2023年7月21日金曜日

ジェーン・バーキンとの思い出(Thinking of Jane Birkin )

  ジェーン・バーキンとの思い出Thinking of Jane Birkin 

 

彼女の歌う “Fuir le bonheur de peur quil ne se sauve” という歌が好きだった。日本語タイトルは虹の彼方“。フランス語の歌詞の中に”over the rainbow”という英語が入っている。

作詞作曲は、セルジュ・ゲンズブール。

そっと耳打ちするような彼女の声は、どこか寂しげ。その声が子守唄のようなメロディに乗せてフランス語でささやく。「幸せから逃げよう、幸せが逃げてしまわないように」と。やるせない日々が続いても、そんなやるせない気持ちを表現してくれる音楽があれば乗り切れる。“Fuir le bonheur de peur quil ne se sauve”もそんな歌のひとつだった。

 

 2011年の東日本大震災の直後、復興支援のために来日コンサートを開催したことがつい最近のことにように思える。

 

 彼女の訃報が流れた。2023716日に死去。あと少しで娘のシャルロット・ゲンズブールの誕生日(721日)だったのに、と思う。

 84日には、シャルロット・ゲンズブールの初監督作品となる「ジェーンとシャルロット」(原題:Jane par Charlotte)の日本公開が控えている。ジェーン・バーキンという人が、アーティストであり、時代のアイコンである以前に、1人の女性であったこと、3人の娘の母親であったことをあらためて知る。

 

 

<公式サイト>

 

「ジェーンとシャルロット」(原題:Jane par Charlotte

https://www.reallylikefilms.com/janeandcharlotte

 

配給:リアリーライクフィルムズ


© 2021 NOLITA CINEMA – DEADLY VALENTINE PUBLISHING / ReallyLikeFilms



2023年7月7日金曜日

『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)』(原題:Carol of the Bells)

 『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)』

(原題:Carol of the Bells

監督:オレシア・モルグレッツ=イサイェンコ 



                                                                      (C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE,
                                                                       2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020  



 

ソフィア(ヤナ・コロリョーヴァ)が外から帰ってくる。何か大変なことが起きたらしい。家で待っていたこどもたちは、一瞬、言葉をかけることができない。茫然自失のソフィアは突然、自分のよそゆきの服を脱ぎ捨て、バスタブにつける。固唾を呑む子供たち。すると、ソフィアは3人の子供たちの服も脱がせ始める……白い下着姿の4人が、痛ましい。

 物語の始まりは、19391月のポーランド・スタニスワヴフ(現在はウクライナ・イヴァーノ=フランキーウシク)。ユダヤ人親子4人が住む家にウクライナ人とポーランド人の家族が住むことに。ウクライナ人家族のソフィアは子供たちに音楽を教え、3つの家族は交流を深めていく。しかし、第2次世界大戦が勃発すると、つつましくも平和だった暮らしが大きく変わり、次々と悲劇が襲いかかる。

 この映画が撮影されたのは、2019年から2020年。コロナ禍を乗り越えて完成した。

20222月には、ロシアがウクライナに侵攻。そして、本国ウクライナでの上映が始まったのは20231月のことだ。多くの観客が映画館を訪れたという。

 20世紀には2つの大戦があった。そこから私たちはいったい何を学んだのだろう?21世紀となった今、なぜいまだに戦争によって物事を解決しなければならないのだろう?なぜ、ただ普通に暮らすことができない人たちが今でもいるのだろうか?

映画の中にその答えはない。探せばどこかにあるのだろうか。どこにもないのかもしれない。でも、探し続けることをやめたくはない。

 聖書に「天国は彼らのものである」という一節があるのを思い出した。映画の中に入り込むことができるのなら、まっさきにソフィアにこの言葉を届けたいと思った。


                                                                        (C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE,

                                                                       2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020




 

出演:ヤナ・コロリョーヴァ、アンドリー・モストレーンコ、ヨアンナ・オポズダ、ポリナ・グロモヴァ、フルィスティーナ・オレヒヴナ・ウシーツカ

監督:オレシア・モルグレッツ=イサイェンコ 

脚本:クセニア・ザスタフスカ 

撮影:エフゲニー・キレイ 

音楽:ホセイン・ミルザゴリ

プロデューサー:アーテム・コリウバイエフ、タラス・ボサック、マクシム・レスチャンカ    

 

2021/ウクライナ・ポーランド/ウクライナ語/シネマスコープ/122分/ 原題:Carol of the Bells

配給: 彩プロ 後援:ウクライナ大使館 

(C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020

 

7月7日(金) 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開

 

 

<本ブログ内リンク>

 

『失われた時の中で』(英題:Long Time Passing

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2022/08/long-time-passing.html

 

『長崎の郵便配達』(英題:The Postman from Nagasaki

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2022/08/the-postman-from-nagasaki.html

 

 

<公式サイト>

『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)』

https://carolofthebells.ayapro.ne.jp