2018年10月31日水曜日

第31回東京国際映画祭 速報その3 『漫画誕生』(The Manga Master)

31回東京国際映画祭 速報その3
『漫画誕生』(The Manga Master) 


『アニメーション監督 湯浅政明の世界』がある。
『高畑勲監督特別上映会』がある。
 
 アニメファンにとって嬉しい上記の特集上映のほか、会期中にはバラエティ豊かなアニメ作品が上映されている。

 いまや日本国内だけでなく、世界中の人を魅了する日本のアニメ—ション。その日本アニメの歴史に興味ある人は、この映画にきっとわくわくするんじゃないだろうか。

 大木萌監督の『漫画誕生』。


第31回東京国際映画祭会場に掲げられたポスター。
右が『漫画誕生』

「近代漫画の父」とも呼ばれる、北沢楽天の人生を描いた映画。楽天によって、日本の漫画がどのように発展していったのか、そしてそのバトンがどのように手塚治虫に渡され「ストーリーマンガ」として発展していくのか、この映画が教えてくれる。
 映画には後の日本アニメ界を牽引していく若者たちも登場し、先輩である楽天を堂々と批判するシーンも。ときは第二次世界大戦中。苦しい時代だ。つらい時代だ。特に表現者にとっては。なのに、楽天を演じるイッセー尾形さんを始めとする役者たちの演技が、バイタリティ溢れていて、人間の底力を教えてくれる。伝記映画というより、レトロな青春群像劇だ。若き宮武骸骨も登場する。

 篠原ともえさん演じる楽天の奥さん・いのも可愛い。女性の地位が今よりはるかに低かった時代なのに、この人はなんてキラキラしているんだろう。バリバリのキャリアウーマンとは真逆。といってもやまとなでしこと呼ぶのもちょっと違う気がする。心に余裕があって、家族やお弟子さんたちへの愛があって、こんな人がそばにいてくれたら家中がバラ色になるだろうな。でも、こんな生き方を貫くのがいちばん大変なんだろうな。
 
 志高い青年たちの、明治から昭和にかけての青春群像劇。
 大正デモクラシーの香りがいっぱいに広がる。
 海外の人たちは、この映画を観てどんな感想を抱いたのだろうか。
 そして平成生まれの若者たちは、どう感じただろうか。


映画祭会期中の六本木ヒルズは、映画のポスターで賑わう。
ポスター前で記念撮影をする人たちも


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31回東京国際映画祭が始まる

31回東京国際映画祭 速報その1 
『靴ひも』(英題:Laces) 
  


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31回東京国際映画祭


2018年10月29日月曜日

第31回東京国際映画祭 速報その2 (Power of jeunesse)

31回東京国際映画祭 速報その2

 映画を見終えて館の外へ出る瞬間が、好き。
 売店からキャラメルポップコーンの甘い香りが漂って、心癒されるから。
 この日は売店の前でポップコーンとコカコーラが無料で配られていた。
 にこやかな顔で配っているのは、明るさ全開の若者たち。

TOHOシネマズ学生映画祭』の作品募集のキャンペーンとのこと。
 「#POP&COKE」というハッシュタグを掲げながらポップコーンとコカコーラを配っているのは、募集作品のテーマのひとつが「POP&COKE」だから。「映画館と、ポップコーン&コカ・コーラ」のつながりが伝わってくるような1分間のプロモーション作品を募っている。応募の条件は「学生がつくった作品」であることだけれど、社会人になった人が学生時代に撮った作品も対象になるそう。自由課題もあるので、しまいこんでいた昔の作品を見直すいい機会かもしれない。

 東京国際映画祭も今年で31回目。これからも、映画好きの若者たちが会場に新しい息吹を運んできてくれますように。

東京国際映画祭会場、TOHOシネマズのエントランスにて
(2018年10月28日撮影)

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第31回東京国際映画祭 速報その1 
『靴ひも』(英題:Laces) 
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/10/31-laces.html


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TOHOシネマズ学生映画祭

31回東京国際映画祭

第31回東京国際映画祭 速報その1 『靴ひも』(英題:Laces) 

31回東京国際映画祭 速報その1
 
『靴ひも』(英題:Laces) 
 監督:ヤコブ・ゴールドワッサー
           
 観る機会の少ない海外の映画に出会えるのが、東京国際映画祭の魅力のひとつ。
 今年は、映画祭の部門のひとつ「ワールド・フォーカス」の今年のテーマは「イスラエル映画の現在 2018」だ。

 発達障害、臓器移植、父と息子……シリアスな内容を、こんなにさらりと描いてしまえるこの監督は、いったいどういう人なのだろう。軽やかでありながらテーマは深く、ほのぼのとしたハッピーエンドが待っているかと思えば、決してそんなことはない。
 涙なみだで観ていると、監督は、最後の最後に素敵な結末を用意してくれていた。
 
 登場人物は誰もが個性豊かで魅力的。美しい女性も多い。その中でもとりわけ印象に残るのが、ミカルという女性(というより「女の子」と呼びたくなってしまう可愛らしさ!)。主人公のガディと同じくらい、心がきれいで澄んでいるんだろうな。2人並んだときの後ろ姿が愛おしくて、ほんとに切なくなる。

 1031日(火)、20:20から六本木のTOHOシネマズで上映予定。
 仕事帰りでも間に合う時間なのが嬉しい。


会期中は、六本木TOHOシネマズの外のテラスで
軽食を取ることもできる。


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 映画の中で、美しい女性(リタ)がバッグからトイレットペーパーを出して涙を拭くシーンがありました。あれ、本当にトイレットペーパーだったのだろうか、イスラエルでは、携帯用のティッシュはロールタイプなのだろうか、と不毛なことを考える自分に思わず笑ってしまいました。
 こんなさりげないシーンが新鮮に楽しめるのもいいな。

 
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ガディとミカルの純真さに、この映画の子供たちを重ねてしまう。
『カフェ・ド・フロール』( Cafe de Flore)その 3

臓器移植をテーマとしたフランス映画
『あさがくるまえに』(Reparer les vivants

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31回東京国際映画祭