『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)』
(原題:Carol of the Bells)
監督:オレシア・モルグレッツ=イサイェンコ
(C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020
ソフィア(ヤナ・コロリョーヴァ)が外から帰ってくる。何か大変なことが起きたらしい。家で待っていたこどもたちは、一瞬、言葉をかけることができない。茫然自失のソフィアは突然、自分のよそゆきの服を脱ぎ捨て、バスタブにつける。固唾を呑む子供たち。すると、ソフィアは3人の子供たちの服も脱がせ始める……白い下着姿の4人が、痛ましい。
物語の始まりは、1939年1月のポーランド・スタニスワヴフ(現在はウクライナ・イヴァーノ=フランキーウシク)。ユダヤ人親子4人が住む家にウクライナ人とポーランド人の家族が住むことに。ウクライナ人家族のソフィアは子供たちに音楽を教え、3つの家族は交流を深めていく。しかし、第2次世界大戦が勃発すると、つつましくも平和だった暮らしが大きく変わり、次々と悲劇が襲いかかる。
この映画が撮影されたのは、2019年から2020年。コロナ禍を乗り越えて完成した。
2022年2月には、ロシアがウクライナに侵攻。そして、本国ウクライナでの上映が始まったのは2023年1月のことだ。多くの観客が映画館を訪れたという。
20世紀には2つの大戦があった。そこから私たちはいったい何を学んだのだろう?21世紀となった今、なぜいまだに戦争によって物事を解決しなければならないのだろう?なぜ、ただ普通に暮らすことができない人たちが今でもいるのだろうか?
映画の中にその答えはない。探せばどこかにあるのだろうか。どこにもないのかもしれない。でも、探し続けることをやめたくはない。
聖書に「天国は彼らのものである」という一節があるのを思い出した。映画の中に入り込むことができるのなら、まっさきにソフィアにこの言葉を届けたいと思った。
(C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE,
2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020
出演:ヤナ・コロリョーヴァ、アンドリー・モストレーンコ、ヨアンナ・オポズダ、ポリナ・グロモヴァ、フルィスティーナ・オレヒヴナ・ウシーツカ
監督:オレシア・モルグレッツ=イサイェンコ
脚本:クセニア・ザスタフスカ
撮影:エフゲニー・キレイ
音楽:ホセイン・ミルザゴリ
プロデューサー:アーテム・コリウバイエフ、タラス・ボサック、マクシム・レスチャンカ
2021/ウクライナ・ポーランド/ウクライナ語/シネマスコープ/122分/ 原題:Carol of the Bells
配給: 彩プロ 後援:ウクライナ大使館
(C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020
7月7日(金) 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
<本ブログ内リンク>
『失われた時の中で』(英題:Long Time Passing)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2022/08/long-time-passing.html
『長崎の郵便配達』(英題:The Postman from Nagasaki)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2022/08/the-postman-from-nagasaki.html
<公式サイト>
『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)』
https://carolofthebells.ayapro.ne.jp