2016年7月14日木曜日

『ミモザの島に消えた母』その2 (Boomerang)

今日は、714日は、パリ祭(フランスの独立記念日)です。
 すがすがしいパリジェンヌの生き方が、この映画にも息づいています。

*************************************
『ミモザの島に消えた母』  その2
(原題Boomerang2015年フランス)
〜フランス映画祭2016上映作品〜
 7/23(土)より全国公開

子供の頃に受けた傷、心の痛み、抱いた疑問……

それは、大人になると自然に薄れていくものなのだろうか?
時間が解決してくれるものなのだろうか?
ある人にとってはそうかもしれない。
そして、ある人にとって、時間は真逆の効果を示す。
大人になればなるほど、傷は深まり、疑問は自分の心の大部分を覆い始める。

『ミモザの島に消えた母』の主人公・アントワン(ローラン・ラフィット)は後者の方だった。離婚した妻は、彼のことを気遣う言葉をかける。しかし、映画の冒頭で彼の心の闇で手を取るのは、彼の家族ではなく、精神分析医だ。

彼は、10歳の頃に死別した母について、真実を探ろうとするが、父も祖母も背を向けている。彼は、妹のアガット(メラニー・ロラン)に、母が溺死したノワール・ムーティエ島(Île de Noirmoutier)へ一緒に行こうと説得する。
はじめは「もうふれたくない。過去は過去」と言い切るアガットの心の変化は、ある意味で、この映画の核となっているような気がする。


© 2015 LES FILMS DU KIOSQUE FRANCE 2 CINÉMA TF1 DROITS AUDIOVISUELS UGC IMAGES

自分の姪(アントワンの娘)が悩んでいるとき、さりげなく寄り添うまなざし。
自分の心と葛藤し、公の場であえて「丸くおさめる」選択を捨てる勇気。
「いったい何があったの!」と、従順な娘を演じることをやめて父親の目の前で叫ぶときの思い。

演じるメラニー・ロラン(Mélanie Laurent)は、フランス映画祭2007で上映された
"Je vais bien,ne t'en fais pas"※(監督:フィリップ・リオレ/Phillipe Lioret)でも、本音で家族とぶつかり、悩み、成長するという役柄だった。拒食症になってしまう主人公を演じるため、実生活でも激しい減量を行うという体当たりの演技が印象的だった。

かつて、パリジェンヌといえば、カトリーヌ・トヌーヴを思い浮かべる人たちがいた。そして、ある時期の人たちは、ソフィー・マルソーにパリジェンヌのイメージを重ねた。さまざまなパリジェンヌ…… メラニー・ロランもまさに、パリジェンヌらしいパリジェンヌ、と私は思う。

パリジェンヌ—— それは、しっかりと自分を持ち、自分の足で歩き続ける女性の象徴なのかもしれない。

※ 映画"Je vais bien,ne t'en fais pas"は、フランス映画祭上映時のタイトルは『心配しないで』、後に、『マイ・ファミリー 遠い絆』という邦題がつけられています。


© 2015 LES FILMS DU KIOSQUE FRANCE 2 CINÉMA TF1 DROITS AUDIOVISUELS UGC IMAGES
*********************************************

<本ブログ内リンク>


『ミモザの島に消えた母』その1
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/07/boomerang2015.html


フランス映画祭2016が始まる
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/06/2016_22.html


『あの頃エッフェル塔の下で』
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/01/trois-souvenirs-de-ma-jeunesse.html

『パリ区の遺産相続人』
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/11/my-old-lady.html


<公式サイト>

ミモザの島に消えた母
http://mimosa-movie.com


723日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開


0 件のコメント:

コメントを投稿