2016年3月12日土曜日

苦しみや悲しみに、大小の差はない


 20113111446分。
今から5年前の今日のこの時刻に、東日本大震災が発生しました。
地震、津波、原発事故……家族や友人を失った人、マイホームを失った人、仕事を失った人、多くの人が多くのものを失いました。
 5年という歳月は何を物語るのでしょうか。
 震災当時にはりつめていた心が少しずつゆるむ時期かもしれません。

 生き残った自分は幸運だ、それだけでも感謝しなければ。

 家族は無事だった。家は建て直せばそれでいい。

 故郷は追われても、自分たちはこうして健康で生きている。こんなことで悩んでいたら、もっとひどい苦しみを背負った人たちに申し訳ない。

 ここは被災地じゃない。こどもの食べ物を心配に思うなんてぜいたくだ。こどもを失った親の悲しみに比べれば、たいしたことはない。


 震災が多くのものを奪っても、このように「良心」と「謙虚さ」を失わずに生きてきた人たちもがたくさんいらっしゃるのではないかと思います。しかし、他人を気遣うことができるほど、優しい人は、自分の心に負担を強いてきたのではないでしょうか。

 仙台出身の女優、鈴木京香さん主演のTVドラマ『だから荒野』(NHKプレミアムドラマ/原作:桐野夏樹)で、こんなくだりがありました。
 長崎の原爆被害を伝える語り部・山岡孝吉(品川徹)が、森村朋美(鈴木京香)に
「あなたの悩みは何か?」と尋ねます。被爆に比べたら自分の苦しみなんて取るに足らないと答える朋美。すると、孝吉は、苦しみに大きいも小さいもないと言います。小さな世界に住む人は、小さな苦しみで心がいっぱいになるものです、と。
 

 ときには、心の奥底に封じ込めている自分自身の悩みと向き合い、自分自身をいたわってあげてください。日頃、他の人たちに向けているその優しさで。

 

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