2024年8月1日木曜日

『めくらやなぎと眠る女』 (原題:Saules Aveugles, Femme Endormie)



 フランス映画祭2024で上映された、村上春樹原作の小説、初のアニメ化作品です。

 

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めくらやなぎと眠る女

(原題:Saules Aveugles, Femme Endormie

(監督:脚本:ピエール・フォルデス 2022年)



 


原作は村上春樹。

 

「かえるくん、東京を救う」

「バースデイ・ガール」

「かいつぶり」

「ねじまき鳥と火曜日の女たち」

UFOが釧路に降りる」

「めくらやなぎと、眠る女」

 

彼の6つの短編を自由に行き来しながら、ピエール・フォルデス監督は1つの物語を編み上げる。登場人物たちは幻を見るようなまなざしで、自分の居場所を探しているかのよう。映像を包み込む色彩は少しさびしげで、そして柔らかい。

父はハンガリー出身、母はイギリス出身、彼が生まれたのはアメリカだ。パリで育ち、その才能はニューヨークで開花した。映画監督であると同時に、作曲家であり、画家でもある。

 

初めて日本を訪れたのは10年前。

「日本に魅せられた、というより日本の何か“に魅せられたんだ」

I felt in love with "something" of Japan

 

雅楽と武道に興味を持ち、東洋の神秘をもっと知りたいと思った。

村上春樹作品を手にしたのは、それから後のことだ。原作独特の空気を損なうことなく、どうすればよりよい映像としてつくり上げるのか……フォルデス監督は、自分自身の心の中から湧き上がる何かを大切に、制作にかかる。こうして、村上作品原作初のアニメーションが完成した。

 

 東京の街並みが、部屋の間取りがリアルに再現されているかと思うと、おとぎの国に紛れ込んだかのような感覚に陥ることもある。フォルデス監督が描く不思議な映像、そこには繊細さと深さ“がある。そして、憂鬱と孤独の中に、救いと希望がある。

 

 この映画の制作を通して、彼は自分を魅せた日本の何か“を見つけることができたのだろうか。あるいは、その何か”は永遠に手の届かないところを漂っているのだろうか。

 

 

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<公式サイト>

めくらやなぎと眠る女

http://www.eurospace.co.jp/BWSW

 

 

配給:ユーロスペース、インターフィルム、ニューディアー、レプロエンタテインメント

 


2022/109/フランス、ルクセンブルク、カナダ、オランダ合作

原題:「Saules Aveugles, Femme Endormie

英語題:「Blind Willow, Sleeping Woman



             ピエール・フォルデス監督は、自ら「カエルくん」を演じ、その動きを

                  もとにアニメーションを制作した。

                  (2024年3月28日 東京都渋谷区にて撮影)



 

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