2015年9月18日金曜日

『カプチーノはお熱いうちに』 (Allacciate le cincture)

10月は、ピンクリボン(Pink Ribbon)月間です。
それに先立つ919日から、この映画の上映が日本で始まります。

乳がんの予防、早期発見、早期治療の大切さを、少しでも多くの人に気づいてもらえますように。

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『カプチーノはお熱いうちに』
(原題:Allacciate le cincture / 2014/イタリア)
監督:フェルザン・オズペテク Ferzan Ozpetek

L'amore (アモーレ)= 愛 

「愛」ってなんだろう?

男と女の愛は、永遠に続くの?

原始の時代に、男女がこんなことを考えながら暮らしたとは思わないけれど、いつからかこの問いかけが生まれ、現在も、そしてこれからもずっと、私たちを悩ませ続けるのだろう。

この映画もまた、この問いかけを登場人物に投げかける。
学校のクラス委員になるようなタイプのエレナ(カシア・スムトゥニアク)と、粗暴で不器用なアントニオ(フランチェスコ・アルコ)。この正反対の2人が惹かれ合うことが、第一の不思議。でも、こういうことは現実世界にもよくある。

そして、お互いにかつての情熱を失いぼろぼろになりながらも、根っこの部分で「愛」を失わずにいることが、第二の不思議。ここまで貫けるカップルは、ほんのひと握りなんじゃないかと思う。多くのカップルは、「ほら、その場の勢いで一緒になったからさ」と、周囲から言われながら、離婚届けを出しに行くのが現状だと思う。
でも、「ほんのひと握り」のカップルは確かに実在していて、私たちに愛すること、結婚することに対して、大きな希望を与えてくれている。


©2013 All rights reserved R&C Produzioni Srl - Faros Film

 こどもが生まれ、生活に追われて外見的な美しさを失い、夫婦の会話もぎこちなくなっていく過程……恋愛にたけていて、口説き上手と口説かれ上手、そんな、イタリア人への憧れは幻想なのだと、この映画で気づく。そして、国が違っても、夫婦の悩みは同じなのだと知る。


乳がん
識字障害(読み書きができないこと)
同性愛への偏見
家族との死別

そんな悲しみが渦巻く映画の中で、元気に生きる脇役の女性たちもまた印象的。

きびきびとした若き女医、ディアーナ(ジュリア・ミケリーニ)
破天荒な生き方を貫くカルメラ(エレナ・ソフィア・リッチ)
闘病の中でもユーモアを忘れないエグレ(パオラ・ミナッチョーニ)

どの登場人物にも、くっきりとした輪郭があって、多様性に富んでいる。

エレナが、カフェの馴染み客だったディアーナと再会したときのセリフが、おしゃれ。


©2013 All rights reserved R&C Produzioni Srl - Faros Film


原題の”Allacciate le cincture (シートベルトをお締めください) “というタイトルも気が利いているけれど、『カプチーノはお熱いうちに』という邦題が、映画にもうひとつの魅力を添えてくれた。

ラストシーンの美しい海と、エンドロールで流れるイタリア語の歌” A mano a mano”
(歌:Rino Gaetano)が、束の間のイタリア旅行を楽しませてくれる。クレヨンで書いたような可愛い手作りの航空券を、心のポケットにしのばせるような気分で、ぜひ。

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美しい海は、アドリア海とイオニア海に挟まれた街、レッチェの海岸で撮影されました。

”Allacciate le cincture (シートベルトをお締めください) というタイトルには、「乱気流が思わぬところで起きるのが人生。そんなとき、シートベルトを締めるように心の準備をして生きなければ」という監督の思いが込められています。

トルコ出身のオズペテク監督は、こんな言葉も残しています。
「希望というのは、未来にだけあるのではなく、過去にも存在すると思う。そんなメランコリックな希望をこの映画で描きたかった」と。レッチェの美しい海を愛でながら、この言葉を思い出してほしいと思います。


<公式サイト>
『カプチーノはお熱いうちに』

http://www.zaziefilms.com/cappuccino/

919()より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
配給:ザジフィルムズ

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