2015年7月26日日曜日

『アルジャーノンに花束を』( Flowers for Algernon) そして『ローズ』(The Rose)

今日は『親子の日』。
写真家 ブルース・オズボーン氏(Bruce Osborn)の呼びかけによって始まりました。2003年から、毎年7月の第4日曜日を「親子の日」としようと提唱されています。
この運動が、「母の日」や「父の日」のように広まり、こどもたちの未来を守ってくれますよう。

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金曜ドラマ『アルジャーノンに花束を』(TBSテレビ)
そして、『ローズ』(The Rose)

多くの人に愛される名作『アルジャーノンに花束を』(原題:”Flowers for Algernon”)。原作は、米国のダイニル・キイス(Daniel Keyes)だ。

4月から6月の間、TBSテレビで、この小説のリメイク版ドラマ(脚本監修:野島伸司)が放送されていた。

このドラマの主題歌となったのが、『ローズ』”The Rose” 作詞・作曲はアマンダ・マクブルーム(Amanda McBroom)。ベット・ミドラーが歌い、その年のグラミー賞を受賞した。


Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed
(「愛」は刃物のように鋭く、魂を血だらけにするという人もいる)


ドラマで核となるのは、2人の「父親」だ。

1人は、白鳥久人(いしだ壱成)。
主人公の白鳥咲人が、愛と優しさに満ちあふれた人生を送れるよう、指南する。そして、自らの体の一部を他人に捧げ、そのためにこの世を去る。

もう1人は、天才科学者・蜂須賀大吾(石丸幹二)。前途あふれる息子を、心ない事件で失ってしまう。「知能の低い者が暴力をふるい、命を奪う」と嘆き、人間の知能を高めることができれば、野蛮な争いをこの世から一掃することができると信じる。
そして、知能障害のある白鳥咲人に自らが開発した画期的な薬を投与する。

主題歌は、こんな歌詞で結ばれる。

And you think that love is only
For the lucky and the strong……
(「愛」というのは、幸運で強い人にしか訪れないと思っているかもしれない)

"でも、そんなことはない。
冷たい雪の下にだって、美しく咲くバラの種が眠っているのだから"と。


ドラマで、主人公の咲人はもう1人の父・大吾にこう語る。
暴力的な心を抑制するのは「知性」ではなく「愛」ではないか。
愛に満たされて育った人は、相手の暴力的な行為にはじめは戸惑うかもしれない。それでも、愛を知る人は暴力を与えられても、相手に暴力で返すことはしないのではないか、と。

久人から「愛」を、大吾から「知性」を譲り受けた咲人。彼と2人の父親の関係は、私たちに何を投げかけてくれたのだろうか。


今日は、「親子の日」。

2015年7月25日土曜日

イザベル・ジョルダーノさんと会う(Interview avec Isabelle Giordano)

フランス映画祭2015 その4

イザベル・ジョルダーノさんと会う(Interview avec Isabelle Giordano

フランス映画には、美しい女性たちが数多く登場する。自由で、強くて、輝いていて、ちゃんと「自分」を持っている。
出演している女優さんたちの美しさはもちろんだけど、フランスという社会に生きるリアルな女性たちが美しいからこそ、映画の登場人物たちも美しいのだろう、きっと。
この人を見ていると、そんなふうに納得してしまう。

イザベル・ジョルダーノさん。
映画関係のジャーナリストとして活躍し、2009年にフランス芸術文化勲章オフィシエ、2013年にレジオンドヌール勲章シュヴァリエの受勲の栄誉に輝く。そんな彼女は、20139月から、ユニフランス・フィルムズの代表に就任。フランス映画の使節として、20156月のフランス映画祭2015のため、来日した。

フランスは、働く女性が多い国のひとつとして知られるが、フランスの映画業界も例外ではない。
「フランスの才能あふれる若手監督のひとりに、エマニュエル・ベルコという女性監督がいます。彼女をはじめ、女性の映画監督は、男性に比べ、より鋭いテーマを選ぶことが多いように感じます」と語るジョルダーノさん。

ユニフランスフィルムズ代表 イザベル・ジョルダーノさん
2015年6月27日パレスホテル東京にて撮影

「フランスでは、映画監督全体のうち、約25%が女性監督。一方、アメリカでは女性監督の比率は約3%と言われています」

フランス映画に登場する女性たちが、なぜ魅力的なのか、なぜいきいきとしているのか、この数字が物語っているようにも思える。
フランス映画祭2012で来日した女性監督2人(※)も、仕事と子育ての両立について語っていたのを思い出した。
(※ヴァレリー・ドンゼッリ監督/Valérie Donzelliと、レア・フェネール監督/Lea Fehner)


働く女性へのメッセージを、との質問にジョルダーノさんはこう答える。

「たとえ不可能かもしれないと思っても、その夢を持ち続け、実現するために突き進むことが大切」と。

高校を出たばかりのときは、映画好きの少女の1人だったジョルダーノさん。
自分が今、こうしてオリヴィエ・アサイヤス(Olivier Assayas)監督のような偉大な映画人たちと肩を並べる日が来るなど、その頃は想像もしていなかったという。

もちろん、夢見る少女は、ただ、夢だけをみつめてきたわけではない。着実に積み上げてきたキャリアの影には、多くの努力があったことは明らかだ。
100の時間があったとしたら、95%が仕事!残りの5%が自分の楽しむ時間ですね」と、さらりと答える笑顔から、フランス女性の本当の魅力が垣間見えるひとときだった。


<本ブログ内リンク>

フランス映画祭2015 その1 『エール!』トークショー
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/06/2015.html


フランス映画祭2015 その2 『ボヴァリー夫人とパン屋さん』トークショー
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/2015.html


フランス映画祭2015 その3 --来日ゲストが運んだ、フランスの風 —
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/2015_15.html


<公式サイト>

フランス映画祭2015

http://unifrance.jp/festival/2015/