2016年10月20日木曜日

『ダゲレオタイプの女』(La femme de la plaque argentique)

この映画の主人公は、就職難に悩み、安定した生活を望む、どこにでもいるような青年です。そんな彼の人生を、いったい、何が狂わせてしまったのでしょうか……
「普通の人」と、「普通でない人」の境界線は、あいまいなのかもしれません。

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『ダゲレオタイプの女』(原題:La femme de la plaque argentique)

「ダゲレオタイプ」。それは、フランスで生まれた世界最古の写真撮影法。
ネガではなく、直接銀板に焼き付けるため、写真は世界に1点しか存在しない。撮影そのものに時間がかかるため、モデルは、長時間、身体を拘束される。写真家の父・ステファン(オリヴィエ・グルメ)のもとで被写体となる娘・マリー(コンスタンス・ルソー)は、1,2時間にも渡り、同じ姿勢を強いられた。撮影が終わると顔は青ざめ、倒れ込むほどの状態だ。しかし、娘の犠牲の上に成り立つダゲレオタイプの写真は、芸術と呼ぶに値する輝きを放っていた。
あるとき、ステファンの新しい弟子として、一人の青年が古びた屋敷にやってくる。ジャン(タハール・ラヒム)だ。未熟で誠実な青年は、ステファンの神業に魅了され、また、献身と自立のはざまで揺れる娘・マリーに魅了される。やがて、ジャンの人生の歯車が、少しずつ狂い始める・・・・・・
監督は、『岸辺の旅』で、第65回カンヌ国際映画祭(2015年)の「ある視点部門監督賞」に輝いた、黒沢清。本作が、初の海外進出作品となる。愛とは?芸術とは?永遠とは?芥川龍之介の『地獄変』が、まるで21世紀のフランスでよみがえったかのような世界。想像と現実の境がわからなくなるような、全編を通してミステリアスな空気が漂う中、マチュー・アマルリック演じるヴァンサンが登場するシーンと、モデルとなる老婦人が出演するシーンだけは、明るいトーンに変わり、ほっとした気分になれる。



© FILM-IN-EVOLUTION LES PRODUCTIONS BALTHAZAR
FRAKAS PRODUCTIONS LFDLPA Japan Film Partners ARTE France Cinéma 2016 


監督:黒沢清
脚本:黒沢清
出演:タハール・ラヒム  コンスタンス・ルソー  オリビエ・グルメ  マチュー・アマルリック     
    マリック・ジディ
2015年/原題 La femme de la plaque argentique/フランス・ベルギー・日本合作/131分/
配給:ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/dagereo/
  



2016年10月14日金曜日

ボブ・ディラン(Bob Dylan)、ノーベル文学賞を受賞

昨日のニュースに、どれだけ多くの人が釘付けになったことでしょう。
タイのプミポン国王他界のニュースに、ひとつの時代の終わりを感じ、そして、ボブ・ディラン(Bob Dylan)の、ノーベル文学賞受賞のニュースに、新しい息吹を感じました。

彼の書いた“Don’t Think Twice Its All Right”(くよくよするなよ)が大好きです。

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ボブ・ディラン(Bob Dylan)、ノーベル文学賞を受賞

ボブ・ディラン(Bob Dylan)がノーベル文学賞を受賞したというニュース。
なぜ、こんなに心躍るのでしょう?自分の心の中に、希望の光がすーっと差し込んでいくのを確かに感じました。
彼の受賞は、彼だけの、アメリカだけの、ボブ・ディランファンだけのものではないからです。純粋に、地道に音楽活動を続けている多くのミュージシャンたちもまた、祝福されているような気がしたのです。

ロックが、ポップスが、フォークが……つまり、庶民の文化が世界的な権威によって認められたんだ、という喜び。民主化がここでも開花したのか、と言いたくなるような喜び。

ボブ・ディランのように、多くのミュージシャンが今もステージに立ち、大切な何かを伝え続けています。武道館や横浜アリーナのように大きなステージで歌うミュージシャンだけではありません。それはときに、小さいライブハウスであったり、雨をしのぐ屋根のない、街角であったりもします。
ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞は、そんな彼らにもチャンスがあることを示してくれたのではないでしょうか。

だから、私はとても嬉しいのです。

「売れる音楽」ではなく、「心からわき上がる音楽」を大切にするミュージシャンたちにとって、これからがよき時代となりますよう。

<本ブログ内リンク>

上馬ガソリンアレイという時代 その1
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/blog-post_6.html

上馬ガソリンアレイという時代 その2
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/blog-post_16.html

上馬ガソリンアレイという時代 その3(杉山清貴さん)

上馬ガソリンアレイという時代 その4

上馬ガソリンアレイという時代その5

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/03/blog-post_16.html

2016年10月8日土曜日

横濱JAZZ PROMENADE 2016 が始まる( Yokohama Jazz Promenade2016 )

横濱JAZZ PROMENADE 2016 が始まる
( Yokohama Jazz Promenade2016 )



秋……暑い日も続いたけれど、夜の風と空の月は、ちゃんと季節を告げてくれる。
1年でもっともジャズが似合う季節も、今頃かもしれない。

横濱JAZZ PROMENADE 2016(ヨコハマジャズプロムナード2016) が今日、始まる。2016年の今年は、108日と9日の2日間。日本で活躍するジャズミュージシャンはもちろん国外からも、多くのジャズ・ミュージシャンが集まる。


カナダ・ケベック州から来日するのが、Alain Bédard & the Auguste Quartet(アラン・ベダール・オーギュストカルテット)。


  
左から、Michel LambertFélix StüssiSamuel BlaisAlain Bédard
(2016年10月7日、『晴れたら空に豆まいて』にて撮影)


ドラムは、お茶目でユーモアたっぷりのMichel Lambert(ミシェル・ランベール)
ピアノは、貫禄と品格がにじみ出る、Félix Stüssi (フェリックス・ストゥシ)。
初々しいサックスプレイヤー、Samuel Blais(サミュレル・ブレ)。
そして、ベースは、静かで優しい雰囲気が漂うバンドリーダー、
Alain Bédard(アラン・ベダール/注1)。


ジャズ発祥の地、アメリカ合衆国のジャズとは少しテイストが違うケベックのジャズ。それは、彼らが、フランス語で生活をしているからなのかもしれない。
フランス語のリズムが体内に宿る彼らのジャズは、ケベックのきりっと澄んだ空気と合流し、素敵な贈り物を届けてくれる。

Alain Bédard & the Auguste Quartetの演奏は、明日、109日、赤レンガ倉庫で。
くわしくは、公式サイトで確認を。
 


(※注1 アラン・ベダードという表記もありますが、ご本人が自ら発音する音に近い「ベダール」と表記しています)





Alain Bédard & the Auguste Quartet
横濱JAZZ PROMENADE 2016に先立つ107日夜、
東京・代官山のライブハウス『晴れたら空に豆まいて』で演奏を披露




<公式サイト>

横濱JAZZ PROMENADE 2016
http://jazzpro.jp

晴れたら空に豆まいて
http://mameromantic.com