年齢や病気は、仕事や音楽活動を断念する理由にはならない。
彼を見ると、そのことを痛感します。
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『ブライアン・ウィルソン 約束の旅路』
(原題:Brian Wilson: Long Promised Road 2021年 アメリカ )
監督: ブレント・ウィルソン
Ⓒ2021TEXAS PET SOUNDS PRODUCTIONS, LLC
大人も子供も、そして国や性別を超えてーーこんなに多くの人に知られ、愛されるサウンドがあるのだろうか。心に浮かぶのは、涼しげで優しい色合い。青空の下でアイスクリームを食べるときの嬉しい感触。生きていることが楽しくてたまらない高揚感……でも、それが「ザ・ビーチ・ボーイズ」の本質ではない。その素晴らしさはもっと深いところにあるのだと知る。
ブルース・スプリングスティーンも、エルトン・ジョンも、著名な音楽関係者たちが語る。「ザ・ビーチ・ボーイズ」のリーダーとして偉大な実績を残したブライアンウィルソン、その人のことを。
音に音を重ね繊細な作業を積み重ねて完成したコーラスを「聖歌隊」にたとえ、まっすぐな視線を向け、敬意と確信をもった言葉で、彼らは私たちにブライアンのサウンドを解説する。
インタビュー嫌いで知られるブライアンだが、元ローリング・ストーン誌の編集者であるジェイソン・ファインの誠実さが、ブライアンの心を開かせる。“Good Vibrations “ , “I Get Around”……かつてのヒット曲を流しながら、カリフォルニアの海岸をドライブする二人の姿は、まるでロードムービーを見ているよう。
「ザ・ビーチ・ボーイズ」のリーダーとして活躍していた若き日のブライアンと、皺を刻み髪の白くなったブライアン。年を経て苦しみは増えたはずなのに、彼は変わっていないように見える。彼自身の心の奥底で何かが輝き続け、いまだ光を放っているように感じるのだ。心の病が大きな蓋をしていても、すきまから漏れるひとすじの光がその存在を伝えてくれる。
<本ブログ内リンク>
「ザ・ビーチ・ボーイズ」の時代は、ボサノヴァが世界中に広まった時代でもあります。
ジョアン・ジルベルト(João Gilberto)への思い その2
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2019/07/joao-gilberto.html
<公式サイト>
『ブライアン・ウィルソン 約束の旅路』
https://www.universalpictures.jp/micro/brian-wilson
配給: パルコ ユニバーサル映画
TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか 全国公開中