2017年4月21日金曜日

『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒』(Robert Doisneau: Through the Lens)

パリのシャンゼリゼ通りで、4月20日、警官が銃撃されるという痛ましい事件が起きました。自由と平等の国フランスとは「テロがいつ起こってもおかしくない国」と言われてしまうのでしょうか。そんななか、愛と希望に満ちたパリを撮影した写真家、ロベール・ドアノーのドキュメンタリー映画の上映が日本で始まります。
明日の上映開始に向けて、本作の監督であり、ロベール・ドアノーの孫娘であるクレモンティーヌ・ドルディルさんが来日中です。上映館の東京都写真美術館ホールとユーロスペースでトークショーが行われます。

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『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒』
(原題:Robert Doisneau: Through the Lens)

何て輝いているんだろう!
ドアノーの信念と生きざま、そして彼が生きてきた「時代」から溢れるエネルギー。すべてがきらきらとした光を放っているような気がした。
1912年に生まれ、1994年に他界。ドアノーは文字通り、「20世紀」を懸命に生きた。自由の束縛を何より嫌った「反戦の人」は、パリ解放の希望に溢れた人々の写真をカメラにおさめる。そして、自由を謳歌する人々の写真を数多く残していく。まだ「広告代理店」が存在しなかった頃、ドアノーが撮った家族団らんの写真がさまざまな広告に採用された。被写体だった子供たちが、広告に使われた50年も前の写真をなつかしそうに見て笑うシーン。その中で、ひとりが「カトリック系の雑誌からも、コミュニスト系の雑誌からもまったく同じ写真の依頼が入ったのよ!」と笑う。なんて、自由でおおらかな時代だったんだろう、と思う。美しい数々の写真の合間に現れる、ロベール・ドアノー本人の穏やかな表情と、お茶目ないくつかのコメントが微笑ましい。


仕事一筋、でも。いつも家族と一緒。そんな彼のライフスタイルから、私たちは多くを学ぶ。バスルームを現像所として使っていたため、ドアノーの家族が入浴できるのは週末だけ。石けんの香りに包まれて現像する月曜日は、とても幸せな気分で彼は仕事にのぞんだそうだ。
21世紀を生きる私たちにどんなことを伝えたいのか、天国のドアノーに聞いてみたいと思った。


監督: クレモンティーヌ・ドルディル
製作: ジャン・ヴァサク
編集: マリー・ドルディル
撮影: グレゴワール・ドゥ・カリニョン

出演: ロベール・ドアノー  フランシーヌ・ドルディル&アネット・ドアノー  サビーヌ・ヴァイスダニエル・ペナック  フランソワ・モレル  フィリップ・ドレルム  サビーヌ・アゼマ  ジャン=クロード・カリエール  梶川芳伴  佐藤正子  堀江敏幸  ほか

2016/原題: Robert Doisneau: Through the Lens/フランス/ 80

配給: ブロードメディア・スタジオ

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