2017年11月16日木曜日

『ひなぎく』(Sedmikrásky) その6


 自由と抵抗がテーマの「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ」。その流れを汲む9作品が、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映されています。ヤン・ニェメツ監督の日本初公開作品『愛の殉教者たち』と、上映禁止になった『パーティーと招待客』をはじめ、イジー・メンツェル監督、ヤロミル・イレシュ監督、ユライ・ヘルツ監督、カレル・ゼマン監督等による、貴重な作品が並びます。もちろん、ヴェラ・ヒティロヴァー監督の『ひなぎく』も。1991年の日本での劇場公開から26年間、『ひなぎく』は世紀をまたいで日本のファンに愛され続けています。

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『ひなぎく』その6 
(原題:Sedmikrasky/チェコ・スロヴァキア/1966/75分)

©State Cinematography Fund


  チェスキーケーのくまがいさんから映画『ひなぎく』が日本で再上映されるとの連絡を受けたのは、20142月のこと。「チェコヌーヴェルバーグ」という言葉を知ったのも、ヴェラ・ヒティロヴァーという映画監督を知ったのも、初めてのことだった。その翌月の2014312日、ヴェラ・ヒティロヴァー監督は永眠。彼女の体は天へ召されたけれど、彼女の魂ともいえる『ひなぎく』は、今でも生き生きとした存在感を放っている。
 
 製作は1966年——それなのに、今を生きる日本の女の子たちのリアルな日常とどこか通じる。50年も経ったのに!ヒティロヴァー監督の感性のすごさに感動する。
  と、同時に、50年経っても「女の子」や「女性」の立場は対して変わっていないという現状にがく然とする。ちょうど今上映中の『ソニータ』も、一個人としての権利を与えられない少女たちの現状を訴えるドキュメンタリーだ。

 映画をつくったり観たりするだけで社会の問題が解決するとは思わない。でも、監督や俳優たちが骨身を削り、思いを込めてつくった映画には、「何か」がある。もしあなたが映画好きなら、きっとその「何か」を知っているはず。
 だからこれからもいい映画をどんどん観てほしい。
『ひなぎく』も間違いなくそのひとつ。ガールズの奔放さとしたたかさ、そのバイタリティに、心が思い切り解放される。
 その豊かな心を大切に生きてほしいと思う。豊かな心があれば、何が正しくて何が間違っているか、より正しい判断ができるから。その一人ひとりの「質のよい判断力」こそが、社会を変えていく原動力なのだと思う。
 
 世の中のガールズ(女の子や女性)が、不当な扱いを受けない時代が少しでも早く訪れますように。

©State Cinematography Fund



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  上映中のニェメツ監督作品は2作品。『ひなぎく』と同年の製作で、脚本・美術・衣装担当のエステル・クルンバホヴァーをはじめ、『ひなぎく』で見覚えのあるスタッフやキャストが名を連ねています。


<公式サイト>
映画『ひなぎく』
(※上映に関する最新の情報が、逐次掲載されています)

『チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ』
https://cs2017.jimdo.com

アフガニスタン出身のラッパー、ソニータを追ったドキュメンタリー
映画『ソニータ』


<本ブログ内リンク>

『ひなぎく その1』

『ひなぎく その2


『ひなぎく その3

『ひなぎく その4

『ひなぎく その5







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