2018年8月5日日曜日

『二重螺旋の恋人』(L’amant double)

  この映画を見たら、マンガの『ブラック・ジャック』(原作:手塚治虫)をじっくり読みたいと思ってしまいました。

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『二重螺旋の恋人』 (原題:L’amant double
監督:フランソワ・オゾン(François Ozon
原作:ジョイス・キャロル・オーツ「Lives of the Twins

©2017 - MANDARIN PRODUCTION - FOZ - MARS FILMS - PLAYTIME -
FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES / JEAN-CLAUDE MOIREAU
    


  オスの三毛猫、猫のブローチ、美術館の展示。
  フランソワ・オゾン監督の映画の魅力のひとつが、映画の細部にちりばめられたトリックだ。ミステリーがどんどん深みを帯びて、ブラックホールに吸い込まれていくような感覚を覚える。
  精神科医のポールと甘い生活を始めたはずのクロエが、ポールとうりふたつの男性を通りでみかけることで、少しずつ狂い始める……ポールには双子の兄弟がいるのか?クロエの隣人は彼女の味方なのか?クロエの実母は誰なのか?主人公クロエ(マリーヌ・ヴァクト)の鋭いまなざしは、オゾン監督の前作『婚約者の友人』の主人公、アンヌ(パウラ・ベーア)にとてもよく似ている。満たされていない、でも強い意志を持っているまなざしだ。それは、オゾン監督が、「おとぎ話のお姫様」ではなく、いまを生きる等身大の女性を描いているからなのだろう。だから、オゾン監督の映画に出演する女性は、誰もが輝いている。シーンは少ないけれど、ジャクリーン・ビセット(Jacqueline Bisset)が登場すると、ぱっと華やぐあの感じは何だろう。彼女の存在感もすごいけれど、この人をこの役にキャスティングしたオゾン監督のセンスもまたすごいと思う。

フランス映画祭2018で来日したフランソワ・オゾン監督。
ファンにスマホを向けてカシャっとするときの表情が
茶目っ気たっぷり。


<本ブログ内リンク>
フランソワ・オゾン監督の作品2作。

『婚約者の友人』(Frantz)

『彼は秘密の女ともだち』(UNE NOUVELLE AMIE

<本ブログ内リンク>

『二重螺旋の恋人』 (原題:Lamant double


84()ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:キノフィルムズ

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