2018年5月28日月曜日

『男と女、モントーク岬で』(Return to Montauk)

この映画を観ていたら、エドワード・ホッパーの絵をむしょうに見たくなりました。

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『男と女、モントーク岬で』(原題:Return to Montauk

  明け方の港、夕暮れの商店街、湖のほとり、川縁の土手、満開の桜、炎天下のひまわり畑、雪の降りしきる修道院……
 この地球上に存在する、数えきれないほどの美しい景色。
 その景色はときとして「鍵」のように作用することがある。
 心の奥底に沈めたはずのパンドラの箱の鍵だ。
 自分の箱にぴたりと合う鍵(=景色)に遭遇すると、眠っていた感情が一気に呼び覚まされてしまう。涙がとめどもなく流れる人もいれば、甘酸っぱい心地よさに満たされる人もいる。

©Ziegler Film/Franziska Strauss

 モントーク (Montauk)。
 ネイティブ・アメリカンの言葉で「地の果て」を意味するこの場所もまた、人々の「鍵」となる景色のひとつなのだろう。
 ニューヨーク・マンハッタンから約180kmの距離にある、ロングアイランドの最東端にある岬、モントーク。そこで、かつて恋人同士だった2人が何十年かの歳月を経て再会する。そして、思い出の場所、モントークへ向かう。女の職業は弁護士。男の職業は小説家。クールでいなければ生きていけなかった女と、思い出と夢の中で自分の位置を探し続けた男。ぽつんとたたずむ灯台とどこまでも続く海岸線が、さりげなく2人の間にある真実のヴェールをはがしていく。

 人生は思っているほど長くはない。
 だから、こう思う。
 恥ずかしくてもいい、情けなくてもいい。過去の恋人の居場所を探し当て、門前払いされるのを覚悟で昔の出来事を掘り起こすような行動に出るような生き方もありじゃないだろうか。こんな無粋なことをして、自分の愚かさと浅はかさを知るのもいいんじゃないだろうか、と。

<本ブログ内リンク>

この映画観の主人公も小説家。そして、ある女性と再会します。

『ビフォア・サンセット』 BEFORE SUNSET


<公式サイト>

『男と女、モントーク岬で』

監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:ステラン・スカルスガルド ニーナ・ホス   
ドイツ・フランス・アイルランド映画/英語・フランス語/シネスコ/2017 年/106

配給:アルバトロス・フィルム

526()、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

2018年5月14日月曜日

『ルイ14世の死』 ( La mort de Louis XIV)

『ルイ14世の死』  (原題: La mort de Louis XIV)


 舞台のほとんどはルイ14世の病床だ。
 ろうそくが映し出す、ルーベンスの絵画のような色彩。その高貴さとは対称的な、遠回しで空虚な会話。こんなに淡々とした展開でありながら、俳優たちの重厚な演技が、観客を飽きさせずに導いていく。
「映像において、ものを考えている人の顔ほど美しいものはない。しかも俳優の頭の中にあることが単に脚本から得ただけのありふれた考えでないときは本当に美しい映像になる」。アルベルト・セラ監督のこんな美意識によって、映画は完成した。主人公のルイ14世を演じるのは、ジャン=ピエール・レオ。トリュフォー監督の映画でアントワーヌ少年を演じ続け、ヌーヴェルヴァーグの申し子と言われた伝説の俳優だ。愛犬をいつくしむまなざし、女性の話題でわずかに明るくなる表情……  彼の茶目っ気のある演技は、まるで魔法のように、いかめしいカツラとやたらに豪華なベッドを喜劇の小道具に変えていく。セラ監督がジャン=ピエール・レオに託したのは、太陽王の崇高な死ではなく、死の淵までをも干渉され続けなければならなかった1人の男の悲哀だったのではないだろうか。


©CAPRICCI FILMS,ROSA FILMES,ANDERCRAUN FILMS,BOBI LUX 2016



5月26日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開


2016年 / フランス、ポルトガル、スペイン/115分/フランス語
配給:ムヴィオラ



<本ブログ内リンク>
ジャン=ピエール・レオのもうひとつの主演映画
『ライオンは今夜死ぬ』 

<公式サイト>

『ルイ14世の死』

<関連サイト>

『ルイ14世の死』公開記念特集上映〈21世紀の前衛〉アルベルト•セラ お前は誰だ!?



※ この映画が公開される526日に先立ち、519日〜525日、シアター・イメージフォーラムでは、特別上映『<21世紀の前衛>アルベルト・セラ お前は誰だ!?』が開催されます。セラ監督の過去の作品、セラ監督自身のお気に入りの映画が上映されるほか、セラ監督の舞台挨拶も。