ヒロシマ、ナガサキ、川内原発の再稼働。
そして今日は、御巣鷹山日航機墜落事故からちょうど30年。
やるせない気持ちに猛烈な暑さと蝉しぐれが重なります。
お盆休みも重なり、新しい何かを始める気力もいまいち。
そんなとき、心を少し元気にしてくれる音楽や映画があるといいな、と思います。
米国女優・ローレン・バコールさんの他界からちょうど1年が経ちました。彼女は出演していないけれど、この映画にとって、彼女はなくてはならない存在です。
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『リトル・ロマンス』(原題:A LITTLE ROMANCE、1979年米)
監督:ジョージ・ロイ・ヒル(George Roy Hill)
音楽:ジョルジュ・ドルリュー(Georges Delerue)
「ローレン…ぼくをボギーと呼んでくれないか?」
「なぜ?」
「ボギーとローレン。2人は、お互いにとってかけがえのない存在だったんだ」
ダイアン・レインの映画デビュー作『リトル・ロマンス』のワンシーン。
ローレン(ダイアン・レイン)にひとめぼれした少年・ダニエル(テロニウス・ベルナール)が、初めてローレンに声をかけたときの会話だ。
ボギーは、ハンフリー・ボガートのこと。そして、ローレンは、ローレン・バコール。
映画大好き少年のダニエルが、「ローレン」という名を聞いてとっさに出たのがこの口説き文句だ。ハンフリー・ボガートとローレン・バコールはおしどり夫婦で知られ、ボギーががんで他界するまで、2人は連れ添ったと伝えられる。
永遠の愛を信じようとする少年少女を描いた『リトル・ロマンス』。
十代の2人は親に告げずに、フランス・パリからイタリア・ベニスまで向かう。駆け落ちではない。ベニスの「ためいきの橋」の下で日没の瞬間にキスをすると2人は永遠に結ばれるという「サンセット・キス」の伝説を信じ、実現するためだ。
よくあるロマンス映画に聞こえがちだが、ジョージ・ロイ・ヒル監督の手腕はこの作品を時代を超えた名作につくり上げた。フランス、イタリアの情景も美しいが、流れる音楽はもっと美しい。そして、何よりも、この名優の存在に敬服。2人の旅路に付き添う老紳士、ユリウスを演じるローレンス・オリヴィエだ。スリという、決して自慢できる職業ではユリウスだが、人生の先輩としての責任感を見習いたい。若者たちに夢を与え、夢を忘れないことの大切さをユリウスは教える。そして、永遠の愛が実在することも。
「ぼくをボギーと呼んで」
2人の時間は、この言葉で始まり、この言葉で終わる。終わるといっても、それはひとときの別れにすぎない。
天国の門をくぐったローレンは、まっさきにボギーを探しに向かうのだろうか。
永遠の愛がほんとうに存在することを、信じていたい。
『リトル・ロマンス』
DVD ¥2,500+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
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