今日は、日本の終戦記念日。
平和への思いをこめて、2年ほど前に執筆した記事を改稿し、ここに掲載いたします。
2014年8月23日(土)、東京・お江戸日本橋亭で行われた『土曜特選会〜女講談師、平和を謳う〜』のレポートです。
映画、書籍、テレビ番組、芝居、音楽、絵画…… 戦争を伝える手段はさまざま。
私は、この日、”講談”という日本の文化が持つ力と可能性を教えてもらいました。
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講談師が語る平和
『はだしのゲン』ほか
2014年8月23日(土)。
東京・お江戸日本橋亭で『土曜特選会〜女講談師、平和を謳う〜』が開催された。
前座に続き、神田すずの口演が終わると、真打(しんうち)たちが”平和“をテーマに熱く演じ始めた。
『四谷快談』(手塚治虫原作) 神田織音(かんだ おりね)
『火垂るの墓』(野坂昭如原作) 一龍斎春水(いちりゅうさい はるみ)
—仲入り—
『古橋 廣之進』 田辺 一邑(たなべ いちゆう)
『はだしのゲン』(中沢啓治原作) 神田香織(かんだかおり)
「ぼくはいったい、誰に恨みをはらせばいいんだよ!?」と叫ぶ、戦災孤児・平公(へいこう)。お岩さんには、恨みを晴らすべき相手がいた、しかし空襲で視力を失った自分はその怒りと無念を誰にぶつければいいのか、お岩さんにうったえる。マンガの神様のコメディでよみがえったポップなお岩さんが、織音の透明感ある声によって再び生まれ変わった。
「腐った政府のなれの果てが戦争と申します…」。戦災孤児のいたましい日常と幻想的なほたるのコントラストを語りで描く春水。2人のこどもの命の火が消えたのは、終戦と呼ばれる8月15日以降のことだったと加える。
浜松市出身で、”浜松市やらまいか大使”も務める一邑が語ったのは、地元の水泳選手・古橋廣之進(ふるはしひろのしん)の物語。戦後復興のヒーローとして、廣之進がいかに多くの人々の希望の光だったことか……
そして、トリとなる香織が立体講談として披露したのが『はだしのゲン』だ。少し前、原作本が”閲覧禁止”という憂き目に合った事件も起きている。だからこそ、なおさら、「語らなければ」という香織の強い気持ちにうなずきながら聞き入ってしまう。
お江戸日本橋亭には吸い込まれるように観客が集まり、追加の椅子や座布団までもが足りない状態となり、舞台や太鼓部屋にまで席が設けられる状態に。
「夏の講談といえばお化け。そしてこれからは”平和”とも言われるようになってほしい」と、香織は来年度以降もこの企画が続くことを伝えるとともに、立案者である講談協会・宝井琴調(たからいきんちょう)への感謝とねぎらいの言葉を添えた。琴調はこの日、高座には立つことはなかったが、入口で傘を片手に観客を誘導していた。
“芸”には、力がある。本当に戦争を体験しなかった人にも、その悲惨な記憶を焼き付け、NOと気づかせるだけの力がある。そう感じた1日だった。
<本ブログ内リンク>
ナガサキを想う『あの夏の日』
『ジョーズ』(原題:JAWS, 1975年米)——クイント船長と原子爆弾
『風が吹くとき』(When the Wind Blows)
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/08/when-wind-blows.html
鎮魂の思いを込めて...『皇帝と公爵』
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/06/blog-post.html
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