かつて、映画には音がありませんでした。映像が多くを語っていました。
やがて、映画に音声が加わるようになりました。
美しい映像に感動し、美しい台詞や音楽に感動する……
なんて贅沢なひとときでしょう。
映画館が私たちに与えてくれるものの大きさを痛感します。
コロナ禍の今、「映画館」は荒れ狂う海に光を灯す灯台ではないかと思うことがあります。
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アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3
川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映 (4K修復版/2K上映)
♪ ああ、二人は虹に向かって、歩き出す ♪
及川恒平さんの歌声が虹のかかった空とともに聞こえてくる。
18分ほどの人形アニメーション『虹に向って』(監督:岡本忠成)の原作は、信州の梓川にかかる「雑炊橋(雑仕橋)」にまつわる伝説をベースとした絵本『ふたりがかけた橋』。川を隔てた村に住む二人が少しずつ思いを募らせ共に生きることを誓う。愛らしい人形たちの動きがなぜこんなにもリアルに胸の奥の感覚を揺さぶるのだろう。職人の手によって修復されたのは、映像だけではない。ひとつひとつ丁寧に磨き上げられる水晶玉のように、台詞や音楽にかぶった埃がはらわれ、美しい音色となって心に届く。岸田今日子さんの語りもまた柔らかく、心洗われる。
『おこんじょうるり』(監督:岡本忠成)では、婆さまと狐のほのぼのとした関係が描かれる。二人の東北弁の何と心地よいこと(声:長岡輝子、小野寺かほる)。♪手足ぽかぽか〜♪ と狐が歌う浄瑠璃は、私たちを心底元気にしてくれる。
人と人との間に距離があり、分断があり、多くの人が「分かちあえない」「満たされない」思いを抱えている。そんな今だからこそ、感染対策をしながら、映画館に足を運んでほしいと思う。観ている間、私たちは同じ方向を向き、それぞれ違う感情を抱きながらも「感動」という共通の思いを得ることができるはずだから。
<本ブログ内リンク>
<公式サイト>
『アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3』
https://www.wowowplus.jp/anime_kamisama2-3/
Aプログラム=川本喜八郎5作品
(『花折り』『鬼』『詩人の生涯』『道成寺』『火宅』)合計80分
Bプログラム=岡本忠成5作品
(『チコタン ぼくのおよめさん』『サクラより愛をのせて』『虹に向って』『注文の多い料理店』『おこんじょうるり』)合計78分
提供:株式会社WOWOWプラス
配給:チャイルド・フィルム
全国の劇場にて順次公開中
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