2020年6月23日火曜日

“Reviens sur Terre Esther !” (フランス語の読み聞かせ)

地球に帰ってきて、エステル!
“Reviens sur Terre Esther !”  
フランス語の 読み聞かせ
  
 コロナ禍によって、社会の動きが大きく変わりました。
 ライブハウスや映画館が休業せざるを得なくなり、子供達は3ヶ月近く学校に通えず大切な学びの機会を失いました。一方で、オンラインを活用した新しい活動が試みられるようにもなりました。人は何かを失うときに、何か新しいものを得るのかもしれません。

 カナダ大使館の中にある「EH・ノーマン図書館」で行われている「子供向けカナダの図書を読む会」も、コロナ自粛の影響を受けてお休みが続いてきました。それでも、こうしてオンラインで届けてくれるセッションに、心温まります。
子供のいる人もいない人も、フランス語のわかる人もわからない人も、少しの間、
フランス語の読み聞かせにひたってみませんか?(日本語字幕つきです)

ここをクリック(24時間限定公開です)
日本時間で6月24日(水)午前11:00より、6月25日(木)午前11:00まで


タイトル: Reviens sur Terre Esther !」地球に帰ってきて、エステル! 
著者 :イラストレーター:Josée Bisaillon ジョゼ・ビザイオン
出版社:Nimbus Publishing(2019)

2020年6月21日日曜日

Fête de la Musique(フェット・ド・ラ・ミュージック)

移動自粛も緩和されましたが、まだまだ油断はできません。
身体的な制限は残りますが、心の翼を広げる自由があることに感謝。

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フェット・ド・ラ・ミュージック(音楽のまつり)

 6月21日は” Fête de la Musique”の日。1982年にフランスで始まったイベントだ。
 1年で最も日が長いこの時期、フランスじゅうが音楽で賑わう。人気ミュージシャンのコンサート、由緒あるホテルでの演奏会、私が初めて訪れたパリでは、通りがかりの人が加わって、街角で一斉に合唱する人たちがいた。

 いつしか日本でも”  Fête de la Musique”の活動が始まった。「音楽はすべての人のもの」という精神を踏襲し、イベントは入場無料で、プロ・アマを問わず出演できる。フランスの6月はからっとして空も青く花で溢れているが、日本はちょうど梅雨の真っ盛り。そのためか、イベントは6月21日の1日だけに限定されず、6月中のさまざまな日、さまざまな地域で行われている。

 毎年、この日が訪れるのが楽しみだった。
 今年はといえば、多くのイベントが中止される中、空は雨模様。
 残念な夏至の空を見上げながら、思いを馳せる。
 今まで出会ってきた大好きな音楽たちと、これから生まれようとする新しい音楽たちに向けて。


日本からヨーロッパに渡り、多くの人に幸せを届けた花、アジサイ。
 Fête de la Musiqueはフランスから日本に渡り、多くの人の心を潤している。


2020年6月16日火曜日

『ジョーズ2』(原題:Jaws 2 , 1978年米)

 この映画が、深夜の番組で放送されることを知りました。懐かしい。

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『ジョーズ2』(原題:Jaws 2 , 1978年米)

 この頃、アメリカは輝いていた。ハリウッド映画も輝いていた。映画は映画館で観るのが当たり前だった。映画館で見逃してしまったり、もう一度観たいと思う映画がテレビで放送されるのを楽しみにしていた。
 この映画を思い出しながら、懐かしい気持ちに浸っている。

『ジョーズ』も『ジョーズ2』も、私にとっては特別な映画だ。物をよく知らない子供だった自分にとって、エンタテインメント(娯楽)以上の存在だった。世にも恐ろしい巨大ザメを見ながら、人の命のはかなさだったり、人生だったりを考えずにはいられなかった。

 主人公、ブロディ保安官(ロイ・シャイダー)にはマイクとショーン、2人の息子がいる。兄のマイクが仲間たちとヨットで沖に出ようとすると、小さな弟ののショーン(マーク・ギルピン/Marc Gilpin)が連れて行ってとねだる。そして沖で悲劇が……前作で、砂浜で逃げ惑う人の波に驚いて泣いていた赤ちゃんが、ここでは今にもサメに食べられそうな自分の状態を知り、恐怖という感情を心に刻んでいる。子供の私にはこのシーンが、いまだに強烈に印象に残っている。
ショーンを助けようとした、確かマギーという名の女性がサメに襲われ、あっけなくスクリーンから消えてしまったとき、そのあっけなさがただただ切なかった。

(ネタバレでごめんなさい。記憶もおぼろなので内容が間違っていたらごめんなさい)

    映画のある人生って素晴らしい。
 映画と一緒に人生を歩んでいけることを、感謝します。
 映画館に多くの人が戻ってきますよう。

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 <本ブログ内リンク>

『ジョーズ』(原題:JAWS, 1975年米)——クイント船長と原子爆弾

2020年6月6日土曜日

再)シシリアン・ゴースト・ストーリー

109年もの歴史を刻んだ新潟県の映画館「高田世界館」で、『配給会社を救おう! 〜ミモザフィルムズ 特集!』の催しが今日6月6日(土)から始まりました。
上映作品の1つがこの映画です。
非情な題材でありながら全編に漂う詩情を、何と説明したらよいのでしょうか。
小説でも絵画でも音楽で表現しきれない悲しみと昇華を、「映画」という手法が私たちに届けてくれました。

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映画の中のこどもたち その10

『シシリアン・ゴースト・ストーリー』(原題:SICILIAN GHOST STORY


©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS
 JPG FILMS VENTURA FIL
M

 大人は誰もわかってくれない……
 味方になってくれる大人と出会えない13歳の少女ルナ。
 ラブレターを渡したその日に、大好きな同級生ジュゼッペは姿を消してしまう。
 彼の叫びを受け止め、彼を救おうとルナは必死に働きかけるが、周囲の大人たちは、大人だけがわかる暗黙のルールに忠実で、ひたすら口を閉ざす。誰も何も言わない。ルナが納得のいく説明をする大人は誰もいない。
 髪を真っ青に染め、ちらしをばらまいて窮状を訴えるルナ。両親はルナの髪を丸刈りにする。ルナの髪は何もなかったようにまた伸びる。ルナの髪の長さが苦しみの時間を物語る。


©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS
JPG FILMS VENTURA FILM

「海だ、海の匂いがする!」
 隠れ家を移動する途中、車のトランクに押し込められたジュゼッペが叫ぶ。海を見たいと懇願するが、目隠しを外された彼の目の前にはそっけない草っ原が広がるだけ。海は見えない。しかし……
 真実は目に見えないものかと痛感する瞬間だ。
 
 物理的に引き離されたルナとジュゼッペ。しかし、2人の心の距離を引き離すことは誰もできなかった。肉体を超えた次元で巡り会う二人の魂は、なんと美しいのだろう。大人の庇護なしには生きられないはずの十代の心は、なんと純粋で強いのだろう。

 起きてしまったおぞましい現実は、誰も変えることはできない。
 でも、ジュゼッペの魂がずっとシチリアをさまよっているとしたら?
 この映像詩を舞う天使・ルナが、ジュゼッペを天国へ導いてくれるかもしれない。
 そんなふうに私は思いたい。


©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS 
JPG FILMS VENTURA FILM


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<本ブログ内リンク>

十代の子供たちを描く映像詩、ここにも
『エヴォリューション』(原題:Evolution)
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2016/11/evolution.html


<公式サイト>
シシリアン・ゴースト・ストーリー


監督・脚本:ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ
撮影:ルカ・ビガッツィ
出演:ユリア・イェドリコヴスカ
   ガエターノ・フェルナンデス
   ヴィンチェンツォ・アマート
   サビーネ・ティモテオ

2017/イタリア=フランス=スイス/イタリア語/123/カラー/シネスコ/5.1CH 
原題:SICILIAN GHOST STORY 字幕:岡本太郎 

■配給:ミモザフィルムズ