ベル・エポック(Belle Époque)、日本語に訳すと「美しき時代」。
館内に入ると、エリック・サティーのピアノが聞こえてくる。右手には当時ブルジョワの小さな女の子が着用していたドレスが展示されている。そんな華やかさを目にしながら左へ進むと、レモンを右手に持った少年の絵が目に飛び込む。パリの孤児を描いた「小さなレモン売り」(フェルナン・ペレーズ/1890年)だ。その隣では、扇子を広げた娼婦が、まっすぐにこちらを見ている。
ミッシェル・オスロ監督の映画『ディリリとパリの時間旅行』(原題:Dilili a Paris)にインスパイアされたこの企画展は、映画がそうであったように、ベル・エポックの時代の光と影の両面を私たちに見せてくれる。「道化師の画家」ジョルジュ・ルオーをはじめ、当時の画家たちが描く道化師たちの哀愁を帯びた表情に心惹かれるのは、仮面をつけて生きなければならない現代社会の私たちとも通じる何かがあるからなのだろうか。朗読や影絵芝居の再現映像もある。ゆっくりと館内を歩いているうちに、ここが21世紀の東京であることを一瞬忘れてしまいそうになる。時間と空間を超えるという感覚は、このことかもしれない 。
<本ブログ内リンク>
『ディリリとパリの時間旅行』(Dilili à Paris)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2019/08/dilili-paris.html
<公式サイト>
パナソニック汐留美術館
https://panasonic.co.jp/ew/museum/
会期:2024年10月5日(土)~ 12月15日(日)
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