2018年5月14日月曜日

『ライオンは今夜死ぬ』 (Le lion est mort ce soir)

 ヌーヴェルヴァーグの申し子と言われた俳優、ジャン=ピエール・レオー。彼が、ルイ14世を演じる『ルイ14世の死』が公開されます。ルイ14世を演じる少し前に主演したのが、この映画です。

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『ライオンは今夜死ぬ』 (原題:Le lion est mort ce soir

「僕も死んだお父さんに会えるの?」
 1人の少年が、老年の俳優に問いかけるシーンが忘れられない。
 舞台は南仏のコート・ダジュール。老年の俳優・ジャン(ジャン=ピエール・レオー)がどのように「死」を演じたらよいか、悩むシーンから始まる。撮影の合間、ジャンがかつての恋人が住んでいた屋敷を訪れると、突然、恋人だったジュリエット(ポーリーヌ・エチエンヌ)が現れる。若い頃のままの姿で。幽霊と呼ぶにはあまりにも生き生きとしたジュリエットを、ジャンは抱きしめ、愛を語る。そんな恋人との奇妙な日々と同時進行ですすめられるのが、こどもたちとの交流だ。「僕たちの映画に出演してくれませんか?」という誘いを快諾、ジャンは映画づくりのノウハウを後輩に伝授し始める。ジャンはこどもたちに恋人の話を語り、こどもたちは真剣に耳を傾ける・・・・・・映画のタイトル、「ライオンは今夜死ぬ」は、ジャン=ピエール・レオー自身が好きな歌で、劇中、ロケハンに中のバスでこどもたちと一緒に歌うシーンが流れる。また、ジャンとジュリエットの会話の一部は、ジャン=ピエール・レオーの父ピエール=レオーが書いた戯曲から取り入れた。子役はすべて、映画制作に興味を持つ子どもたち。劇中の映画制作は本当のワークショップで、彼らは脚本にしばられることなく、自由に映画づくりと自分たちの役柄を演じている。十代からトリュフォーの映画に出演していた、ジャン=ピエール・レオーが、子どもたちを通して、あらためて映画の素晴らしさに気づかされるという演出のなんと粋なこと! この粋なはからいは、日本出身の映画監督、諏訪敦彦氏によるもの。きらきらと光る湖のシーンがものすごく綺麗で、ものすごく切ない。

監督:諏訪敦彦
出演:ジャン=ピエール・レオー、ポーリーヌ・エチエンヌ、イザベル・ヴェンガルテン ほか
2017年/フランス・日本/103分
配給:ビターズ・エンド


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ポーリーヌ・エチエンヌ出演の映画

EDEN エデン』

『ジュリーと恋と靴工場』


<公式サイト>

ライオンは今夜死ぬ


2018年5月11日金曜日

『ダリダ あまい囁き』(Dalida)

  アラン・ドロンとのデュエット「あまい囁き」等で知られる、歌手・ダリダの映画が公開されます。
  映画の中で、彼女が日本語で歌うシーンがちらりと流れます。
「貧しい流しの歌手で♪」…… ツアーで日本に来日したのは、1979年〜1980年頃でしょうか。
その頃の日本は、きっと今よりももっと希望に満ち満ちていたような気がします。

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 『ダリダ あまい囁き』  (原題:Dalida

自由に踊って歌わせて♪ 
踊らせて 好きなように♪ 
夢の果てまで♪ ( “Laisser moi danser”より)  

  映画の中で、ダリダがよみがえる。
  軽やかなビート、のびやかな歌声。ああ、この頃は時代そのものがキラキラしてたっけ。1970年代後半、彼女の弟でありプロデューサーであったブルーノ・ジリオッティは、彼女の昔のナンバーをディスコビートにアレンジ、ダリダはダンサーたちに囲まれて華麗なショーを展開していた。かつてジュリエット・グレコやシャルル・アズナブールたちの前座をつとめ、後にエディット・ピアフから「私の次はあなたよ」と賛辞を送られたエジプト出身の歌手・ダリダ。このまま、情感豊かなバラードを歌い続ける道もあったのだろうけれど、彼女は最後の最後まで「過去の人」になろうとはしなかった。ブルーノと手を取り合い、未来へ向かって歩き続けた。
  そんなダリダの死から30年以上が経った。
  ブルーノは、彼女の未来を「映画」に託す。
  少女時代、ミス・エジプトの栄冠、歌手としてのデビュー、「バンビーノ」の大ヒット、結婚と離婚、インドへの旅……映画は、ダリダの歌声に乗せてヨランダ(ダリダの本名)の人生を語る。歌手としての人生、そして1人の女性としての2つの人生だ。「(聴衆ではなく)あなたに愛されたい」と恋人をみつめるヨランダ。「夕食をつくって子供を育てたいの」
  普通に憧れ、結婚と出産を切に願うヨランダだが、芸術の神様は彼女を手放そうとはしなかった。愛する人を失う度に彼女の歌は成熟し、多くの人を魅了する。そして「子供を産む」という道を断念したとき、ダリダの人生はディスコビートに乗って新しい時代へと動き出す。ちょうど日本がバブル経済に向かおうとしていた頃だ。
「僕の使命は今でも当時と同じ。彼女の記憶をただ残し続けるだけじゃなくて、彼女を未来に連れて行くことなんだ」。ブルーノの言葉のとおり。映画の中でダリダは生きている。20世紀ではなく、21世紀を、不死鳥のように。

 
© 2017 BETHSABEE MUCHO-PATHE PRODUCTION-TF1 FILMS 
PRODUCTION-JOUROR CINEMA


519日(土)角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー


監督:リサ・アズエロス
出演:スヴェヴァ・アルヴィティ、リッカルド・スカマルチョ、ジャン=ポール・ルーヴ
ニコラ・デュヴォシェル、アレッサンドロ・ボルギ、ヴァンサン・ペレーズ、パトリック・ティムシット
2017年/127分


<本ブログ内リンク>

アフリカ・コンゴの歌姫の物語
『わたしは、幸福(フェリシテ)』(Félicité



<公式サイト>
『ダリダ あまい囁き』 

2018年4月6日金曜日

『ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより』


『ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより』


アンナ・リー・メリット
《締め出された愛》
 1890



 なんて悲しい絵なんだろう……
 初めて見たときの胸の痛みをまだ覚えている。
 温かい家から締め出されてしまった子供。ドアを開けてくれるのを裸のまま待ち続ける子供……当時の私には、虐待に耐える子供の絵のように感じられた。

 横浜美術館で、2018324日より始まった『ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより』に展示された1枚の絵、『締め出された愛』(Love Locked Out)。
 
  作者は女性の画家、アンナ・リー・メリット(Anna Lee Marit) 。制作は1889年。
  結婚してすぐに他界した夫への思いを「妻を失ったキューピッドの物語」になぞらえて描いたという。妻に会いたくて会いたくて、扉をこじ開けようとするキューピッド。私の想像と作者の意図は違っていたけれど、「愛を渇望する」思いが、時空を超えて私の心に飛び込んできたのは、間違いなかった。
 女性が画家として活動するのが難しかった時代、『締め出された愛』は、ロイヤルアカデミー展に女性画家の作品として初めて出展された記念すべき1枚となる。それが「裸体画」であったことも、大きな挑戦だったに違いない。
 彼女が抱いた勇気を考えると、今の自分をもっと叱咤激励したくなってくる。
 あなたはどうですか?


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 この絵が描かれた1889年は、ちょうど横浜が開港して30年ほどが過ぎた頃です。多くの人でにぎわい、時代をリードした横浜の街を思いながら鑑賞すると、この絵の違った一面が見えてきます。

オーギュスト・ロダン
《接吻》
1901-4年




<本ブログ内リンク>

本展で展示されるロダンの『接吻』を鑑賞した後にこの映画を見ると、ずしりとした何かが心に残ります。

『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』(Rodin

20世紀の女性画家の物語
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』(MAUDIE

<公式サイト>
横浜美術館


  横浜美術館の入口はとても開放的


2018年4月4日水曜日

『危険な関係』 4Kデジタル・リマスター版( Les Liaisons Dangereuses 1960 )

首都圏では、満開の桜が少しずつ葉桜に・・・・・・ 例年になく早い開花でした。
この映画で、外交官を演じる主人公が、手帳を見ながら「4月に東京……サクラの季節だな」と言っているのが印象的でした。アル・ゴア氏の映画『不都合な真実』が胸をよぎります。

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『危険な関係』  4Kデジタル・リマスター版
( Les Liaisons Dangereuses 1960 )

© 1960 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS

 何てスタイリッシュ!ジャズとモノクロの映像、シャネルの服と個性際立つ俳優陣。背徳的な題材がこんなにも品よく展開していくのは、映画の魔法ゆえだろうか。原作の舞台は18世紀のフランスの貴族社会。本作が発表されてからも、多くの映画人に愛され、さまざまな国で映画化されてきた。それだけ人を魅惑するテーマなのだろう。


© 1960 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS

 といっても、この題材を扱うにあたっては、監督の品性や力量が試される。この映画を見ていると、ロジェ・ヴァディム監督がどれだけ映画の神様に愛されていたか、よくわかる。残酷なストーリー展開なのに、ジェラール・フィリップの茶目っ気とジャンヌ・モローの奔放さが華麗に交わしていく。観客に媚びないモンクやアート・ブレイキー達のジャズの音も素敵。ジェラール・フィリップの遺作として見るのも、昨年(2017年)他界したジャンヌ・モローへの追悼の思いで見るのもおすすめだけれど、今上映中の『ハッピーエンド』(Happy End) に出演しているジャン=ルイ・トランティニャンの若かりし頃の姿に出会えるのも、フランス映画ファンにとって貴重な体験ではないかと思う。

© 1960 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS



<本ブログ内リンク>
『天使の入江』(La baie des anges) ジャンヌ・モロー主演

<公式サイト>
『危険な関係』  4Kデジタル・リマスター版

原作:コデルロス・ド・ラクロ
監督:ロジェ・ヴァディム
音楽:セロニアス・モンク アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
出演: ジェラール・フィリップ ジャンヌ・モロー アネット・ヴァディム ジャン=ルイ・トランティニャン
1959年→2018年/フランス/ 102分/R15+
配給:セテラ・インターナショナル


324日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて公開

YEBISU GARDEN CINEMA オープン3周年記念  セテラ・インターナショナル創立30周年記念