2017年2月9日木曜日

『家族の肖像 デジタル完全修復版』 (Gruppo di famiglia in un interno)

イタリア映画界の巨匠、ルキノ・ヴィスコンティ監督の生誕110年、没後40年を記念して、『家族の肖像』が、デジタル完全修復版として、スクリーンに戻ってきました。
この映画を見て、安部公房の戯曲『友達』を連想してしまったのは、私だけかしら……

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『家族の肖像 デジタル完全修復版』
(原題:Gruppo di famiglia in un interno / 英題: Conversation Piece

1974年、今から43年も前につくられたこの映画が、なぜこんなに違和感なく受け入れられるんだろう!

この映画には、スマホもインターネットも出てこない。
レトロなダイヤル式の電話がリンリンと鳴るだけ。
なのに、なぜこの映画はこんなにもみずみずしいんだろうか。
若者たちの奔放さとカオスは、今とまったく変わっていない。
そして、老いてゆく者の孤独も。
「家族」という響きのはかなさ、あいまいさも。
今の時代にあってなお、胸にぐさりとくる。

役者たちも魅力いっぱい。
主人公の教授を演じるバート・ランカスターの、不思議なあたたかさ。

コンラッド役のヘルムート・バーガーの、野生味と繊細さが混在した印象。

cMinerva Pictures

イタリア映画? 何だかなじみがなくて……
ルキノ・ヴィスコンティ? 何だか難しそう。

そんな先入観を持たず、リラックスして、五感をはたらかせて、感じるままに見てほしいと思う。

そして、天の上にいるヴィスコンティ監督のメッセージが、すーっと、私たちの体を抜けていく快感を感じてほしいと思う。


cMinerva Pictures

2017211()より、岩波ホール他全国順次ロードショー
配給:ザジフィルムズ



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この映画に魅せられて、ヴィスコンティ監督についてもっと深く知りたいと思ったら、『ヴィスコンティを求めて』(東京学参刊)をぜひ手にとってください。
本作の字幕監修を担当されている柳澤一博氏の著作です。ヴィスコンティ作品のあらすじと解説がわかりやすく書かれています。


<公式サイト>

映画 『家族の肖像 デジタル完全修復版』

<本ブログ内リンク>

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