今日2月18日、宮城県の「フォーラム仙台 / チネ・ラヴィータ」で
『モンパルナスの灯』が上映されます。
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『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』その5
『モンパルナスの灯HDデジタル・リマスター版』
© 1958 Gaumont - Astra Cinematografica - Continental Film GmBh
なかなか絵が売れないモディリアーニ(ジェラール・フィリップ)の絵を買いたいと、帰国間近の富豪に呼び出される。滞在先のホテルで「何を飲みたいか」と尋ねられ「ココアをお願いします」と答えるモディリアーニの恋人、ジャンヌ(アヌーク・エーメ)。なんということのないシーンのはずなのに、このシーンのいじらしい彼女が忘れられない。モディリアーニを愛し、家を飛び出し、彼のために内職をし、彼のことも彼の才能も一途に信じる。ジャンヌは妖精のようにはかない。
誇り高く、繊細で、不器用で…… 孤高の画家、アメデオ・モディリアーニ本人をもっともリアルに演じたのが、この映画のジェラール・フィリップではないかと思う。同時に、ジェラール自身にもっとも近い役がこのモディリアーニだったのではないかとも思う。偶然にも、アメデオ・モディリアーニが病気でこの世を去ったのは36歳、ジェラール・フィリップもまた、36歳でその生涯を閉じた。ただ、2人のパートナーたちはどうだっただろう。ドキュメンタリー『ジェラール・フィリップ 最後の冬』では、妻・アンヌが俳優としての彼を確かな目で支えていたことを知る。この映画のジャンヌもまた、モディリアーニの才能を静かに支え続ける。が、映画のジャンヌではなく実在したジャンヌ・エビュテルヌ(Jeanne Hébuterne)、その人の強さは、アンヌ・フィリップの強さとは異なる方向へと向かった。どちらも彼らにとってかけがえのない伴侶であったことに変わりはないのだが……
『モンパルナスの灯』を観るたびに思う。若い恋人たちの時計の針を、戻せるものなら戻してあげたいと。
<本ブログ内リンク>
『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』その1
いい夫婦の日に寄す
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2022/11/1001-gerard-philipe-100ans.html
『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』その2
罪を犯す若者たち、その後ろ姿…
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『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』その3
スタンダール作品を演じる女優たち
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『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』その4
『危険な関係』 4Kデジタル・リマスター版( Les Liaisons Dangereuses 1960 )
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2023/02/4k-les-liaisons-dangereuses-1960.html
<公式サイト>
『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』
http://www.cetera.co.jp/gerardphilipe/
配給:セテラ・インターナショナル