2016年7月13日水曜日

『ミモザの島に消えた母』(Boomerang)

明日、714日は、パリ祭(フランスの独立記念日)です。
6月末にはフランス映画祭2016が行われ、日本にもフランスの香りがほのかに漂いました。
フランス映画祭2016で上映されたこの映画をご紹介します。

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『ミモザの島に消えた母』その1
(原題:Boomerang2015年フランス)

フランソワ・ファヴラ監督とローラン・ラフィットさんと会う


ノワール・ムーティエ島(Île de Noirmoutier 。ブルターニュ地方の言葉で、「黒い修道院」という意味を持つこの島は、冬にはミモザが咲くことから、「ミモザの島」とも呼ばれている。
この、ミモザの島がどんなに美しいか、この映画を見ればすぐにわかる。

この、美しいノワール・ムーティエ島で繰り広げられる人間模様は、決して島の景色のように美しいものではなかった。
主人公・アントワン(ローラン・ラフィット)は、40歳になって初めて、ノワール・ムーティエ島で溺死した母の死の真相を究明しようと動き出す。はじめは気後れしていた妹のアガット(メラニー・ロラン)を徐々に巻き込み、アントワンは次第に「独り」ではなくなってく。父と向き合い、自分の娘と歩み寄り、新しいパートナーと支え合おうと、少しずつ前進していく。

フランス映画祭2016での上映のため、来日したフランソワ・ファブラ監督(Franc
çois FAVRAT は、きっぱりと語る。


フランソワ・ファヴラ監督
低めの声で語るコメントのひとつひとつが印象的だった
(2016年6月25日撮影)

「フランスは、近代的な国で、家族の問題をオープンに語ることができる国と思われているかもしれません。しかし、実際は違います」
タブーは、フランスにも確実に存在していて、同性愛、こどもへの虐待……そんな類いの家族の秘密はひた隠しにされているという。

ファブラ監督自身も、家族の問題に悩み続け、カウンセリング(精神分析)に通ったことがある。そんな中、自分だけでなく多くの家族が同じように「家族の秘密」に苦しんでいることを知る。その思いがこの映画を完成させた。
「ロシアの作家、チェーホフが19世紀から書き続けている家族の問題が、今でも、国を越えて続いているのです」。ファブラ監督がそう語ると、主演のローラン・ラフィット(Laurent LAFITTE)さんから、ひと言。

「時間が経過するにつれて、問題は深刻になってきているのかもしれませんね」

俳優のローラン・ラフィットさん
さわやかな笑顔に心和む
(2016年6月26日撮影)


フランスは自由の国というイメージが強い。私たち日本人にとって、憧れである自由の国でも、私たちと同じような問題が存在していることを知る。
それと同時に、ファブラ監督の言葉に、フランスという国の底力を見た。

「どんな家族にも秘密はあるのでしょう。だからこそ、闘ってでも真実を勝ち取ることが大切だと思うのです」

フランスらしい、力強さと誇りにあふれたひと言に希望が見える。

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フランス映画祭2016会場に掲げられた『ミモザの島に消えた母』のポスター(中央)
<本ブログ内リンク>

フランス映画祭2016が始まる
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2016/06/2016_22.html


<公式サイト>

ミモザの島に消えた母
http://mimosa-movie.com


723日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

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