オリンピック開催地のフランスから、豪華な映画の贈り物が届きました。
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『ボレロ 永遠の旋律』(原題:BOLERO)
監督:アンヌ・フォンティーヌ(Anne FONTAINE)
映画の冒頭、さまざまな『ボレロ』が流れる。
スタンダードなクラシックのオーケストラから始まり、ジャズ、マリアッチ……アフリカの子供たちも歌っている。
穏やかに始まり、リズムもメロディもシンプル。単調な心地よさに身を委ねているうちに、気づくと大きな波に飲み込まれる……モーリス・ラヴェルの『ボレロ』はそんな曲だ。甘美でうっとりとするようにも聞こえる一方で、「工場の機械からインスピレーションを得た」と作曲者自身は語るように、無機質な感じもする。国を超え時代を超え、聴く人やそのときの状況によって自由自在に姿を変える。だからこそ「15分ごとに世界のどこかで演奏される」と言われるほどの名曲となったのだろう。
2025年は、フランスを代表する作曲家の1人、モーリス・ラヴェルの生誕150周年。アンヌ・フォンティーヌ監督は、ラヴェルの伝記映画を『ボレロの誕生秘話』という形で取り組む。原案となったのは、マルセル・マルナによる評伝 『Maurice Ravel』(未邦訳) 。フォンティーヌ監督のしなやかな想像力がラヴェルの音色と重なり合う。
ラヴェルの理解者であるピアニストにエマニュエル・ドゥヴォス、『ボレロ』の官能的な一面を引き出したダンサーにジャンヌ・バリバール、ラヴェルが恋慕うミューズにドリア・ティリエ……個性の違う粒揃いの女優たち。そして主人公のラヴェルにラファエル・ペルソナ。彼はラヴェルを演じるために体重を落とし、ピアニストや指揮者としての身のこなしを体に叩き込んだ。サウンドトラックでピアノを担当したアレクサンドル・タローが、評論家の役として出演し、元パリ・オペラ座のエトワール、フランソワ・アリュがエネルギッシュに『ボレロ』を踊る。豪華な配役だけではない。『ボレロ』を作曲するシーンは、ラヴェル本人が実際に暮らしていた”ル・ヴェルヴェデール” で撮影された。暗い映画館の中で、美しさと豊かさで心がいっぱいに満たされる2時間。こんな素敵な日があってもいい。
<公式サイト>
『ボレロ 永遠の旋律』
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