3月8日は、国際女性デーです。
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『裁かるゝジャンヌ』(原題:La Passion de Jeanne d’Arc )
監督:カール・テオドア・ドライヤー
どこかで目にしたような光景……
まるでデジャヴのようだ。何百年も前のことのはずなのに。
この映画で描かれるのは、祖国のために勇敢に戦う戦士ではない。不公平な、名ばかりの裁判で追い詰められる、1人の非力な少女だ。どれだけ心細かったことだろう。悔しさや怒りではなく、”孤独”だけが垣間見える。
拷問され、髪を切られ、大粒の涙を流すジャンヌ・ダルク。その絶望的な表情を見て気づいた。今、この世界にも多くのジャンヌがいることを。
いじめに苦しみ、教室の隅で泣いているあの子。
上司のパワハラから逃れられずにもがく彼女。
夫の暴力に抗うことができず、子供の前でただ怯えるお母さん。
異端審問で裁かれ、火刑台に送られたジャンヌ・ダルクに救いの手が差し伸べられることは最後の最後までなかった。
そして21世紀。文明は発達したはずなのに、弱者を放置する社会はいっこうに成長していないような気がする。
無声映画のはずなのに、ジャンヌのすすり泣く声が聞こえ、ジャンヌを嘲笑う人々の声が聞こえてくる。世界中にジャンヌを、ひとり残らず助けてあげることはできないものだろうか。
監督・脚本・編集:カール・テオドア・ドライヤー
出演:ルネ・ファルコネッティ、アントナン・アルトー
1928 年/フランス/モノクロ/スタンダード/ステレオ/97 分 【伴奏音楽】作曲・演奏・録音:カロル・モサコフスキ(オルガン奏者)/2016 年
原題:La Passion de Jeanne d'Arc
<本ブログ内リンク>
国際女性デーに見てほしい映画
『幸福(しあわせ)』(Le Bonheur)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/03/le-bonheur.html
『女の一生』(Une vie)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/03/une-vie.html
<公式サイト>
「奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」
http://www.zaziefilms.com/dreyer2021/
配給:ザジフィルムズ
(『裁かるゝジャンヌ』は、現在「奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」で上映されています)
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