2018年6月29日金曜日

『ブリグズビー・ベア』(Brigsby Bear)

 スター・ウォーズシリーズのスピン・オフ『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の上映が日本で始まりました。
 そしてその1週間前に始まった『ブリグズビー・ベア』には、あの、ルーク・スカイウォーカーが……

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『ブリグズビー・ベア』(原題:Brigsby Bear

 マーク・ハミル。
 かつて、スター・ウォーズシリーズの要となる青年、ルーク・スカイウォーカーを演じた彼が、この映画でひとりの青年ジェームズの父親・テッドを演じている。

「忘れるなよ、いつも強くあれ」


© 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.


 彼がひげもじゃの顔で言っているこの台詞が違和感なく聞こえるのは、スター・ウォーズシリーズの影響だろうか。

 スター・ウォーズではかつてヒーローを演じ、最新のシリーズ(エピソード8『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』)では師匠のオビ・ワンやヨーダのような貫禄まで備えていた彼がこの映画で演じるのは、人の道を外した愚かな父親だ。

 愚かな父に、天は相応の罰を下す。

 それでも、それでもと思う。
美しい赤子を抱いたとき「自分のすべてを与えたいと思った」と語るテッドの目はきらきらと輝いていて、そこに嘘は感じられなかった。

 そして、テッドのもとで育ったジェームズは天真爛漫で、正直で、大人たちが一度は捨てた夢を拾い、持ち主のもとへ届ける。

 人生、なるようにしかならない。NHKの朝ドラに出演する少女漫画家、秋風羽織先生(豊川悦司)もこう言っていた。「人生とは一方通行だ。引き返すことはできない」と。 
 過去へ戻ることができなくても、時間はいつでも私たちのところに「未来」という贈り物を届けてくれる。
 
 テッドの過ちが完全に償われる日がいつか来ますように。

  

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映画の冒頭シーンを観て、『プラスチックの中の青春』(The Boy In The Plastic Bubble)という作品を思い出しました。


<公式サイト>

『ブリグズビー・ベア』


© 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.


623日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか公開

2017/アメリカ/カラー/97min© 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/配給:カルチャヴィル

2018年6月24日日曜日

『フランス映画祭2018』速報 その3『とてもいじわるなキツネと仲間たち』(原題:Le Grand Méchant Renard)

フランス映画祭2018  速報 その3 親子で楽しめるフランス映画


日本語字幕なし、吹き替えもなし、活弁士もなし。
フランス語の台詞を、1人の同時通訳者が座席の後ろから訳して語るという試み。
そんなライブ感が映画祭らしくて、こどもたちにも新鮮だったかもしれません。

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『とてもいじわるなキツネと仲間たち』(原題:Le Grand Méchant Renard



フランス映画祭2018の会場。
2018年6月、イオンシネマみなとみらいにて撮影。
 朝は雨。
 雨だから「じゃあ、映画でも観ようか」ということになるのか、雨だから「じゃあおとなしく家にいよう」になるのか、人それぞれ。
 
 でも、この映画を観たくて集まった人たちが確実にいた。ものすごく多くはないけれど、少なくてがらがらでもなかった。
 
 揺らぎのある輪郭と、優しい色合い。
 『トムとジェリー』が「動くコミック」だとすれば、『とてもいじわるなキツネと仲間たち』は、「動く絵本」と表現すればわかりやすいかもしれない。

 1時間20分のこのアニメは、3つの物語で構成される。
 1話めは、コウノトリから預かった赤ちゃんを動物たちがアヴィニヨンの両親の家まで届ける話。
 2話めは、ニワトリの卵を盗んでヒヨコたちを育てるキツネの話。
 そして3話めは、動物たちがサンタクロースになって、人間のこどもたちにプレゼントを配ろうとする話。

 どれも、こどもたちへの愛がいっぱいに溢れている。
 産着にくるまった赤ちゃんのつぶらな瞳。自分が危険な目に合っていることも自覚せず、必ず誰かが助けてくれることを信じて疑わない、その笑顔。そして、赤ちゃんを助けようと我を忘れるブタさんたち。

「ママ〜!」とキツネに抱きつくひな鳥たちの表情。自分がキツネやオオカミの餌とはみじんも考えないあどけなさ。

 世界中の「大人たち」にこそ、この映画を観てもらいたい。こどもたちには、あなたの力が必要なのです。
 
 映画が終わる頃に雨は止み、気持ちのよい風が吹いていた。



2018年6月24日、夕刻のみなとみらいの空。


<本ブログ内リンク>

親子で観たい映画、ここにも。
『オンネリとアンネリのおうち』(Onneli ja Anneli
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/06/onneli-ja-anneli-zodiak-finland-oy-2014.html

『フランス映画祭2018』 速報 その1
オープニングセレモニー
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/06/2018.html

フランス映画祭2018 速報 その2
『メモワール・オブ・ぺイン』(原題:La Douleur
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/06/2018-la-douleur.html

<公式サイト>

フランス映画祭2018