シャンソン・・・・・・ フランス語で「歌」の意味をさすこのカタカナは、日本にとって、単なる「歌」を超えるものだったのではないでしょうか。
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『バルバラ セーヌの黒いバラ』 (原題:Barbara)
シャンソン。
それは、異国フランスから届けられる贈り物。
「自由と愛」のつまった情感たっぷりの歌は、戦後を生きる日本人にどれだけ多くの夢と希望を与えてくれただろうか。
そんなシャンソン歌手のひとりが、バルバラだ。
コンサートの公演の宣伝を一切行わなくても、発売直後にチケットが完売した現象は”神話”と呼ばれたそうだ。
バルバラは生前、刑務所で演奏し、エイズに苦しむ人々の声に耳を傾けた。「奇抜」という言葉を華麗に交わし、「平等」という言葉にかえ、自由という翼で闇をはばたいた歌の女王。
「私には個性があり、それを言う権利がある。あなたにもあるのです」。
このメッセージが、バルバラの歌う1曲1曲に込められている。
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映画の監督は、マチュー・アマルリック。彼は、スタンダードな伝記映画という形式ではなく、劇中劇を使った入れ子構造でバルバラを描く。主人公はブリジットという名の女優。バルバラを完璧に演じようと、彼女の服装から歌声まで、すべてを正確に再現しようとしているうちに、バルバラと一体化していく……やや複雑な展開が、真夜中に咲く花のようにバルバラの魅力をじっくりゆっくりと開花させていく。マチュー・アマルリック自身もまた、映画監督・イヴとして劇中に登場する。主人公ブリジットを演じるジャンヌ・バリバールの艶っぽさと、イヴ役のマチュー・アマルリックのさわやかな野暮ったさが何とも言えず魅力的。
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マチュー・アマルリックが登場したとたん、緊張感ではりつめた画面がふっと緩やかになります。
<本ブログ内リンク>
マチュー・アマルリック主演の映画
『あの頃エッフェル塔の下で』(原題:Trois souvenirs
de ma jeunesse)
<公式サイト>
『バルバラ セーヌの黒いバラ』 (原題:Barbara)
2017カンヌ国際映画祭ある視点部門“ポエティックストーリー賞”受賞
11月16日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
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