2016年12月24日土曜日

クリスマスの贈り物 (Christmas is coming !)

クリスマスの贈り物

オランダ・デルフト出身のミュージシャン、ロエル・ファン・フェルゼンさんからの
贈り物です。
下記リンクをクリックすし、名前とメールアドレスを入力すると、彼の”Christmas Is Coming” を聴くことができます。(無料)

年末の激務に追われくたくたの企業戦士も、クリスマスディナーの準備に追われる主婦も、みんなみんな、この曲を聴いてる間は、わくわく気分に浸ってください。

(このリンクをクリック)
VanVelzen - Christmas is coming


メリー・クリスマス! 
Merry Christmas!

Joyeux Noël !

2016年12月20日火曜日

『TOMORROW パーマネントライフを探して』(原題:Demain)

移民を受け入れ、多様性を尊重してきたヨーロッパに、暗い影が落とされています。
今から約1年前、(201511)、「パリ同時多発テロ」と呼ばれる事件に始まり、危険ではないと思われていた場所で、無差別に多くの命が奪われています。そして今日は、トルコのロシア大使の射殺、ベルリンのクリスマスマーケットのトラック突入というニュースが……
それでも、私はヨーロッパの「寛容さ」を信じようと思います。

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TOMORROW パーマネントライフを探して』(原題:Demain)

Je vais bien, ne t'en fais pas”(邦題『心配しないで』または『マイ・ファミリー 遠い絆』)で、成長していく少女を体当たりで演じたメラニー・ロラン。あれから10年ほどの歳月が流れた。彼女は、新人のフランス女優から、ハリウッドへと羽ばたき、今では映画監督も手がけるほどになった。そんな彼女が、このドキュメンタリー映画で、「子を持つ母」として、未来を案じ、今、自分たちにできることが何かを模索する。

                                                  ©MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS


「私たちが今のライフスタイルを続ければ、人類は絶滅する恐れがある。それも決して遠くない未来に」
2012年、21人の科学者たちが『ネイチャー』に発表したこの警告が、映画製作のきっかけとなる。自分たちの未来を守るために、何ができるのか—— メラニー・ロランは何者を演じることなく、等身大の姿で国内外を旅し、さまざまな社会活動を行う人々と出会う。
自給自足を始めたデトロイト(米国)、トッドモーデン(英国)。自然と共存する農法が決して非効率ではない、むしろ効率的であることを証明したル・ベック・エルアンの農場(フランス)。島内の再生可能エネルギーが35%というレユニオン島。ゴミ・ゼロの都市として知られるサンフランシスコ(米国)。「教師は絶対ではない」と自戒し、理想的な教育を追求するフィンランド・・・・・・この映画には、人の良心を信じ、地球を愛し、自分たちの力で未来を創っていこうとする人たちが出演する。


                                             ©MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS


インタビューを受ける活動家たちは、決して、活動していない人を責めることはない。誰でも、何かができることを教えてくれる。優しく、明るい目で。

インドのヴァンダナ・シヴァ女史のまなざしが忘れられない。
彼女はこう問いかける。
「"逆らう"ことがよい未来をつくるの?」と。
私たちが守るべきことは2つだけ、と彼女は言う。1つは、地球からの贈り物(自然や資源)を大切にすること。そして、もう1つは個人を尊重すること。
私たちひとりひとりは、個人として独立している。完全に自由なのだという彼女の言葉に、心が救われる。

                                 
                                    ©MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS




監督: シリル・ディオン  メラニー・ロラン
脚本:シリル・ディオン
製作:ブリュノ・レビ
出演:シリル・ディオン  メラニー・ロラン  ロブ・ホプキンス  バンダナ・シバ
    ヤン・ゲール  ほか

2015/原題: Demain/ フランス/ 120/フランス語/カラー

配給:セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/tomorrow/
20161223日(土)より

渋谷シアター・イメージフォーラムほか、全国順次公開

『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』(Releve: Histoire d'une creation )

トルコのロシア大使の射殺、ベルリンのクリスマスマーケットのトラック突入……
悲しいニュースが続くヨーロッパ。
それでも、希望は残されていることを教えてくれるひとつが、この映画です。

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Releve: Histoire d'une creation
『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』

バレエの殿堂として君臨する、パリのオペラ座。この、オペラ座の新しい芸術監督として抜擢されたのは、映画『ブラック・スワン』の振り付けを手がけたバンジャマン・ミルピエだった。バレエ界の異端児と呼ばれ、史上最年少の芸術監督に抜擢されたミルピエが、オペラ座での新作『クリア、ラウド、ブライト、フォワード』を完成させるまでの40日間を追ったドキュメンタリーがこの作品だ。

©FALABRACKS,OPERA NATIONAL DE PARIS,UPSIDEDISTRIBUTION,BLUEMIND,2016

「僕らはもっと上を目指せるはずだ」
「国籍も肌の色も違うダンサーを起用したい。差別はバカげてる」
白人至上主義の傾向が強いバレエ界に、ミルピエは真っ向から立ち向かう。「社会の手本になれないバレエは意味がない」という彼の言葉に、オペラ座の、パリの未来が垣間見える。
若いエネルギーが結集するオペラ座のバックステージでは、iPhoneを活用できないと、ぼやく声も。歴史と伝統があるということは、設備が最新技術に対応しづらいというデメリットもある。
そんなときの、オペラ座総裁、ステファン・リスネ氏の言葉にパリの誇りを感じる。
「大型客船は動かすのは楽じゃないが、必ず動くから安心してくれ」

「寛容の精神を忘れたくない」と自戒し、ダンサーひとりひとりの個性を大切にするミルピエの生き方が、「芸術とは何か」という問いに対する答えそのものだと思う。 


      
        映画には、バンジャマン・ミルピエ氏の奥方、ナタリー・ポートマンさんの姿も。

         ©FALABRACKS,OPERA NATIONAL DE PARIS,UPSIDEDISTRIBUTION,BLUEMIND,2016


<公式サイト>

http://www.transformer.co.jp/m/millepied/

監督:ティエリー・デメジエール/ アルバン・トゥルレー
製作:ステファニー・ショルテール
出演:バンジャマン・ミルピエ  レオノール・ボラック  ユーゴ・マルシャン
ジェルマン・ルーヴェ  アクセル・イーボ  エレオノール・ゲリノー  レティツィア・ガローニ
マリオン・バルボー  オーレリー・デュポン  ほか
<公演参加クリエイター>
音楽:ニコ・マーリー「拘束のドローイング」、衣装:イリス・ヴァン・ヘルペン、指揮:マキシム・パスカル

2015/原題: Releve: Histoire d'une creation/ フランス/ 114/フランス語/カラー

配給:トランスフォーマー


20161223日(土)より

Bunkamura ル・シネマほか、全国順次公開

          ©FALABRACKS,OPERA NATIONAL DE PARIS,UPSIDEDISTRIBUTION,BLUEMIND,2016

2016年12月16日金曜日

ニーゼと光のアトリエ(Nise da Silveira: Senhora das Imagens)

精神医学、心理学を志す人たちに見てほしいのはもちろんですが、そうでない人たちにもぜひ見てほしい映画です。
「与えてくれたものを、なぜ奪うんだ!」
患者の悲壮な叫びが、今でも胸をつきます。
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『ニーゼと光のアトリエ』 (原題:Nise da Silveira: Senhora das Imagens
                                                                            

体に自然治癒力があるように、心にも自分を治そうとする力がある。

カール・グスタフ・ユングの言葉を信じ、アート・セラピー(芸術療法)を積極的に挑んだ精神科医、ニーゼ・ダ・シルヴェイラは、実在の人物だ。彼女を演じるのは、ブラジルの国民的女優、グロリア・ピレス。
20世紀前半という時代、既にこんな考えの精神科医がいたということ、それがブラジルという場所であったこと、そして、それを貫いたのが女性であったこと…… この驚きは何だろう。まるで、「失望」という檻に閉じ込められた心に、ひとすじの光が差し込んでくるような感じだ。


© TvZero


 彼女が生きていた時代、心を患った人々の人格がどのように踏みにじられていたのか、この映画はまるでドキュメンタリーのように淡々と映し出す。患者への暴力を治療と信じる医師も数多くいた。「ロボトミー手術」が何の疑問も持たれず、推奨されていた事実も。
歴史は、何を学んだのだろう。
21世紀になった今も、心を患えば社会から敬遠され、患者は皆(心を患おうと体を患おうと)、人格を軽視され、ときには乱暴な治療を「同意書」という手段で受け入れざるを得ない。

だからこそ、この映画から、ニーゼ・ダ・シルヴェイラ医師の生き方から、大切なことを学びたいと思う。

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ここに描かれる「医師と患者の交流」は、私たちが日常的に行っている「人と人との交流」そのものです。親と子、教師と生徒、上司と部下、会社の同僚、友だち、恋人…… すべての人同士の営みに、彼女が貫いた姿勢を取り入れてほしいと願ってやみません。



© TvZero

<公式サイト>
配給:ココロヲ・動かす・映画社 ○
20161217日(土)より

ユーロスペースほか、全国順次公開