『ファニーとアレクサンデル』 (原題:FANNY OCH
ALEXANDER/1982年)
7月21日から始まる『ベルイマン生誕100年映画祭』の中の1作です。
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上映時間311分。つまり、鑑賞に5時間以上を要する。途中で休憩が入るが、それでも長い。短めの映画だったら、この時間で3本は見られるだろう。
それでも、見終わったときに疲れを感じない。
見ているうちにぐいぐいと物語に引き込まれ、まるで、自分も登場人物たちと共にテーブルに座っていたかのような錯覚を覚える。それはきっと、スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマンの魔法にかけられたからなのだろう。
見ているうちにぐいぐいと物語に引き込まれ、まるで、自分も登場人物たちと共にテーブルに座っていたかのような錯覚を覚える。それはきっと、スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマンの魔法にかけられたからなのだろう。
(c) 1982 AB Svensk Filmindustri, Svenska Filminstitutet. All Rights Reserved. |
舞台は20世紀初頭のスウェーデン。地方都市・ウプサラにあるエクダール家の物語が、少年アレクサンデルとその妹ファニーを中心に語られる。おばあさんは国民的大女優、そしてお父さんは自分の劇場を持つ俳優で、お母さんも女優として劇場に出演している。5部構成から成るこの映画の第1部では、エクダール家のクリスマス・パーティーが描かれる。豪華な邸宅で、踊り明かす人々。アレクサンデルのおじさんたち、おばさんたち、そして使用人たち……ここで、登場人物ひとりひとりの個性が描かれる。完璧な人などいない。誰もが情けない面を持ち、虚勢を張って生きている。
第2部でアレクサンデルは父と死別、物語は心髄へと向かっていく。
父を亡くし、悲しみにくれる母。先の見えない人生で手を差し伸べてくれた1人の男性に、母は身を寄せる。しかし、アレクサンデルとファニーにとって、そして母にとって、そこに幸せな生活は存在しなかった。
危機に瀕した3人を救うため、アレクサンデルの叔父たちが動き出す。第1部でみっともない姿をさらけ出していた、あの叔父たちだ。「夫を失った義姉の悲しみに寄り添ってあげられなかった」ことを悔やんだ叔父たちは、兄を亡しなって途方にくれる3人(アレクサンデル、ファニーと母)を救い出そうと尽力するのだ。
家族同士のつながりがどんどん希薄になっていく21世紀の日本。「大家族」という言葉も死語になりつつある。
そんな現実を生きる私たちに、ベルイマン監督が、強烈なメッセージを届けてくれる。
「映画」という彼の魔法を使って。
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長い夏休みを取れない人も、せめて1日でいいから休みを取り、この映画に浸ってほしいと思います。その1日は、きっと一生の宝物になるはずです。
映画にはそれだけ大きな力があることを、ベルイマン監督が教えてくれます。
<本ブログ内リンク>
この映画を見た後、むしょうに小津監督の映画が見たくなりました。
再)『東京物語』(1953年/日本)
<公式サイト>
『ベルイマン生誕100年映画祭』
7/21(土)より、YEBISU
GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー
配給:ザジフィルムズ、マジックアワー
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