2018年9月23日日曜日

『プロヴァンス物語 マルセルのお城』 デジタルリマスター4K版 (原題: Le château de ma mére)

 夏が終わり、秋の虫の音が聞こえる季節となりました。 明日は十五夜。
日仏交流160周年を記念して、マルセル・パニョルの少年時代を描いた名作が、デジタルリマスター4K版として、劇場に戻ってきました。

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映画の中のこどもたち その8

『プロヴァンス物語 マルセルのお城』 デジタルリマスター4K版
(原題: Le château de ma mére)
監督:イヴ・ロベール

1990 GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION


                                                                   
  Joyeux Noël !! (メリー・クリスマス!)
  せみしぐれと甘酸っぱい夏の思い出に溢れていた『マルセルの夏』の続編、『マルセルのお城』では、クリスマスの団らんが描かれる。マルセルたちの一家が愛してやまない、あの丘で過ごす初めてのクリスマスだ。神様を信じる人も信じない人も、去りゆく年を振り返り、新しい年を夢見る。  
  一家は復活祭(イースター)に、また丘に戻る。マルセルは恋に落ちる。そしていつしか、週末を丘で過ごすようになる。重たい荷物を持ち、8-9キロの道のりを2時間以上かけて、そこまでの思いで、彼らは大切なひとときを分かち合う。家族で手を取り合って……  律儀な父の心変わり、小さな罪におびえる母。そんなグレートーンの思い出ですら、プロヴァンスの陽の光とバラの香しさで彩られる。お城のおじさんに肩車をされてはしゃぐポールがここでも愛らしい。
 でも、時は過ぎる。いつだってものすごい勢いで。幸せなひとときは永遠には続かない。『マルセルの夏』で描かれなかった家族のその後も、この映画で描かれる。大人になった彼の記憶に焼き付いている母の不安げな表情が美しくて切なくて、涙が出そうになる。

1990 GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION



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『プロヴァンス物語 マルセルの夏』 デジタルリマスター4K版

<公式サイト>
映画『プロヴァンス物語 マルセルの夏』『プロヴァンス物語 マルセルのお城』




2018年9月19日水曜日

『ボヴァリー夫人とパン屋さん』(GEMMA BOVERY)

「フランスパンの神様」といわれる、フィリップ・ビゴさん他界の知らせが入りました。
ビゴさんへの感謝の思いを込めて、2015年7月に掲載した記事を改稿、再掲載します。

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 『ボヴァリー夫人とパン屋さん』(原題:GEMMA BOVERY)
監督:アンヌ・フォンティーヌ

“フランス”と聞いて、まっさきにどんな風景を思い浮かべるだろう?
エッフェル塔にセーヌ川、カフェでおしゃべりを楽しむ人たち……そんな都会的なフランス? それとも、この映画のような牧歌的な風景?

 フランスという国は、パリのような都会から農村や漁村に至るまで、官能的な空気が漂っているような気がする。
フランス・ノルマンディー地方を舞台にしたこの映画も、ものすごく官能的。主人公のジェマ・ボヴァリー(ジェマ・アータートン)の飾り気のない仕草、牧歌的な風景……その極みは、パン屋のマルタン・ジュベール(ファブリス・ルキーニ)がパンをこねる作法。これほどまでに官能的なシーンがあるんだろうか! パンをおいしそうにほおばるジェマの表情にもうっとり。

 官能とは生を謳歌すること。おいしいものを「おいしい!」と思って食べることもきっと、官能的なことなんだろう、と思う。
 



© 2014 – Albertine Productions – Ciné-@ - Gaumont – 
Cinéfrance 1888– France 2 Cinéma – British Film Institute




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アンヌ・フォンティーヌ監督作品
『夜明けの祈り』が始まる







 アンヌ・フォンティーヌ(Anne Fontaine)監督
2015年6月27日 有楽町朝日ホールにて撮影









ジェレミー・ギリーさんと会う  その3 


 9月21日は「国際平和デー」(International Day of Peace)。ピース・デーとも呼ばれます。
 ピース・デーの立役者であるジェレミー・ギリー(Jeremy Gilly)さんから、子供たちへのメッセージを預かりました。

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ジェレミー・ギリーさんと会う(Interview with Jeremy Gilly)
その3 ― 子供たちへ贈る言葉 ―

 平和って何だろう?
 それは、「暴力」がない世の中のこと。だから「戦争」っていうものすごく大きな暴力がなくなれば、平和な世の中っていえる。
 
 でも、戦争がないことだけじゃない。みんなが安心して過ごせる世の中が、本当の意味で平和な世の中ということだから。

「世の中の暴力の多くが、家庭で、地域で、学校や職場で起きています」。日本を訪れたジェレミー・ギリーさんはこう語った。

「私たち一人ひとりにできること、それは、日常生活の中で平和を作ることではないでしょうか?」

 家族との間で、会話はあるだろうか?
 学校で、仲間はずれにされている同級生はいないだろうか?
 職場で、孤立している人がいないだろうか?

 こんなふうに、1人ひとりが考えることが平和への第一歩だと。これなら、子供にだってできそうだ。受験勉強や部活で忙しくても、人前に出るのが恥ずかしくても、すぐに始められそうだ。「9月21日」は平和の日だから、この日をきっかけに始めたらどうだろう?

ジェレミー・ギリーさん(2018年8月31日撮影)


 ジェレミーさんは、こんなメッセージを子供たちに贈ってくれた。

「9月21日は、君たちの日でもあるんだよ。この日を、自己表現の日にしたらどうだろう? 平和について考え、それを表現するんだ。平和についての絵を描いたり、詩を綴ったり……スポーツの得意な子なら、平和のためのランニングをしたっていい。自分を表現するんだ。『平和』という言葉をきっかけに。そして、家に帰ったら、家族にそのことを話そう。自分がどんな活動をしたのかって。そうして語り合って、その日一日、家族で仲良く過ごすんだ。そう、この日は君たちのための日なんだよ」
 
ジェレミーさんは、子供の頃、子役俳優として活躍していた。そんなジェレミーさんは、大人になって、自分の力を平和のために生かそうと決めた。映画の素晴らしさを知っているから、平和のための映画を作った。その映画は、ドキュメンタリー。ジェレミーさん自身が国連を訪れたり、政治家や平和活動家に会ったりして、9月21日を「平和の日」に制定するための流れをつくった。

 だから「9月21日=平和の日」は、ジェレミーさんから届けられる、世界中の子供たちへの贈り物だ。
 
 想像してみよう。
 この日は、可愛らしいうす桃色のまあるい箱に入っている。そして、黄色いリボンで飾られている。1人ひとりが1個ずつ持っている。

 持っているだけじゃもったいない。黄色いリボンをそっとほどいてみたらどうだろう?  

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ジェレミー・ギリーさんと会う その1


 
<関連リンク>

ジェレミー・ギリーさんの団体では、子供たちの教育のためにクラウドファンディングを募っています。
くわしくはこちら(英語)


ジェレミー・ギリーさんが監督・出演しているドキュメンタリー映画。

ザ・デー・アフター・ピース(The Day After Peace)


ジェレミー・ギリーさんと会う  その2



 9月21日は「国際平和デー」(International Day of Peace)。ピース・デーとも呼ばれます。
 この日のために尽力したのが、NPOの”Peace One Day”の代表、ジェレミー・ギリー(Jeremy Gilly) さんです。
 2018年8月、初めて日本の地を訪れたジェレミーさんからお話を聞きました。

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ジェレミー・ギリーさんと会う(Interview with Jeremy Gilly)
その2 ―戦争を知らない世代が語る反戦ー

 第二次世界大戦が終わってから、73年もの月日が過ぎた。
 その時代を知る「生き証人」が、少なくなってきたことを実感する。
 
 私は、戦後世代。戦争を知らない。
 でも、戦争の悲惨さをさまざまな場所で教えられてきた。
 あるときはテレビのドラマやドキュメンタリーで。
 あるときは学校で。核分裂とは何か、核融合とは何か、先生が夏休みの課題で出した本で学んだ。
 
 そして今、思う。
 子供や孫の世代に、経験のない私たちは戦争や核の悲惨さを正しく伝えることができるのだろうか、と。伝えきれなかったら、「喉元過ぎれば熱さを忘れ」、人間はまた愚かなことをくり返してしまうのではないかと、不安に思う。

ジェレミー・ギリーさん(2018年8月31日撮影)


 ジェレミー・ギリーさんはこう語る。
「(戦争を体験していない)僕たちでもできることがある。それは、どうやって地球を守ったらよいか考えることだ。そして若い世代に”ツール(tools)”を提供することだ。9月21日のピース・デーもまた、ツールの1つだと僕は思う」

 ジェレミーさんが、9月21日をピース・デーに定めようと動き始めた頃、賛同する人がいる一方で、さらに多くの冷ややかな目があった。平和の日ができたからと言って、何の役に立つんだ、世の中から戦争は消えないさ、と。

 でも、ジェレミーさんの信念は、揺るがなかった。9月21日が、ジェレミーさんから若い世代へ贈る「平和のためのツール」だったからだ。

 戦争の記憶が徐々に薄れていくことに不安を感じる私たちの世代もまた、若い世代にツールを作ることはできるのではないだろうか。私たちにできる私たちの方法で。



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ジェレミー・ギリーさんと会う その1
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/09/interview-with-jeremy-gilly.html

ジェレミー・ギリーさんと会う その3

 
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ジェレミー・ギリーさんの団体では、子供たちの教育のためにクラウドファンディングを募っています。
くわしくはこちら(英語)



ジェレミー・ギリーさんと会う その1

9月21日は「国際平和デー」(International Day of Peace) です。
 この日を平和の日とするよう、世界に働きかけて尽力した一人の青年がいます。
 英国出身のジェレミー・ギリー(Jeremy Gilly) さん。
 2018年8月、初めて日本の地を訪れたジェレミーさんからお話を伺いました。

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ジェレミー・ギリーさんと会う(Interview with Jeremy Gilly)
その1  - 祖父の思いを受け継いで-


2018年8月、初来日したジェレミー・ギリーさん


 ジェレミーさんにとって、日本は特別な思いのある国だ。
 祖父はかつて、日本で戦争捕虜となり、長崎で被曝した。
 彼のこの体験を受け止めたのが、孫のジェレミーさんだ。
 ジェレミーさんは、世界が平和であることを願い、そのために自分ができることが何かを考え、そして行動に移した。

「まずは、1年に1日でいい。この地球上に、戦争や紛争がない日、あらゆる暴力がない日を作ろう」

 既に、国連で定めた平和の日があった。しかし「9月の第3火曜日」は、毎年日付が変わり、認知度は低かった。

 ジェレミーさんは、髪を切り、祖父のネクタイを締め、国連を訪れる。

「ただのバカなのか、それとも先見の明があるのか。君はどちらだろう?」
 
 ジェレミーさんは、要人からこんな言葉を投げかけられる。でもそれは、冷笑ではなく、静かな激励のように感じられる。

 こうして、ジェレミーさんの世界旅行は始まる。宗教団体、政治家、著名人……ダライ・ラマと会い、賛辞の言葉をもらった。大手企業の資金協力を取り付けた。そしてある日、アンジェリーナ・ジョリーさんがジェレミーさんを訪れた。「9月21日」を世界に広めるための協力を申し出てくれたのだ。
 
 ユニセフの職員と手を取り合い、紛争の地アフガニスタンへも赴いた。ジュード・ロウさんも一緒だ。

 ジェレミーさんの夢が叶った。いや、前進したという方がよいのかもしれない。
 タリバンが、「9月21日」の停戦を申し出たからだ。この停戦によって、ユニセフは140万人の子供にポリオの予防接種を行うことができた。2007年9月21日の出来事だった。

 ジェレミーさんの活動は続く。そして2018年8月、初来日を遂げる。ジェレミーさんがずっと訪れたいと思っていた国だ。多くの人たちと語り合うために、そして、ナガサキとヒロシマを訪れるために。
 平和の日を「9月21日」と提案したのには、ジェレミーさんにとって大きな意味がある。戦争から家族のもとへ戻ることができた祖父の友人の数が21人、祖父は生涯「21」という数字を大切にしてきたからだ。
 ジェレミーさんが、「ピース・ワン・デイ(Peace One Day)」というNPOを立ち上げて19年ほどの月日が流れた。123もの国を訪れたジェレミーさんがやっとたどり着いた地、日本。
 ジェレミーさんが祖父からもらったバトンを今、私たちが受け止める番がきた瞬間だった。

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ジェレミー・ギリーさんと会う その3

 


<関連リンク>

ジェレミー・ギリーさんは、自分の活動を1本のドキュメンタリー映画にまとめています。
『ザ・デー・アフター・ピース』(The Day After Peace)

監督・プロデューサー・脚本:ジェレミー・ギリー
出演:ジェレミー・ギリー、コフィー・アナン、ダライ?ラマ14世、アンジェリーナ・ジョリー、ジュード・ロウ