『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』
(原題:Le sel de la terre/2014年/ フランス・ブラジル・イタリア合作)
監督:ジュリアーノ・リベイロ・サルガド(Juliano
Ribeiro salgado)
ヴィム・ヴェンダース(Wim
Wenders)
ブラジルの大地のように心が広い妻、レリア。
初めての息子、セバスチャン。(この映画の監督のひとり)
ダウン症の次男、ロドリゴ。
ブラジル出身の報道写真家、セバスチャン・リベイロ・サルガド(Sebastião Ribeiro Salgado)は、家族を愛し、家族を大切にする人であることを、この映画が教えてくれる。
「神の眼を持つ写真家」と言われるサルガド。それでも、彼自身は決して万能の神ではない。ルワンダでの大虐殺(ジェノサイド/genocide)を目の当たりにし、心がぼろぼろになった彼を支えたのは、家族の愛と故郷の大地だった。
1本、1本、木を植える—
「植樹」という簡素な行いでサルガドは自分を癒し、地球を癒し始める。「写真家」であり続けながら、「環境活動家」としての人生をスタートさせた。サルガドは、夫妻で”インスティトゥート・テラ”を設立し、今もブラジルの森林を守る運動を続けている。
ヴィム・ヴェンダース監督(左)とセバスチャン・サルガド氏(右)
©Sebastião Salgado ©Donata Wenders ©Sara Rangel ©Juliano Ribeiro Salgado
©Sebastião Salgado ©Donata Wenders ©Sara Rangel ©Juliano Ribeiro Salgado
ブラジルのミナスジェライス州の小さな農場主の息子として生まれたサルガドは、1960年代に、独裁政権への反対運動に加わり、パリへ逃れる。
経済学を学んだエコノミストとしての視点と、深い人類愛。この両方がサルガドの写真の根っこにある。人類への愛は、自然への愛、地球への愛へと広がっていく。
難民となって生きることもままならない状況へと追われる人々。
自由を得るために金脈へと向かう人々。
時代の波から逃れ原始の生活を守り続ける人々。
第二次世界大戦の頃に生まれ、20世紀の人類の負の歴史を撮り続けたサルガド。
彼が、21世紀になって始めたライフワークのひとつが、”インスティトゥート・テラ”の森林再生活動であり、もうひとつが、”GENESIS(ジェネシス)”という写真活動だ。
自由を得るために金脈へと向かう人々。
時代の波から逃れ原始の生活を守り続ける人々。
第二次世界大戦の頃に生まれ、20世紀の人類の負の歴史を撮り続けたサルガド。
彼が、21世紀になって始めたライフワークのひとつが、”インスティトゥート・テラ”の森林再生活動であり、もうひとつが、”GENESIS(ジェネシス)”という写真活動だ。
ダーウィンに思いを馳せながら、サルガドは、ガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠やブラジル熱帯雨林などを訪れ、動物が見せる一瞬の美しい姿をカメラにおさめる。
ゾウガメもクジラも、サルガドのカメラの前ではスターになり、また親のまなざしに見守られるこどものようになる。
「“GENESIS(ジェネシス)”は、私から地球に贈るラブレターです」(サルガド)。
「素晴らしい自然が存在するからこそ、人類は希望を失わずにいられるというメッセージを(この映画では)伝えているのです」(ヴィム・ヴェンダース)
「私の父は、世界から取り残されたようなブラジルの田舎の、とても貧しい村の出身です。だからこそ、彼に写真を撮られる人々は、彼の博愛的な視点を受け入れるのだと思います」(ジュリアーノ・リベイロ・サルガド)
20世紀の人類の歴史、21世紀という時代が私たちに与えた課題、そして、セバスチャン・サルガドとい人間の生きざまと家族の愛……このドキュメンタリー映画の裾野の広さそのものが、「愛」に溢れていて、胸が熱くなってくる。
フランス映画祭2015のために来日したジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督
2015年6月30日、有楽町朝日ホールにて撮影
<公式サイト>
監督:ヴィム・ヴェンダース、ジュリアーノ・リベイロ・サルガド
プロデューサー:デヴィッド・ロジエール
エグゼクティブプロデューサー:ヴィム・ヴェンダース
撮影:ヒューゴ・バルビエ、ジュリアーノ・リベイロ・サルガド
音楽:ローラン・プティガン
2014年/フランス・ブラジル・イタリア/110分/DCP/カラー/原題:The Salt of The Earth/
配給:RESPECT(レスペ)×トランスフォーマー
宣伝:Lem