス・スペイン/83分/フランス語・英語・日本語・スペイン語・ロシア語
配給:シンカ 

1223()よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて公開


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