からっとした秋風が頬をなでる頃、その湿度を補うかのように、心がしっとりとした感触を帯びるような気がします。
東京近郊は台風の影響で雨となりましたが、映画館を訪れる人たちの道中が安全でありますよう。
今日から、フランス映画祭2017で喝采を受けた、この映画の上映が始まります。
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『あさがくるまえに』(原題: Reparer les vivants)
© Les Films Pelléas,
Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms
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フランス・ノルマンディー地方の港町ル・アーブル。夜が明ける前、3人の青年が車で海へ向かう。波乗りに挑み、心地よい疲れとともに帰路に着くが、そのとき、大きな運命の波が押し寄せる・・・・・・脳死とは何か? 脳が死ぬということは、すなわち「死」を意味するのか? 残された者はどのように心を整理していくのか? 息子を失って泣き崩れる母親がいるその向こう側には、死を待つ母親を案じる息子がいる。「臓器移植」は、人の命を救う一方で、遺族が感傷に浸る時間を待ってはくれない。家族に提供を打診する臓器移植コーディネーターの存在が、冷酷で非情にうつっても不思議はない。しかし、コーディネーター・トマ役のタハール・ラヒムの演技は、人間味にあふれ、あたたかい。
© Les Films Pelléas,
Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms
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「彼らが直面する感情的な負担から、どうして彼らは自分を守ることができるのか」を知ろうと、撮影前に、ラヒムは実際に移植コーディネーターを手がけるレジス・ケレ氏を何度も訪ねたという。その結果、ラヒムは、ドナーを静かに導く天使のようなトマを演じ切った。「心臓」が主人公となる群像劇を一編の映像詩のように紡いだ、カテル・キレヴェレ監督の感性はどこまでもしなやか。「この作品では、社会の多様性、人と人との連帯を表現したいと思いました」と語ったキレヴェレ監督。出演者を決めるときも、多様性を念頭に置いた。「それが映画に生き生きとした力をもたらす」と彼女が信じたとおり、生命力にあふれた1本の映画がこうして完成した。
フランス映画祭2017で来日した カテル・キレヴェレ監督
(2017年6月23日有楽町朝日ホールにて)
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臓器移植がこの映画のように、誠実なかたちで行われることを、心から願います。
まだ命の火が灯っている人々の臓器が、理不尽に奪われることがありませんよう。
<本ブログ内リンク>
『フランス映画祭2017』を終えて
<公式サイト>
『あさがくるまえに』
2016年/原題: Reparer les vivants /フランス・ベルギー/ 104分/PG12(映倫区分)
配給: リアリーライクフィルムズ、コピアポア・フィルム
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