2024年4月28日日曜日

『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』(原題:Rapito )

  

 映画の中のエドガルドをじっと観察してください。

浮かび上がるのは、「ストックホルム症候群」という言葉です。

実在した彼の生涯を知ると、私は胸が苦しくなってしまいます。

キリスト教徒か否か、宗教を信仰しているか否かで、この映画の見方が大きく変わってくるような気がします。

 

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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

原題:Rapito  / 2023イタリア・フランス・ドイツ)

 

7歳を迎えようとする少年がいる。彼の名はエドガルド(エネア・サラ)。ユダヤ教徒の父と母、兄弟に囲まれて暮らしている。穏やかな幸せを感じるごく普通の家庭に見える。

 1858年のイタリア・ボローニャ。ごく普通の少年エドガルドが、ある夜、突然連れ去られてしまう。そして連れていかれた先に待っていたのは、当時のローマ教皇、ピウス9世(パオロ・ピエロボン)だった。 愛する息子を取り戻そうと、半狂乱になって闘う父モモロ(ファウスト・ルッソ・アレジ)と母マリアンナ(バルバラ・ロンキ)。その愛を上回る不条理が、エドガルドを決して家族の元へ返そうとはしない。成長期の最も大切な時期を、彼はローマ教皇の支配下で過ごし、エドガルドは笑顔をなくしていく。そして、青年となったエドガルド(レオナルド・マルテーゼ)がとった行動とは……


                                                                        © IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / 
                                                                       MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)


 

映画の主人公、エドガルド・モルターラは実在の人物。ローマ教皇による連れ去り事件も本当にあった事件だ。そしてそれは古代や中世ではなく、19世紀、今から約166年程前のことと知ると、人間のあまりの愚かさに悲しみと怒りが込み上げてくる。

 教会とは、何なのか? 教会にとって「家族」とは、取るに足らない存在なのか?

 

人を救うための宗教が、人を苦しめることになる。その矛盾はどこからやってくるのか?

かつて宗教の名のもとに、戦争が行われたことがある。そして今、日本では「宗教2世」という言葉が生まれ、宗教虐待が問題視されるようになった。 

 それでは、宗教を禁止すれば問題は解決するのか?

 残念ながら、それでは解決にならないことを、エドガルドのその後の生き様が証明している。

 

 映画を見終わった後も、ずっと心から消えない。7歳の少年が母親に「帰りたい」と泣き叫ぶ声と、その涙が。あのときから、彼の心の時計は止まってしまったかのようだ。あの子を救ってあげたい、と思った。

 

 

監督:マルコ・ベロッキオ 

脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ 

出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ、バルバラ・ロンキ、エネア・サラ、

       レオナルド・マルテーゼ

2023/イタリア語/134分 


配給:ファインフィルムズ 


4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他にてロードショー



2024年4月27日土曜日

野音への思い(Thinking of Hibiya Open-Air Concert Hall)

  

「野音」とも呼ばれ、音楽ファンをはじめ多くの人たちに愛される、日比谷野外音楽堂。

日本初の大規模な野外音楽堂として、日比谷公園の一角に1923年に誕生しました。野音には大ホールと小ホールがあるのをご存知ですか?小ホールは入場無料、ふらりと散歩に来た人たちが音楽を楽しめることができます。

 その野音が、「老朽化のための建て替え」という理由で、しばらく使用できなくなります。当初は、20249月までとされていましたが、再整備に応募した民間事業者がいなかった理由で1年ほど延期になるようです。

 いつも当たり前のようにあった風景が突然消えてしまうのは悲しいことです。

 野音を愛したミュージシャンたちが別れを惜しみながら奏でる音が、この日も聞こえてきました。

 

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日比谷野外音楽堂への思い(Thinking of Hibiya Open-Air Concert Hall



             公演がもうすぐ始まる、2024年4月21日の日比谷野外音楽堂
              (小ホール)


 

2024421日。

暑くもなく寒くもなく、日差しも強すぎず、屋外で過ごすには快適な1日。

野音を聖地として慕うかつての若者たちが集った。

13:05から始まる野外コンサートのメインは、1984年から音楽活動を行なっている、斎藤智春さんの活動40周年記念公演。「斎藤智春withジョニー笹川」として、ジョニー笹川さんがピアノを担当する。(ほか、東山卓史さん、柿島伸次さんもゲストとして共演)

 

斎藤さんが出演する前の時間帯は、つつみかんペイさん、MOGAMIさん、田宮俊彦さんがステージをあたためる。

11:30

自分のホームタウンのひとつだった野音がなくなってしまうさびしさ。つつみさんはこの場所との別れを惜しみながら歌う。

日比谷公園の木のざわめきと空気と一体になりながら、MOGAMIさんは「今」を歌う。

血液型がO型からA型に変わったとたん(そんなことあるんだ!?)、雨男から晴れ男へと変化を遂げたらしく、そのおかげか雨になりそうな気配は消えていた。

田宮さんは、許すことが許されなくなった世界を嘆き、父を亡くした喪失感をみつめ、それでも歌に希望を託す姿を披露する。

 

13:05。斎藤さんたちのステージが始まる。上馬ガソリンアレイでデビューしたのが18歳。20代前半の懐かしい歌がある、40代に入って忘れえぬ人を想う歌がある……斎藤さんのステージをずっと見守ってきた人は、自分自身の思い出と重ね合わせながらどんなことを思っただろう。

 

 通りすがりの人たちがふらりと立ち寄れる音楽空間。そこにいるだけで、野音のベンチに座るだけで私たちはひとりぼっちではなくなる。好きな時に入り、好きな時に出られる。(トイレもすぐ近くにある)。日本を訪れた海外からの観光客の人も、ほかに行く場所がなくてさまよっていた人も、一期一会という空間を共有できる。

 

どうかこの場所が、姿かたちを変えようとも残り続けますように。

 

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斎藤智春さんと田宮俊彦さんは、明日(2024428)も、野音に出演の予定です。

斎藤さん(11:40-11:55頃)、田宮さん(14:40-14:55頃)

好天に恵まれますように!

 

 

<本ブログ内リンク>

 

斎藤智春さん、つつみかんペイさん、MOGAMIさん、東山卓史さんは、上馬ガソリンアレイご出身です。


上馬ガソリンアレイという時代 その1

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/blog-post_6.html

 

上馬ガソリンアレイという時代 その2

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/blog-post_16.html

 

上馬ガソリンアレイという時代 その3(杉山清貴さん)

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/3-7-17-56-32-freelance-writer-mika.html

 

 

上馬ガソリンアレイという時代 その4

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/08/4.html

 

上馬ガソリンアレイという時代 その5(ガソリンカレーの思い出)

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/03/blog-post_16.html

 

上馬ガソリンアレイという時代 その6

https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2017/03/6kamiuma-gasoline-alley.html