2021年11月26日金曜日

フランス映画祭2021を終えて (Festival du film français au Japon 2021)

フランス映画祭2021を終えて(Festival du film français au Japon 2021)

 

© Mika Tanaka


1993年からはじまったフランス映画祭は、2006年から開催地は東京へ移ったが、2018年に再び横浜へと帰ってきた。

それから3年……コロナ禍のため海外からのゲストの来日は叶わず、映画祭は静かに行われた。

それでも、映画上映が終了すると、監督たちの挨拶とQ&Aが映像で紹介され、日本の観客への熱いメッセージを聞くことができた。また、ドキュメンタリー『東洋の魔女』(原題:Les Sorcieres de l'Orient)の上映後には、かつてオリンピックで金メダルに輝いたかつての魔女たちが登壇、会場にはなつかしさと穏やかな熱気が溢れた。

果敢に以前に比べると観客数も減ったように感じられるけれど、こうして文化の灯火が絶やされることのない日常が嬉しい。

 

映画祭の最終日。ドキュメンタリー『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』(原題:SALVATOR MUNDI, LA STUPÉFIANTE AFFAIRE DU DERNIER VINCI)では、1枚の絵画に翻弄される社会が軽快なテンポで語られる。そして、クロージング作品『ウイストルアム-二つの世界の狭間で』(原題:OUISTREHAM)……停泊中のフェリーで働く清掃員たちを描いたこの映画は、港町の停泊中の船の鼓動と岸壁に留まる海の匂いを届けてくれる。会場を出ると、すぐそばで横浜港の夜景が広がる。映画の素晴らしさは、鑑賞後の余韻にこそあるのかもしれない。


『モンパルナスの灯が大好きです』と語った

フェスティバル・ミューズの杏さん。

          アヌーク・エーメとの共演の夢がいつか叶いますように。

© Mika Tanaka


 

<本ブログ内関連リンク>


フランス映画祭の思い出 その『愛しのベイビー』(Mon Bébé

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2020/12/1-mon-bebe.html

 

<公式サイト>

 

フランス映画祭20211111日〜1114日)

https://www.unifrance.jp/festival/2021/

 

『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

20211126日より劇場公開予定

https://gaga.ne.jp/last-davinci/

 

『東洋の魔女』

20211211日より劇場公開予定

https://toyonomajo.com

 

 

2021年10月29日金曜日

第34回東京国際映画祭が始まる (TIFF2021)



 34回東京国際映画祭が始まる

 フランスの写真家、ロベール・ドアノーが残した数多くの著名人の写真の中に、若かりし頃のイザベル・ユペールの1枚がある。その頃の彼女は30代。パリのカフェで、まっすぐな視線をカウンターの店主に向けている。大きく澄んだ目、きりっとした口元……30年以上たった今もまったく変わっていない。あくの強い映画監督とも、世界に名高い大物監督とも堂々たる演技で渡り合い女優としてのキャリアを築き上げてきたイザベル・ユペールが、明日(20211030日)から始まる第34回東京国際映画祭に向けて来日する。コンペティション部門の審査委員長に就任した彼女は、そして他の審査委員たちはいったいどんな映画に注目するのだろうか。

 コロナ禍のあおりを受け、昨年度は海外からのゲストを迎えることができなかったことを考えると、今年の東京国際映画祭がものすごくかけがえのないものに思えてくる。

文化の灯が消えることのありませんよう。

 

<第34回東京国際映画祭 >

開催期間:20211030日(土)~118日(月)

会場: 日比谷・有楽町・銀座地区 

公式サイト:www.tiff-jp.net

 

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新規感染者の数も減少し、コロナ禍も落ち着いているようですが、こんなときこそ気を引き締めることが大切かと思います。楽しい会話にはマスクを忘れず、手洗いと換気を意識してお出かけください。





 ©Peter Lindbergh, courtesy Peter Lindbergh Foundation, Paris



 



2021年10月3日日曜日

『トーベ』(原題:Tove)

  

「パリ」と「ジャズ」。フィンランド出身の女性を描いたこの映画では、この2つのキーワードが「自由」という香水のトップノートとなっているような気がします。

 緊急事態宣言が解除された今、自由の香りを映像で感じるのもいいかもしれません。

とはいえ、まだまだ油断はできません。感染対策を行った上で、お出かけください。

 

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『トーベ』(原題:Tove 2020 /フィンランド・スウェーデン)

(監督:ザイダ・バリルート)



 © 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved


「ヴィヴィカ……」

 目覚めた朝、恋焦がれる人の名前をささやくトーベ(アルマ・ポウスティ)

の表情のなんといじらしいこと。それ以上に切ないのが、すぐそばで聞いている夫、アアトス(シャンティ・ローニー)だ。哲学者でもある彼は「嫉妬」という感情を好まない。自由への妨げとなるからだ。トーベを甘やかすでもなく、つき放すでもなく、離婚した後もトーベとの友情を断ち切ることはなかった……そう、孤独を好むけれど、ムーミンとの友情も大切にするあのスナフキンのモデルとなったのがこの人だ。 アトスの穏やかなまなざしに、見ている私たちまで心癒される。

 

 戦後の爆撃によって廃墟となった部屋をアトリエにし、創作活動に没頭するトーベ。

自由とは、愛されたいという気持ちと引き換えにしなければ、手に入れられないものなのだろうか。もし私がトーベの友人だったら、どんなことがあってもアトスと別れてはダメよ、と言いたかった。余計なお世話とわかっているけれど。


 

 

<本ブログ内リンク>

フィンランドから届けられる、夢いっぱいの物語


『オンネリとアンネリのおうち』

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/06/onneli-ja-anneli-zodiak-finland-oy-2014.html

 

『オンネリとアンネリのふゆ』

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/11/onneli-ja-anneli-talvi.html

 

 

 

<公式サイト>

トーベ

http://klockworx-v.com/tove/

2021年7月4日日曜日

『わたしはダフネ』(原題:Dafne)

  

コロナ禍のさなか、大雨による災害が発生しています。

どうかこれ以上、大切な命が理不尽に奪われていくことがありませんように。

 

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『わたしはダフネ』(原題:Dafne 2019年イタリア)

(監督・脚本:フェデリコ・ボンディ)



                                                   (c) 2019, Vivo film - tutti i diritti riservati


「お世辞じゃないよ、父さんは世界一!」

そう、彼女はお世辞を言わない。明朗で快活、ユーモアたっぷり。表裏がないから辛辣な言葉もためらわず口にする。大切な人を失ったとき、無防備に泣きじゃくる。

30代の女性、ダフネを演じるのは、カロリーナ・ラスパンティ。ダウン症の主人公を演じるカロリーナ、彼女自身もダウン症だ。両親のマリアとルイジは、ダフネを大きな愛で包んだ。そんな愛情の中で育ったダフネは、自分を愛することができて、他人を愛することができる女性に育った。ダンスが大好き、SNSを使いこなし、スーパーの店員という神聖な仕事を誇りに思っている。職場の同僚たちを慕い、同僚たちもダフネを愛している。

 なんてことのない日常の積み重ねに、なぜこんなに涙ぐんでしまうのだろう。どこまでも健気なダフネの心には、世間の余分な埃がないからだろうか。「お母さんに会いに行こう」と父親を元気づけ、2人は長い道のりを歩いてトスカーナを旅する。ダウン症であること、それはダフネにとってパーソナリティを形成する一部であって、すべてではない。彼女の魅力を前に、ダウン症に対する無知も偏見はどこかへ飛んでいってしまう。今のこの世の中も、この映画のようであってほしい。この映画が、ファンタジーでなく、理想の世界への道しるべであってほしいと願っている。

ダフネがルイジに風船を渡すラストシーン、彼女のひとことを心の宝石箱にしまっておきたい。


                                                      (c) 2019, Vivo film - tutti i diritti riservati

 

 

<本ブログ内リンク>

 

この映画でも、ダウン症のこどもたちが大切な役を演じます。

『カフェ・ド・フロール』( Cafe de Flore)その 3

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2015/07/cafe-de-flore-3.html

 

 

<公式サイト>

『わたしはダフネ』

www.zaziefilms.com/dafne/

 

73()より、岩波ホールほか全国順次ロードショー


配給:ザジフィルムズ

監督・脚本:フェデリコ・ボンディ 原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジ 

エグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキー

プロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ 撮影:ピエロ・バッソ 編集:ステファノ・クラヴェロ 音楽:サヴェリオ・ランツァ 衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ

出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ

2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ 

原題:DAFNE 字幕翻訳:関口英子 

2021年6月26日土曜日

『王の願い ハングルの始まり』(The King's Letters)

  

人は心に余裕がなくなると、弱者を攻めようとします。

コロナ禍で人の心が疲弊する中、弱者に矛先が向きませんよう。

 

韓国と北朝鮮はかつて同じ国でした。朝鮮王朝のもと、独自の文化が花開きました。

そんな中で生まれたハングル文字は、世界でも最も合理的な文字のひとつとして知られます。この映画で、少しでも多くの人にこの国とハングル文字の歴史を正しく知ってもらいたいと強く願います。

 

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『王の願い ハングルの始まり』(The King's Letters)




 

                  © 2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

「万民が文字の読み書きができる国を目指したい」と願う朝鮮第4代国王の世宗(ソン・ガンホ)。彼が朝鮮独自の文字
ハングルを創り上げるにあたり、助けを求めたのは、数ヶ国語を熟知する海印寺の僧侶・シンミ(パク・ヘイル)だった。仏教国から儒教国へと変わる中、国王が仏教僧と手を携えることはあってはならない、臣下たちは反対するが、王の情熱と民への思いは揺るがない。その一方で、仏教を低く扱う王朝に反発するシンミの心を動かしたのが、王妃の昭憲(チョン・ミソン)だ。彼女の父も彼女も仏教を信じていること、新しい文字が生まれれば、仏様の教えを万民が読めるようになることを伝え、シンミの怒りを解いていく……

 シンミが唱えるサンスクリット語の響きのなんと美しいこと。お経の心地よい響きに心が洗われる。「文字とは、音を入れる大事な器であり、音を殺す刃物にもなります。

音が死ねば、そこに込められた人々の思考や感情も死ぬのです」という彼の言葉が印象的だ。

そして王妃の慈愛に満ちたたたずまい。王を支え、民を思い、当時の女性たちの苦しみを知る彼女のあたたかい心が王とシンミの心に橋をかける。演じたチョン・ミソンさんは、2019 6 29日に逝去、本作が遺作となった。映画のシーンと彼女の存在が重なり、切なくなる。




                  © 2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

 

<公式サイト>

『王の願い ハングルの始まり』

http://hark3.com/hangul/

 

■配給: ハーク

■公開表記:625日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー


2021年6月10日木曜日

『友達やめた。』

 明日、2021611日、北海道のシアターキノの「フライデーシネマ」内で

上映される予定です。

 

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『友達やめた。』

 

 監督は、今村彩子。生まれつき、耳が聞こえない。彼女がカメラにおさめたのは、自分と友達のまあちゃんとの関係。まあちゃんはアスペルガー症候群だ。何ということもない日常。はたから見るとそうだけれど、監督にとってはとてつもなく切実な日々なのだろう。そしてまあちゃんにとっても。

 聴覚障害者だから、アスペルガー症候群だから、だから二人はぶつかるのか?

もしかしてこれって、単なる個性のぶつかり合いじゃない? そんな今村監督の直球が、「健常者」と呼ばれながらも多様性のはざまで揺れる私たちに衝撃と共感を与えてくれる。そうなのか。「障害」という言葉で物事を丸め込んでしまってはいけないんだ。「個性」という言葉に悩んで迷って、目の前にいる「あなた」を完璧に理解できなくても、理解しようと努力することがいかに大切かということを教えてくれる。

 

 コロナ禍で失われてしまった人と人との触れ合い。 

でも、この映画を通してその温もりとめんどくささと愛おしさを味わいながら、アフターコロナが訪れる日を待ちたいと思う。

 

<公式サイト>

『友達やめた。』

http://studioaya-movie.com/tomoyame

 

アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映 (4K修復版/2K上映)

  かつて、映画には音がありませんでした。映像が多くを語っていました。

 やがて、映画に音声が加わるようになりました。

 美しい映像に感動し、美しい台詞や音楽に感動する……

 なんて贅沢なひとときでしょう。

映画館が私たちに与えてくれるものの大きさを痛感します。

 コロナ禍の今、「映画館」は荒れ狂う海に光を灯す灯台ではないかと思うことがあります。

 

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アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3

川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映 (4K修復版/2K上映)


 


Ⓒ株式会社エコー



 ああ、二人は虹に向かって、歩き出す ♪

及川恒平さんの歌声が虹のかかった空とともに聞こえてくる。

18分ほどの人形アニメーション『虹に向って』(監督:岡本忠成)の原作は、信州の梓川にかかる「雑炊橋(雑仕橋)」にまつわる伝説をベースとした絵本『ふたりがかけた橋』。川を隔てた村に住む二人が少しずつ思いを募らせ共に生きることを誓う。愛らしい人形たちの動きがなぜこんなにもリアルに胸の奥の感覚を揺さぶるのだろう。職人の手によって修復されたのは、映像だけではない。ひとつひとつ丁寧に磨き上げられる水晶玉のように、台詞や音楽にかぶった埃がはらわれ、美しい音色となって心に届く。岸田今日子さんの語りもまた柔らかく、心洗われる。


                     Ⓒ株式会社桜映画社 株式会社エコー



『おこんじょうるり』(監督:岡本忠成)では、婆さまと狐のほのぼのとした関係が描かれる。二人の東北弁の何と心地よいこと(声:長岡輝子、小野寺かほる)。♪手足ぽかぽか〜♪ 狐が歌う浄瑠璃は、私たちを心底元気にしてくれる。

 

 人と人との間に距離があり、分断があり、多くの人が「分かちあえない」「満たされない」思いを抱えている。そんな今だからこそ、感染対策をしながら、映画館に足を運んでほしいと思う。観ている間、私たちは同じ方向を向き、それぞれ違う感情を抱きながらも「感動」という共通の思いを得ることができるはずだから。

 

<本ブログ内リンク>

 

<公式サイト>

『アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3』

https://www.wowowplus.jp/anime_kamisama2-3/

 


Aプログラム=川本喜八郎5作品

(『花折り』『鬼』『詩人の生涯』『道成寺』『火宅』)合計80分

Bプログラム=岡本忠成5作品

(『チコタン ぼくのおよめさん』『サクラより愛をのせて』『虹に向って』『注文の多い料理店』『おこんじょうるり』)合計78分


提供:株式会社WOWOWプラス

配給:チャイルド・フィルム

全国の劇場にて順次公開中

2021年5月17日月曜日

『海辺の家族たち』(原題:La villa)

   海の向こうから、日本に救いを求めてやってくる人たちがいます。 

しかし、日本政府は彼らを「人」として扱って来たでしょうか。

異国の地でDVに苦しんだ上、非情な扱いを受けて亡くなったウィシュマ・サンダマリさん……彼女だけではありません。カタカナで表記された多くの外国人の名前が報道されるたび、日本政府の人権侵害に憤る私です。

コロナ禍にあっても、入管法改正反対を訴えるデモがマスクで顔を覆った人たちで繰り広げられました。その中に加わることはできなかったけれど、この記事を書くことで入管法改正反対への意思表示をします。

 

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『海辺の家族たち』(原題:La villa

監督・製作・脚本:ロベール・ゲディギャン

 


©
AGAT FILMS & CIE – France 3 CINEMA – 2016



フランス南部の小さな漁村。父親が倒れたことを機に、3人の兄妹が再会する。かつて失われた幼い命、死へ向かおうとしているのに毅然とたたずむ命、危険から逃れ、生き延びた命……さまざまな命が交差していく。

映画の後半、突然現れる難民のこどもたちの存在が、水面でキラキラ漂う光のよう。寂れた村の風景がぱっと明るくなる。印象派の画家はこの変化をどんな色彩で表現するのだろうか。

果たして難民とは、「気の毒」で「助けてあげなければならない」存在なのだろうか。そんな考えが単なるおごりであることを知る。翼のない天使のような3人の子供たち。彼らが私たちに与えてくれるものの大きさを知る。(Mika Tanaka

 

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「日本に来てよかった」と思ってもらえる国でありますよう。そんな国にできますよう。


 

配給:キノシネマ 

提供     木下グループ


 

<公式サイト>

「海辺の家族たち」

https://movie.kinocinema.jp/works/lavilla/

 

 5月14日(金)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷公開


2021年2月16日火曜日

『モンテッソーリ 子どもの家』( 原題:Le maître est l’enfant)

映画を観ることは、心に栄養を摂ること。 コロナ禍であっても、映画館に足を運ぶことは不要不急の外出ではないと思います。映画に出演するこどもたちの無垢な表情とつたないけれど真剣な動きを見ていたら、ギスギスした心がほぐれていきます。

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『モンテッソーリ 子どもの家』( 原題:Le maître est lenfant


© DANS LE SENS DE LA VIE 2017  


 1870年に生まれたマリア・モンテッソーリ。イタリア初の女性医学博士となり、3回の戦争を経験した彼女は、こどもの持つ可能性にとてつもなく大きな信頼を寄せる。「こどもは、大人がこどもに与える以上のことを私たちに与えてくれる。こどもは師、私はこどもの弟子となろう」これが彼女の精神だ。1936年のヨーロッパ平和会議では「紛争回避は政治の仕事、そして平和構築は教育の仕事だ」と述べた。モンテッソーリの精神を受け継ぎ、そのメソッドを実践する教育者たちを取材し、そのもとで学ぶこどもたちのありのままの姿を映したのがこの映画。舞台は、モンテッソーリ教育を取り入れた世界最古の場所と言われる、北フランスのとある幼稚園だ。

 こども1人ひとりと真剣に向き合う大人たち。ある子と話し合っているとき、他の子が先生に声をかけると「この子と話しているから終わるまで待っていて」とこたえるシーンが印象に残る。モンテッソーリ教育はこどものためだけのものではないのだと感じた。携帯電話、SNS、オンライン会議……面と向き合って、11でじっくりと話すことがめっきり少なくなった。でも、太古の昔から、「言語」というものが生まれる前から、人は11のコミュニケーションを求めていたのではないかと思う。そんな対話が復活したら、世の中はもう少し穏やかで住みやすくなるのではないだろうか。



© DANS LE SENS DE LA VIE 2017  


2021219日(金)新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国公開


 

 

監督・撮影・録音:アレクサンドル・ムロ

日本語吹替:本上まなみ/向井 

2017年/105


配給:スターサンズ、イオンエンターテイメント


<本ブログ内リンク>


フランスは、こどもの姿を自然にとらえた素晴らしいドキュメンタリー映画の宝庫です。


『子どもが教えてくれたこと』( Et les mistrals gagnants)

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2018/07/et-les-mistrals-gagnants.html




<公式サイト>

『モンテッソーリ 子どもの家』

https://montessori-movie.jp








2021年1月17日日曜日

『43年後のアイ・ラヴ・ユー』(原題:Remember Me)

   緊急時代宣言の中、不要不急の外出を控えるようにと呼びかけられています。

 果たして、映画鑑賞は不要不急でしょうか?

 私は違うと思います。体に栄養が必要なように、心にも栄養が必要です。映画はその役割を担っています。心が荒んでしまいがちな今だからこそ、なおさら映画館に足を運んでほしいと私は思います。1人ひとりがマスクと手洗いといった予防対策を心がけ、映画館側が消毒と換気、席と席の間の十分な距離を徹底していれば、リスクは極めて少ない場所です。同じ作品に興味を持ち、同じ場所に集い、同じ時間を共有する……たとえ会話を交わすことがなくても上映中の間、私たちはきっと孤独ではありません。

 

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43年後のアイ・ラヴ・ユー』(原題:Remember Me

監督・脚本:マーティン・ロセテ


()2019 CREATE ENTERTAINMENT, LAZONA, KAMEL FILMS, 

TORNADO FILMS AIE, FCOMME FILM . All rights reserved. 


 

 妻に先立たれた1人の老人がいる。名前はクロード(ブルース・ダーン)。娘と孫が彼を気遣い、気のおけない友人もいる。まあまあ楽しい余生を送っている。

 あるとき、クロードは許されざる恋に燃えた昔の恋人リリィ(カロリーヌ・シオル)がアルツハイマーの患者のための施設に入ったことを知り、大胆な行動に出る……ガーシュウィンの音楽(エンブレイサブル・ユー)、シェイクスピアの『冬物語』、かぐわしいユリの香り。リリィの記憶を呼びさまそうと、次々とトリガーを用意するクロード。元演劇評論家と元女優の間には、過去にどんなドラマがあったのだろう。43年という歳月を経てなお愛されるリリィのなんとかわいらしこと。プリント柄のワンピース姿の似合う彼女を見ていると、若さだけが美しさのすべてではないことに気づかされる。クスクスと笑えるさわやかなコメディに、いつしか涙ぐんでしまっている自分がいた。

 

 

<本ブログ内リンク>

リリィ役のカロリーヌ・シオルさん出演作

『ジュリーと恋と靴工場』(Sur quel pied danser )

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2017/09/sur-quel-pied-danser.html

 

<公式サイト>

43年後のアイ・ラヴ・ユー』

https://movies.shochiku.co.jp/43love/


1月15日(金)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷公開



()2019 CREATE ENTERTAINMENT, LAZONA, KAMEL FILMS, 

TORNADO FILMS AIE, FCOMME FILM . All rights reserved.