2016年1月7日木曜日

『あの頃エッフェル塔の下で』(Trois souvenirs de ma jeunesse)

パリにオフィスを構えるシャルリ・エブド紙がテロリストたちに襲撃されてから、1月7日でちょうど1年が経ちます。
そして、2ヶ月ほど前に起きた1113日の同時多発テロ。
テロの直後に行われたフランスの選挙の結果をどのように読み解くか、人それぞれ……。私はその結果に、希望を感じています。

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『あの頃エッフェル塔の下で』(原題:Trois souvenirs de ma jeunesse)

体の痛み、心の痛み……痛みを感じないで生きている人は、世の中にどれぐらいいるだろう。

この映画の主人公、ポ—ル・デダリュス(マチュー・アマルリック)もそのひとりだった。

©JEAN-CLAUDE LOTHER - WHY NOT PRODUCTIONS

「痛みは何も感じなかった」
ポールは、父親から殴られても、無感覚だった少年時代を振り返る。
人類学者として活躍する彼は、研究のため、定住せず、世界各地を転々とする生活を続けていた。あるとき、数十年ぶりに故郷のフランスに帰国することになるが、空港に着くと、情報局の召喚状が待ち受けていた。「ポ—ル・デダリュスにスパイ疑惑がかけられている」という。

その事件が、長い間封印していたポールの記憶を呼び覚ましていく。

母の死、父との確執、大叔母との暮らし、親友とのソ連旅行、偽装パスポート……そして、身を焦がすような恋人とのやるせない思い出がよみがえったとき、彼は、「無感覚」から目覚め、彩り豊かな感情を取り戻す。
どんなに殴られても決して痛みを感じることのなかったポール。その彼が、命がけで1人の女性を愛し、喜びと苦悩を味わった歴史、それは確かに存在したのだ。


©JEAN-CLAUDE LOTHER - WHY NOT PRODUCTIONS
配給:セテラ・インターナショナル
12月よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開

監督は『そして僕は恋をする』のアルノー・デプレシャン。このとき主人公を演じたマチュー・アマルリックが、ふたたび同じ「ポール・デダリュス」という名で主人公を演じる。恋人の名前がおなじくエステルであることからも、デプレシャン監督の強い思いがうかがわれる。

ネットもスマホもない時代、手書きで愛をしたためるポールとエステルから、時代の片隅に置き忘れた何かを教わりたい。



<公式サイト>
『あの頃エッフェル塔の下で』

http://www.cetera.co.jp/eiffel/

68回カンヌ国際映画祭監督週間 SACD賞受賞
監督・脚本:アルノー・デプレシャン 『そして僕は恋をする』『クリスマス・ストーリー』
出演:カンタン・ドルメール、ルー・ロワ=ルコリネ、マチュー・アマルリックほか
原題:Trois souvenirs de ma jeunesse/英題:My golden days/ 2015/フランス/仏語・ロシア語/123/
日本語字幕:寺尾次郎/後援:フランス大使館、アンステチュ・フランセ日本
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル R15+  ©JEAN-CLAUDE LOTHER - WHY NOT PRODUCTIONS

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