『旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス』
(原題:Journal de France)
砂漠をゆったりと歩く美女の官能と、母親との死別と向き合うパリジェンヌの葛藤。精神病院で、裁判所で、自分の存在を訴え続ける市民たち。
© Palmeraie et désert –
France 2 cinéma
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「ドキュメンタリー映画」という枠にはめてしまうのがもったいないほど、流れる映像は詩的で美しくて、やがて、目を離すことができなくなる。
「倉庫に眠る膨大なアウトテイクをつないで、一本の映画にしたい」というドゥパルドンの思いを形にしようと、共に旅する伴侶、クローディーヌ・ヌーガレが奔走し完成されたのがこの作品だ。懐かしい趣きの残る街角や小売店を撮りながら旅をするドゥパルドンの「(個人的な)今」を語る映像と、紛争地域や政治の内幕といった若きドゥパルドンが撮影した「(歴史的な)過去」を語る映像が交互に流れていく。
© Palmeraie et désert –
France 2 cinéma
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絵はがきに使いたくなるような美しい映像があるかと思えば、後に独裁者となることを誰も知らなかった頃の政治家の映像がある。コラージュを動画にしたような趣きの中で一貫して感じ取れるのが、ドゥパルドンが注ぐ「被写体への愛情」だ。
© Palmeraie et désert –
France 2 cinéma
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ドゥパルドンは、「カメラで聞き、見つめる」という方法で、大きな歴史の流れの中で必死にもがいて生きる小さな命に光を当て続けた。何の事件もないさりげない日常なのに、そこには愛とドラマの余韻がただよう。だから、この映画に登場する市井の人たちは、さりげなく登場するアラン・ドロンやネルソン・マンデラら、著名人たちと同じだけの存在感を私たちの心に残していく。その中には、若かりし頃の、クローディーヌ・ヌーガレの映像も。
© Palmeraie et désert –
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ひとめぼれだったんだろうな。彼女のことが愛しくてたまらないという、ドゥパルドンの思いが伝わってくる。芸術と報道。そのどちらも極めたドゥパルドンだが、根底にあるのは「愛」というひとつの信念であるような気がする。
© Palmeraie et désert – France 2 cinéma
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★ ドゥパルドンが、イタリアの精神病院を取材していた頃の映像が本作で流れます。その頃から、精神病患者の待遇がどのように変わり、21世紀を迎えたか、この映画から知ることができます。
『歓びのトスカーナ』(原題:La pazza gioia)
★ 写真家を語る映画、この2作もぜひ。
『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒』(Robert Doisneau: Through the Lens)
『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』 (Le sel de la terre)
<公式サイト>
『旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス』
http://tabisuru-shashinka.com/
監督: レイモン・ドゥパルドン クローディーヌ・ヌーガレ
製作: クローディーヌ・ヌーガレ
撮影: レイモン・ドゥパルドン
録音: ギヨーム・シアマ ヨランド・ドゥカルサン ソフィー・シアポ
編集: シモン・ジャケ
楽曲提供: パティ・スミス アレクサンドル・デスプラ ジルベール・ベコー
グロリア・ラッソ アラン・バシュン 他
出演: レイモン・ドゥパルドン クローディーヌ・ヌーガレ アラン・ドロン
ジャン=リュック・ゴダール エリック・ロメール ジャン・ルーシュ ミレーユ・ダルク
マリー・リヴィエール ミレイユ・マチュー ジャック・シラク ネルソン・マンデラ 他
2012年/フランス/100分/カラー/シネスコ/5.1ch 日本語字幕:高部義之
配給:
アンプラグド
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