2022年8月6日土曜日

『長崎の郵便配達』(英題:The Postman from Nagasaki)

   8月6日は「広島原爆の日」です。

そして、この映画の上映も今日から始まりました。

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『長崎の郵便配達』(英題:The Postman from Nagasaki)

監督:川瀬美香




©️The Postman from Nagasaki Film Partners 

 

 

 

ピーター・タウンゼンド。

 第二次世界大戦中、英国の空軍パイロットとして従軍し、イギリス国王の侍従武官を務め、「タウンゼンド大佐」と呼ばれたのが彼だ。その後、マーガレット王女と恋に落ち、破局。彼はその後世界一周の旅を出て、戦争被害に遭った子供たちについての執筆活動を始める。1978年、旅行先の長崎で「スミテル」と出会う。

 

谷口稜曄。

 背中一面に大やけどを追った少年――原爆について語られるとき、多くの人がこの写真を目にするのではないだろうか。その写真の少年が、この「スミテル」さんだ。長崎で被曝し、長い闘病生活を送った後、核廃絶運動に尽力した。

 

2人は出会いによって、1冊の本が生まれた。『ナガサキの郵便配達』(原題:The Postman of Nagasaki)だ。そして、この世を去った2人の思いを受け継ぐように、映画『長崎の郵便配達』が完成した。長崎を旅する語り手は、ピーター・タウンゼンドさんの娘であり、二児の母である女優のイザベル・タウンゼンドさん。父ピーターが長崎を訪れたときの足取りを静かに追う。

 

蝉時雨の中、長崎の坂を歩くイザベルさん。陽射しをうつした白いシャツが悲しいほどに眩しい。「娘として」父の思いを受け止めようと感性を研ぎ澄まし、「母として」子供たちに何を残せるかを思考する姿……1人ひとりの小さな祈りの積み重ねが、戦争のない世の中、核のない世界と結びつくのが遠い未来の話ではないことを、祈り続けようと思う。

 

 

 

<本ブログ内リンク>

 

 

この映画のモチーフとなった人が、ピーター・タウンゼンド氏です。

ローマの休日

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2016/06/roman-holiday.html

 

<公式サイト>

長崎の郵便配達

https://longride.jp/nagasaki-postman/

 

8月5日(金)シネスイッチ銀座ほか全国公開

2021年/日本/日本語・英語・仏語/97分/4K/カラー/2.0ch/日本語字幕:小川政弘 フランス語翻訳:松本卓也

配給:ロングライド 

2022年7月9日土曜日

『スージーQ』 (SUZI Q )

 『スージーQ』  (原題:SUZI Q 2019年オーストラリア )

監督・製作:リーアム・ファーメイジャー



©The Acme Film Company Pty Ltd 2019


 

 Susieではない。Suziだ。

 そして“Q”の頭文字が続く、そのインパクト。まず、名前がかっこいい。

かん高い声で歌いながら、低音のベースでがんがんせめていく。

そのアプローチがかっこいい。

あどけない顔と小柄な体、そこを皮のジャンプスーツでビシッとキメる。

そのギャップがかっこいい。



©The Acme Film Company Pty Ltd 2019

 

 ロックバンドのボーカリストという立場ではない。ガールズバンドのリーダーでもない。

屈強な男性たちをメンバーに携え、バンドを率いるその姿に、どれだけ多くの人が憧れたことか。ジョーン・ジェット、デボラ・ハリー、 シェリー・カーリー……同性のミュージシャンたちに愛されたことが、彼女のそのすごさを証明している。そう、スージーQは”偉大な”人なのではなく、”スゴい”人なのだと思う。

デビューしたのは1970年代。日本では”ウーマン・リブ“というカタカナが闊歩し、”フェミニスト”という言葉が(おそらく)誤用されながら広がっていた頃だ。スージーはそんな時代に乗せられたのか?そんな時代だから大ヒットしたのか?いやむしろ、そんな時代だから大変だったのだろうか……この映画を見ていると、彼女が受けたいくつかの試練がわかる。時代ゆえの試練もあれば、そうではない試練もあった。彼女が過去に受けた仕打ちに思い切り腹が立つ人もいるだろう。#Me tooや、ジェンダー平等という言葉が歩き出すずっと前にデビューしたスージー。彼女にとっては、自分が”女性”であることより、自分が”自分”であることが大切だった。だから、スゴいんだ。かっこいいんだ。そう思う。

 

年を重ねたスージーQ。映像越しだけれど、今の彼女に再会できて嬉しかった。好きなことを追い続けているんだと知って、また嬉しくなる。

ちょっとはにかんだ感じの笑顔、気どらないところ、繊細なところ……年を経ても彼女は変わらず、SuziQのままだ。

あなたのファンになってよかった!

 

出演: スージー・クアトロ

ジョーン・ジェット

デボラ・ハリー

シェリー・カーリー

リタ・フォード

アリス・クーパー
  ほか

 

2019 年/オーストラリア/104 分/ビスタ/ステレオ

提供:ジェットリンク

配給:アンプラグド

 

 

<公式サイト>

https://unpfilm.com/rockumentary2022/

 

 

<本ブログ内リンク>

 

私の中で、スージーQと同じぐらい切ない歌声で大好きなロックミュージシャンがこの人。

 

再) 忌野清志郎 その1 『核などいらねぇ』

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2016/04/1.html

 

 

きっと、このライブハウスにもスージーQに憧れて彼女のようになりたいと思った出演者がいたのかな、と思う。

 

『上馬ガソリンアレイ』という時代 その2

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2015/07/blog-post_16.html

2022年6月12日日曜日

『ストーリー・オブ・フィルム 111 の映画旅行』 (原題:The Story of Film : A New Generation)

『ストーリー・オブ・フィルム 111 の映画旅行』 

(原題:The Story of Film : A New Generation)

2010年から2021年の11年間に制作された111作品を通し、映画がどのように変わりどのように進化したか、北アイルランド出身のマイク・カズンズ監督自らが語るドキュメンタリー。


新型コロナウイルスによるパンデミックの中、カズンズ監督はこんな思いを支えにこの作品の制作に取り組んでいた。

 

「ぼくはいま自分の部屋にいて、ここから出たくてしょうがない。ぼくの力の源、進むべき方向を教えてくれる星座のひとつは映画だ」

 

 そして、この言葉にたどり着く。

 

「ぼくが感じているこの孤独は、映画によって癒される。映画が、ぼくはもう孤独じゃないと気づかせてくれた」




© Story of Film Ltd 2020

 

アメリカ、フィンランド、タイ、インド、ウガンダ、フランス、香港、アルゼンチン……映画を通して私たちは世界旅行を、時間旅行を体験する。そして、「心の旅」も。

 抑圧からの解放、色彩が誘発する興奮、目線を共有する緊迫感……「楽しい」「悲しい」「恐ろしい」といったシンプル言葉では表現し尽くせない心の奥底をめぐる旅。それは穏やかで平和なものとは程遠い。観終わった後もその余韻は続く。

 

「映画」とは何か?

映画は私たちに何をもたらすのか?

 

 この問いが私の頭の中をぐるぐるとまわっている。

 答えは出ているのかもしれないが、まだ自分の言葉で表現することができないでいる。

 

 でも、これだけははっきりしている。

「映画」は、私たちを不幸にするために生まれたのではない。私たちを幸せにするために存在するのだということだ。ほんのひとときを満たしてくれる小さな幸せかもしれないし、人生を変える大きな幸せかもしれない。大小の差はあれど、映画は私たちの人生を豊かにしてくれる存在である事実をかみしめている。

 

 1日でも早く、争いのない世界が訪れますように。 

 

 

<本ブログ内リンク>

 

『ストーリー・オブ・フィルム 111 の映画旅行』 でも紹介されている映画。

 

『裁かるゝジャンヌ』(原題:La Passion de Jeanne d’Arc )

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2022/03/la-passion-de-jeanne-darc.html

 

『エヴォリューション』(Evolution)

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2016/11/evolution.html

 

『COLD WAR あの歌、2つの心』(原題:Zimna wojna)

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2019/08/cold-war-2zimna-wojna.html

 

アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2019/12/agn-e-s-varda-1-3-c-1994-agnes-varda-et.html

 

「映画」について考えを巡らせるとき、リュミエール兄弟の存在が真っ先に浮かびます。

 

『リュミエール!』(Lumière ! )  その1

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2017/11/lumiere.html

2022年3月24日木曜日

OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展

 OZAKI30 LAST STAGE  尾崎豊展

  

「尾崎豊っていったい何だったんだろう…(この展覧会を通して)それを純粋に考えたい」

本展の監修を手がけた須藤晃さんは本展開催の意図をそう表現する。強いメッセージと文学的な匂い、独特な尾崎豊サウンドを誕生させた音楽プロデューサーが須藤さんだ。

 尾崎豊を知りたくなったら、彼の歌を聞けばよいのだろう。でも、それだけではつかみきれない「何か」がある。何度も書き直した後がわかる創作メモ、愛用のギターやピアノ、須藤さんに送った直筆の手紙……数々の遺品が展示される三次元の空間に身を置くと、その何かがほんの少し感じ取れる。その空気を吸いながら、彼が生きた時代を考えてみる。デビューは1983年12月、バブル景気の少し前だ。この頃はまだ、ハラスメントやジェンダーというカタカナを目にすることはなかった。インターネットも普及していなかったし、SNSの誹謗中傷を気にする必要もなかった。

そして思い出す。この時代の、もがいていた若者たちのことをーー

若者というのは、いつの時代でもきっともがき悩み、あり余るエネルギーを抱えて生きているはずなのだけれど、この時代に「若者」と呼ばれた人たちのもがきには、なぜだか強烈な印象がある。そしてその強烈な若者像は、時代に愛され、多くの人に求められるようになった。そこには誰にもどうすることもできない大きな渦があって、尾崎豊はまさにその渦に飲み込まれた1人だったのではないだろうか。もっと軽やかに、もっとしなやかに生きていく若者もいるだろう。でも、尾崎豊はそうではなかった。器用な生き方ができなかったというより、そういう生き方をしたくなかったのかもしれない。

「あれほど純粋に生きた人はいない」。須藤さんは彼をそう振り返る。

あどけなさの残る彼の目元をじっと見ながら思う。もっともっと、生きていたかったろうに。生きていてほしかった、と。

 

 

<公式サイト>

OZAKI30 LASTt STAGE 尾崎豊展

https://ozaki30.exhibit.jp






2022年3月10日木曜日

3.11を忘れたくない…… 上映中の映画『永遠の1分。』

  3.11を忘れたくない…… 

上映中の映画『永遠の1分。』

 

 被災して絶望して、自殺しようとした人がいる。でも、首を吊ろうとすると必ず妨害が入り、結局今も生きている。そして笑う。

居酒屋でスティーブ(マイケル・キダ)がおにぎりを注文する。すると、アメリカ人でもびっくりするほどの特大のおにぎりが運ばれる。「スマイル・ボール」と呼ばれるこのおにぎりは、悲しみに沈んだ被災者の人たちに笑ってほしいという思いで生まれたそうだ。

多くの命が奪われたその場所にも、人々の営みの中に「笑い」があった。

 

「3.11を題材にコメディ映画を撮りたい」

スティーブ(マイケル・キダ)は、日本に降り立った直後は愉快な忍者映画を撮ることばかりを考えていたが、被災地の惨状を知るにつれ、そんな思いを抱くようになる。

部外者の自分に何ができるか。

硬派なドキュメンタリーは苦手だが、コメディならできるかもしれない。

そんな彼の熱意も日本では取り合ってもらえないどころか、不謹慎と責められ、誹謗中傷の記事まで書かれてしまう。それでもスティーブはあきらめない。会社を辞め、フリーとなって3.11のコメディ映画の制作に挑戦する……映画の中で映画が撮影され、上映会が行われるという入れ子構造の作品。フィクションのはずだが、自分が映画の登場人物のような錯覚を覚えてしまう。

 

 東日本大震災から11年。

こんなアプローチの映画ができてくれてよかった。

 

 

監督:曽根剛 脚本:上田慎一郎 

劇中演劇脚本:小室好司 地元劇団:久慈市民おらほーる劇場 音楽:鈴木伸宏、伊藤翔磨

助監督:高田真幸、大川祥吾 監督補:犬童一利 制作担当:内藤由美 録音:鳥井祐樹 メイク:河村夏海、赤坂街子 衣装:萬行優

主題歌:Awich「One Day」 (ユニバーサル ミュージック)

エグゼクティブプロデューサー:井上裕、坂岡功士、有馬一昭、宇治重喜

制作プロデューサー:源田泰章

プロデューサー:奥出緑、小川貴弘、村上凌太、田中茂裕、梶原剛、中福島健斗

出演:マイケル・キダ Awich 毎熊克哉 片山萌美 ライアン・ドリース ルナ 中村優一 アレキサンダー・ハンター 西尾舞生 / 渡辺裕之 ほか

 

 

 

<本ブログ内リンク>

 

ベルギー出身の監督による、Fukushimaのドキュメンタリー

『残されし大地』(La terre abandonnée)

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2017/03/la-terre-abandonnee.html

 

 

<公式サイト>  

「永遠の1分。」

https://eien1min.com

2022年3月7日月曜日

『裁かるゝジャンヌ』(原題:La Passion de Jeanne d’Arc )

  

3月8日は、国際女性デーです。

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『裁かるゝジャンヌ』(原題:La Passion de Jeanne d’Arc )

監督:カール・テオドア・ドライヤー


                                                        (c) 1928 Gaumont

 

どこかで目にしたような光景……

まるでデジャヴのようだ。何百年も前のことのはずなのに。

 

この映画で描かれるのは、祖国のために勇敢に戦う戦士ではない。不公平な、名ばかりの裁判で追い詰められる、1人の非力な少女だ。どれだけ心細かったことだろう。悔しさや怒りではなく、”孤独”だけが垣間見える。

拷問され、髪を切られ、大粒の涙を流すジャンヌ・ダルク。その絶望的な表情を見て気づいた。今、この世界にも多くのジャンヌがいることを。

 

いじめに苦しみ、教室の隅で泣いているあの子。

上司のパワハラから逃れられずにもがく彼女。

夫の暴力に抗うことができず、子供の前でただ怯えるお母さん。

 

異端審問で裁かれ、火刑台に送られたジャンヌ・ダルクに救いの手が差し伸べられることは最後の最後までなかった。

そして21世紀。文明は発達したはずなのに、弱者を放置する社会はいっこうに成長していないような気がする。

 

無声映画のはずなのに、ジャンヌのすすり泣く声が聞こえ、ジャンヌを嘲笑う人々の声が聞こえてくる。世界中にジャンヌを、ひとり残らず助けてあげることはできないものだろうか。

 

 

監督・脚本・編集:カール・テオドア・ドライヤー

出演:ルネ・ファルコネッティ、アントナン・アルトー
1928 
年/フランス/モノクロ/スタンダード/ステレオ/97 分 【伴奏音楽】作曲・演奏・録音:カロル・モサコフスキ(オルガン奏者)/2016 年

原題:La Passion de Jeanne d'Arc

 


<本ブログ内リンク>

 

国際女性デーに見てほしい映画

 

『幸福(しあわせ)』(Le Bonheur)

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/03/le-bonheur.html

 

『女の一生』(Une vie)

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/03/une-vie.html


 

<公式サイト>              

「奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」

http://www.zaziefilms.com/dreyer2021/

配給:ザジフィルムズ

(『裁かるゝジャンヌ』は、現在「奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」で上映されています)

 



2022年3月4日金曜日

ケベックの絵本『ばらいろのかさ』(24時間限定の読み聞かせ)

  

 不安な日々が、そして悲しい日々が続きます。罪もない人たちが傷つき、命を落とすのをみたくはありません。祈ることで、それだけでこの状況が急速に好転するわけではないとわかってはいるけれど、今はただ祈ります。これ以上尊い命が奪われることがありませんよう。

 

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 ケベックの絵本『ばらいろのかさ』(24時間限定の読み聞かせ)


まだ寒いけれど、陽の光は明るく、春の気配を感じられるようになりました。

こんな季節に合う絵本の読み聞かせが、24時間限定で配信されます。

カナダ・ケベック州のイラストレーター、ジュヌヴィエーヴ・ゴドブーさんが、自身でイラストを手がけた絵本『ばらいろのかさ』を朗読します。パステルカラーのイラストとケベックのフランス語で、明るい気持ちになれますよう。


カナダ大使館E・H・ノーマン図書館

子供向けカナダの図書を読む会‐バーチャルセッション

 

共催:ケベック州政府在日事務所

 

タイトル: 『ばらいろのかさ』

著者:Amélie Callot

イラストレーター:Geneviève Godbout

出版社: Les Éditions de la Pastèque (2016)

 

読み聞かせ動画の配信時間

3月5日(土)正午から3月6日(日)正午まで

(24時間限定、フランス語、日本語字幕付き)

 

こちらをクリック

↓

https://youtu.be/Z9gTLzb8OJs