2017年3月18日土曜日

『未来よ こんにちは』(L'avenir)

2017316日、香水の都として知られるフランス南部のグラースで、高校生による銃の乱射事件が発生しました。悲しい事件ですが、救いもありました。校長が発砲した生徒を取り押さえて説得し、幸い死者はありませんでした。思春期の多感な少年少女たちと向き合う、教職という仕事の大切さを痛感します。
イザベル・ユペールが高校の哲学教師をつとめる映画が、来週から公開されます。

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『未来よ こんにちは』(原題:L'avenir

パリの高校で哲学の教師をつとめるナタリー(イザベル・ユペール)。
夫は、同じく哲学の教鞭をとる夫・ハインツ(アンドレ・マルコン)。二人の子供は成人し自立、わがままな母親の介護に振り回されながらも、教職や本の執筆をきびきびとこなす毎日だ。

このままずっと、同じような日常が続くかと思っていた矢先、ナタリーはハインツから突然別れを告げられる。ナタリーを落ち込ませたのは、それだけではなかった。母親の他界、仕事の低迷、かつての教え子からもらった厳しい言葉…… 



©2016 CG Cinéma · Arte France Cinéma · DetailFilm · Rhône-Alpes Cinéma



運命はナタリーに優しく微笑みはしない。カメラは、そんなナタリーを淡々と追う。感傷的でもなければ、残酷でもない。多くを失い、ときに涙しながらも、日々の生活をせわしなく送る彼女を、カメラはずっと追い続ける。字面だけでみると、惨めとしかいいようのない熟年女性の人生。でも、イザベル・ユペールは、魔法のような香り立つ演技で彼女に花を添える。そして、監督のミア・ハンセン=ラブは、「希望」という大きな花束を、孤独な主人公・ナタリーに届けた。彼女でしか受け取ることのできない贈り物を。
「幸福が来なければ希望は延び、幻想の魅力はその原因である情熱と同じだけ続きます・・・(中略)・・・手に入れたものより期待するもののほうが楽しく、幸福になる前だけが幸福なのです」。哲学の授業中、ナタリーが『ジュリーあるいは新エロイーズ』(ルソー)のこの一節を朗読するシーンがある。イザベル・ユペールのハスキーで低い声の余韻が今でも心に残る。


<本ブログ内リンク>

(イザベル・ユペール主演の映画)

『アスファルト』 その1
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/08/asphalte.html

『間奏曲はパリで』
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/06/la-ritournelle2014.html


<公式サイト>
『未来よ こんにちは』 http://www.crest-inter.co.jp/mirai/ 


監督: ミア・ハンセン=ラブ
製作: シャルル・ジリベール
脚本: ミア・ハンセン=ラブ  サラ・ル・ピカール  ソラル・フォルト
出演: イザベル・ユペール  アンドレ・マルコン  ロマン・コリンカ
     エディット・スコブ  サラ・ル・ピカール  ほか

2016年/フランス・ドイツ合作/ 102分/ PG12
原題:L’AVENIR/英題:Things to come
協力:フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、ユニフランス 

配給: クレストインターナショナル

2017年3月25日(土)より、

Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー


                                                                  ©2016 CG Cinéma · Arte France Cinéma · DetailFilm · Rhône-Alpes Cinéma





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