アストラッド・ジルベルトとの思い出
(My Days with Astrud Bilberto)
ある時期、”Beach Samba” (ビーチ・サンバ)ばかり聞いていたことがある。アストラッドがスキャットで”ダーバダバッダバダバ♪“と歌っていて、サビ(というか間奏)の盛り上がるところで胸がキュンとなって、機械化された毎日から感受性を取り戻そうとするかのように、この曲に没頭していたことがあった。その頃、フィリピンの友人がいちばん好きと言っていたアストラッドの曲は、“A Certain Sadness” (ある悲しみ)というタイトルだった。聞かせてもらった後、すぐにCDを買いにいった。
それから何年かして、初めてパリを訪れたときとっさに浮かんだのが、アストラッドの歌う”Good bye Sadness(Tristeza)” (トリステーザ)だった。このメロディに日本語の歌詞をのせてときおり歌った。歌うたびに、パリの青い空を思い出していた。
アストラッドを知ったきっかけは、ポーランド出身のBasia(バーシア)が歌う”Astrud”(アストラッドへの想い)という歌。Mat Bianco(マット・ビアンコ)の好きな友人にバーシアを紹介したら、その友人がアストラッドのCDを貸してくれた。
ブルーノートで彼女のライブを見に行ったことがある。入口で1回目の公演が終わって、バンドメンバーとすーっと通り過ぎて、その自然体がさりげなさすぎて、まるで妖精のような軽やかさだった。
ボサノバを深く知っていくにつれ、英語の歌詞が物足りなくなって、やがてはジョアン・ジルベルトに行き着いた。でも、私にとって、アストラッドと過ごした日々はかけがえのない思い出として、心の宝箱にしまってある。
アストラッド・ジルベルトの訃報を知る。2023年6月5日、享年83歳。
あなたとの出会い、これからも大切にします。
<本ブログ内リンク>
『イパネマの娘』(Garota de Ipanema)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2015/10/garota-de-ipanema.html
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