鎮魂の思いを込めて…『皇帝と公爵』
今日は、沖縄慰霊の日。戦後70年という節目でもあります。
2年前のこの日、日本でこんな映画が上映されました。
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フランス映画祭2013上映作品
『皇帝と公爵』(原題:Linhas de Wellington/2012年/フランス・ポルトガル)
(フランス映画祭2013の上映時のタイトルは、
『ウェリントン将軍~ナポレオンを倒した男(仮)』)
戦争は、いつにあってもどこにおいても、同じように悲しい。巻き込まれ、犠牲となるのはいつも弱者だ。チリ出身の巨匠、ラウル・ルイス監督は、本作に取り組んだものの、撮影前の2011年に他界。ラウルの伴侶であったバレリア・サルミエントがその遺志を継いだ。多くの女性や子供たちが心を踏みにじられるさまは、女性監督ゆえの描写だったのだろうか。
(フランス2013のために来日した、バレリア・サルミエント監督
)
2013年6月23日、有楽町朝日ホールにて撮影
1810年、ナポレオン皇帝の命により、マッセナ元帥(メルヴィル・プポー)はポルトガル征服を企てる。ナポレオンの宿敵、ウェリントン将軍(ジョン・マルコヴィッチ)が率いるイギリス・ポルトガル連合軍がこれに対峙する。本作で描かれるのは、ナポレオンがポルトガルに侵攻してからから撤退するまでの間、ウェリントン将軍が張った防衛線のもとで繰り広げられた、さまざまな人間模様だ。
上映終了後、「この作品を通してもっとも伝えたかったことは?」という観客の質問に対し、サルミエント監督はこう答える。「この戦争が、私たちにどのような結果をもたらしたのか、今日のヨーロッパがいかに残酷な事実を経た上で成り立っているのか、それを伝えたかったのです」。
上映された日は、2013年6月23日。「沖縄慰霊の日」だった。鎮魂の思いを重ね合わせて鑑賞したという観客の声もあった。
ラウル・ルイス監督へオマージュを捧げるため、多くの名優が出演。ジョン・マルコヴィッチ、マチュー・アマルリック、カトリーヌ・ドヌーヴ、ミシェル・ピコリ、イザベル・ユペール、キアラ・マストロヤンニ、メルヴィル・プポーetc...... 彼らが演じるシーンは、短いながらも華やかだ。一方で、歴史的史実に忠実につくられた映画であることを思うと、やはり胸がいたむ。
戦争は、いつだって悲しい。
<公式サイト>
今年のフランス映画祭は、6月26日から始まります。
フランス映画祭2015
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